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旦那様は浮気なんかしません。  作者: 男爵令嬢名無しさん
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2.さくら

気がついたら、前世で読んだ恋愛小説の主人公=「さくら」だった。


本当に素敵な恋愛小説で大好きだった。

特に主人公の相手=「ゆうじ」がとても良かった。

仕事もできて、格好良くて、一筋に「さくら」を愛してくれる。

とってもイロっぽい先輩=「ゆりこ」がライバルだったけど、揺らぐことなく「さくら」だけを愛してくれるの。


本当にうきうき出社したんだよ。

運命の相手に会えるのねって。


でも、期待は裏切られた。

ちょっと、これは何かの間違いだよねっていうのが彼に出会った感想。

まあまあ、イケメンではあるかな。イマドキな感じ。

でも、ないわ~

これはない!


会社で出会った「ゆうじ」はチャラ男だった。

しかも、ちょっとバカ。

シモネタが好きで、女の子も好き。

いっつもいろんな女の子にちょっかいをだし、うざがられてる。

ライバル役の「ゆりこ」先輩にも眉をひそめられて、

「ゆうじ君、いい加減にしなさい!」

って怒られてばかり。

正直、この「ゆうじ」を「ゆりこ」と取り合う気になんかならない。

しかも、小説とちがって「ゆりこ」先輩はとてもかわいい人だった。

小説では仕事もできて、イロっぽくて、ちょっとキツイ女性。

新婚の旦那さんに浮気されて、自分もやり返す!って「ゆうじ」を狙うんだけど、

「ゆうじ」が「さくら」だけを愛しているので当て馬にもならない。

どんどん精神を病んで会社の重要機密を外部にもらし「さくら」に罪をきせようとして失敗。

離婚されて会社もクビっていうなんだかなあ・・・な登場人物だったんだけど、

この「ゆりこ」先輩は違うんだよね。


イロっぽくはあるけど、ムンムンじゃなくてかわいい感じだし、仕事もできるけどでしゃばらない。

新婚の旦那さんをすっごく好きで、会社でも平気でノロケるし、いつも好き好き言ってる。

何かあるとすぐに涙ぐんじゃって、守ってあげたいタイプ。

そして、「ゆうじ」がキライ(笑)

「ゆうじ」を見る顔がね、「ばっかじゃないの?」って。

「さくら」にも優しくて、苛めるどころか助けてもらってばかり。

これを好きにならずにどうすんの?って感じで、もう、小説のことなんか関係ないな!って思った。


「さくらちゃん、これ、この間、うちの旦那さまが海外出張のお土産で買ってきてくれたの。」

そういって、ゆりこ先輩が広げたのはフランスの化粧品メーカーのリップが5本。

「まだ、日本には入っていないんですって。どれがいい?さくらちゃんはいつも私を手伝ってくれるから最初に選ばせてあげる。」


「先輩はどれに?」

「私の分は旦那様が選んで先にくれたの。今日つけてみたんだけど・・・どうかしら?」

「ああ、そういえばいつもより少し濃い目ですね。とっても似合ってますよ。」

「ありがとう!」

にっこり笑うゆりこ先輩は本当にかわいい。

旦那様もよほど、ゆりこ先輩をかわいいと思っているようでセレクトされたリップはかわいいオレンジ。

ゆりこ先輩なら真っ赤なのも似合うと思うんだけど・・・

「先輩の旦那様ってセンスいいですね。」

「でしょでしょ?洋服もいつも選んでくれるのよ。私にはちょっと可愛すぎるかなって思う時もあるけど、旦那様が可愛いゆりこが好きって言ってくれるの。きゃ。」


生ぬるい目でみちゃったけど、まあ、ゆりこ先輩が幸せならいいか。

これだけ仲良しならゆりこ先輩の旦那様も浮気なんかしないだろうし、先輩もあんな「ゆうじ」の相手はしないだろうしね。





「はじめまして、・・・ゆうじです。よろしくお願い致します」


こっちか!!!きたああああ。


異動してきたのは超かっこいい「ゆうじ」さん。

こっちだよね・・・そうか、「ゆうじ」違いか!

あれ・でもこれだと、「ゆりこ」も惚れちゃうかも?

ええええ・・・


「え?ゆうじ?ああ、同期だったよ。でもあの人、細かいから苦手なの。さくらちゃんの応援するね。」

ホッとして笑うとゆりこ先輩も笑った。


「大丈夫、うちの旦那様は浮気なんかしません。」


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