断章Ⅱ:あなたが生きた証を、貴方が生きる証を
「・・・?」
もう自我が戻りつつあるのですか?
さすが、というべきか・・・なんというか・・・。
「・・・・・・」
とは言え、会話が成立するほどではないようですね。
当たり前のことですが、人の魂程度がこの空間に存在できていること自体が不可思議といえますからね。
「・・・・・・」
声を出さずに思念で会話していた先ほどまでの状態から、若干意思表示ができる程度・・・むしろ退化していると思うのは私だけでしょうか?
「・・・・・・」
どうやら、難しい単語も認識できないようですね。
「・・・・・・」
はぁ、これでは何も確認のしようがありませんか・・・。
仕方ありません。どんどん見ていくとしましょう、貴方の物語を。
いつか、きちんと会話できるようになるでしょうし・・・。
時間は、・・・まだまだあることですしね。
「・・・・・・」
これはこれで、面白いというべきなのでしょうか?
むなしい、といった方がより近いですか・・・。
まぁ、いいでしょう。
「・・・・・・ぅぁ」
おや?
「・・・・ぁ・・」
「ぇ・・・ぁ・・」
ふむ、これは案外早く自我が完璧に戻るかもしれませんね。
では引き続き、見ていけばなんとかなりそうですね。
しかし、この私が他力本願とは・・・。
――が聞いてあきれますね。
しかし、万能なものなどこの世には存在しない。
絶対の存在などこの世にはいらない。
なぜなら、あっても意味はないから。
絶対不変の存在など、あってはならない。
それはいつか傲慢に変わり、自らの身を滅ぼすことにもつながる。
だから、私は彼を頼り、
彼にすべてを託す。
私の愛しい恋人。
例え、あなたが私を忘れても
私があなたを覚えている
例え、貴方が私を離しても
私が貴方を離さない。
だから、私を―――。