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そして彼等は旅に出る  作者: 襟川竜
グレイス国編
9/15

序章 それは偶然の必然

辺りを(まばゆ)いくらいの光が支配する。

しかし、それも一瞬で収まり、再び闇が顔を出す。

と、同時に轟音(ごうおん)が鳴り響く。

光と音の関係から、(かみなり)がそう遠くないことが分かる。

(早いところ、雨宿りが出来そうな場所を探さなければ)

時折(ときおり)吹く風も、強さと冷たさを増してきている。

雨が降りだすのも時間の問題だろう。

ふと、青年の目に洞窟(どうくつ)が映った。

此処(ここ)にしましょう)

ぱらぱらと降りだした雨の中、早足で洞窟へと向かう。

一歩踏み入れた瞬間、青年は奇妙な感覚に包まれた。

辺りが(ゆが)んだような、自身が引き上げられる、あるいは落とされるような。

だが、それも(つか)の間の出来事だ。

(まばた)き一つの間に周囲(しゅうい)は元に戻っていた。

(…まずいですね)

しかしながら青年の表情は()えない。

すぐに引き換えし洞窟から出る。

が、彼は(いま)だ洞窟内にいた。

どうやら不思議(ふしぎ)な力が働いていて、出ることが出来ないようだ。

(やはり…。私としたことが迂濶でした)

…──ォオォォオオォ──…

(けもの)(うな)るような音がする。

洞窟内に風が吹き込んでいるようだ。

青年の白銀(はくぎん)色の髪が風に(なび)く。

まるで奥へと誘うかのように風は吹いた。

(此処で足止めされる訳にはいきません。早く彼を探さなければ…)

背負っていた矢筒(やづつ)から矢を一本引き抜き、その場に突き刺す。

青年が何かを呟くと、矢は(あわ)く輝きだした。

(あまり長くは持ちませんね…)

青年は再び出口へと足を踏み出した。

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