解放
藤瀬 冬弥(17) 市立A高等学校3年
身長175センチ
60キログラム
申し分の無いイケメン野郎。
藤瀬 雪音(17)
私立S女学院3年
身長152センチ
体重42キログラム
コンプレックスの塊。
似ても似つかない二人は正真正銘の双子だ。
季節は冬…。
そして、カップルの季節…X'masである。イルミネーションはいつもに増してキラキラと輝き、カップル達は手を繋いで幸せそうだ。
そんな中、イルミネーションから少しずつ離れて行く少女が一人、バイトを終えてトボトボ歩いていた…。
「は…!くしゅん!」
街のカップルなんてどうでもいい…。
彼女には切実な悩みがあった。
「帰りたくない…。」
思った事をホロっと口に出してしまう程 家が嫌いなのである。
今日だけね。
しかし、友達は皆彼氏もち、こんな不幸な少女の相手など、誰一人として、してくれる訳がない。
彼女は帰宅するしかないのである。彼女の父と母は、毎年X'masを二人で過ごす。
と言っても二年程前からなのだが、それをきっかけに奴は、やりたい放題やってきた…。
女を連れ込むだけならいい、
それだけなら我慢できる。
ただ、奴は鬼なのである…。
母は美容界のカリスマ(自称)
父はそのアシスタント…。と言った逆転ながらも多忙な二人の間で育った彼女は、家事全般をこなしてしまうのである。
からして、彼女はX'masのディナーを奴と連れ込んだ女の為に二年前から作らされているのだ。
立ち止まった先は、自宅…。
彼女は重い扉を開こうとして、止めた…。
歩いて来た道を引き返したのである。