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未定  作者: Jonathan
2/2

未定2

「入ってくれ」


そう言って私は彼女を部屋に招き入れた。


彼女と言うのは私の大学時代の友人で、当時は一緒に食事をしたりもする仲であった。


大学時代に友人と呼べる人物が他に居なかった訳ではないが、ここまで親密な関係になったのは彼女だけだったと思う。


社会人になってからの人間関係は大学時代より一層希薄なものになっていたため、今では彼女を唯一の友人と言っても過言では無いのだろう。


とは言っても彼女と会うのも実は久しぶりの事である。


先日、とある書店で再会して互いに本の話などをしている内に、私が彼女に本を何冊か借すという事になって、私の家までわざわざ足を運んでもらった訳だ。


さて、私が二人分の紅茶を淹れて部屋まで戻ると彼女は既に私の本棚から何冊か本を出していた。


何を借りようかと考えているのだろう。


「紅茶だ。アールグレイで良かったね?」


「ええ、ありがとう」


私に気付いた彼女は本に向けていた視線を一度こちらに向けてそう言った。


「それにしても、貴方の部屋って本だらけね。相変わらずだわ」


「趣味がそれくらいしかなくてね」


「仕事が本を書く事で、趣味は本を読むこと。あなたの人生は本塗れね、羨ましいわ」


「それは貶しているんだね」


「まあね」


ふふ、と彼女は笑った。


本に視線を向けたままの彼女の微笑んだ横顔は綺麗だった。


私は彼女の笑顔が好きだ。


恋愛感情とかではなくて、まるでそれは芸術品を前にしたような気分で。


彼女の笑顔は絵画に描かれた完璧な美のようだ。


それを見る私はいつも「ああ、これだ」という安心感を覚える。


大学時代、気付けば彼女の傍に居るようになっていたのも、この笑顔をずっと見ていたいと思っていたからなのだろうか?


ある日、いつも行く書店で何気なく見せてくれた私への微笑みが、その時私に向けられた優しい瞳は、今でも私の胸に焼き付いていて。


それを思い出す度に私は心に暖かい風が吹いたかのような気分になるのだ。


ただ、いつからだろう。


その瞳を、私の物にしたいと思ったのは?


その瞳を、永遠の物にしたいと思ったのは?


その瞳の時を、私が映った状態で止めてしまいたいと思う様に成ったのは。


私は、淹れた紅茶に一服盛っていた。


それを啜りながら本を読んでいた彼女は暫くして眠そうに


「ああ…眠くなってきた。長編なんて久々に読んだからかしら、少し眠らせてもらうわね」


と言って、机に突っ伏した。


親しい友人とはいえ、男の家でこうも無防備に眠れるというのは、私と彼女の間にどれだけの信頼関係が築かれているか、という事にもなる。


もうすぐで彼女の瞳と言う世界に一つしかない至上の宝石は私の手によって永遠の物になる。


もうすぐで彼女の体の部品という私にとってかけがえのないモノが、私のものになる。


もうすぐで、彼女は。


私は彼女が完全に眠ったのを確認してから地下へと運んだ。


我ながら手慣れた手つきだと思う。


"解体"用の台に彼女を乗せて、道具を運んでくる。


私は彼女を、彼女"達"をそうするために親しい友人を殺さなければならない。


今から目の前で起こる分解を想像しての興奮と、かけがえのない友人を殺すのだという罪悪感からくる苦しみが混ざりあって、ひどい顔をしているのだろう。


まずは彼女の心臓に、肋骨を避けて大きな刃を突き刺した。


ぐげ、と言う声が漏れた。


手応えからして即死だと思う。


血抜きをした。


それは出来るだけこぼさず容器に注いだ。


臓器を取り払い、骨を切って、四肢を取り払った。


四肢はさらに細かく分解した。


そうやって私は夢中になって彼女を分けた。


私の目の前では"分解"が行われていたのだ、他ならぬ彼女の!


もう彼女は言葉を発することはない、もう彼女は私に笑いかけてはくれない、もう彼女は微笑みながら本を読むこともない、もう彼女は私の淹れた紅茶を美味しいと言って飲んでくれることも無い。


そう考えると悲しかった。


私は泣きながら彼女を解体している、しかし、私はそれ以上に興奮している。


やがて彼女が完全なるパーツへと分かれたとき、私は絶頂に達した。


私は間違ってはいなかった、私がやりたかったのはやはりこれだったのだ。


彼女の細くて綺麗な指が、彼女の白くて儚い大腿骨が、先程までは彼女の全身に血を巡らせていた真紅の心臓が私に語りかけてくる


「愛してる」


と。


私も愛している、そうだ、私は愛していたのだ、彼女を。


愛しているのだ、彼女達を。


そして最後に私は彼女の眼球に手を伸ばして、それを口に含んだ。


ころころ、とそれが私の舌の上で転がっているのがはっきりとわかる。


その時だけは私の舌までもが性感帯になったかの如く、一つ一つの振動を確実に快感へと変換させて脳へとダイレクトに打ち込んで来る。


そして私は二度目の絶頂を迎えた。


だがまだ行為が終わったわけではない、暫くして私は右手を熱くなった股間へと運んだ。


私は口の中で眼球を転がしては自慰を繰り返し、何度も何度も絶頂に達した。


脳が蕩けるようだ、いや、もはや脳は粘度の高いドロドロの液体へと融け果ててしまっているように感じた。


目の前が真っ白で、まともな思考が出来なかった。


どれくらい経ったか、それが終わって私は眼球を口から取り出して、綺麗に並べられた部品達の定位置へと戻した。


遂にやった。


私は彼女を、唯一無二の親友を殺害した挙句に口内で犯し尽くした。


そしてあの瞳は、あの体は私の物となった。


何とも言えない罪悪感と苦痛と興奮と支配感が私の頭の中を駆け巡っていた。


そうして私は一晩中彼女達の前で泣き明かして許しを乞うた後、自らの首を吊ったのだ。


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