第1章:魔女との出会いは唐突に
時刻は、午前7時。
ジリリリリリリリリリリリリリリリリ
セットされた時間に鳴り響く目覚まし時計は、
リリリリリリリ、ガンッ、リンッ!
その持ち主の手によって、ものすごい勢いで叩かれて音を止める。
「ふぁあああ・・・、もう朝か・・・」
持ち主の名前は、麻井祐介。
4月10日から藤山台学園の1期生になる。
「・・・入学式か。姉さんの話だと何やら、無駄に壮大らしいが」
祐介には、2歳上の義姉がおり、彼女は今年で藤山台学園の3期生になる。その義姉から入学式の時の状況を聞いているので、期待と不安で半々のようだ。
ベットの上で伸びをしながら、呟く。
「まぁ、けが人が出るようなことはしないだろう・・・。けが人は毎年出てないって言ってたしな」
実は出ていても魔法を使って、治療してしまっているのだが・・・。そんなことを彼が知る由もない。
「祐く~ん!朝ごはんだよ~!」
突然、扉の外からそんな声が聞こえてくると同時、
バァァンッ!!
すごい音を立てて扉が開く。その際に、扉が吹っ飛びかけるが3つあるうちの一番上の蝶番を犠牲にしながら、かろうじて扉としての役目を・・・、ぎりぎり果たせそうにはなかった。
そして、扉の向こうには藤山台学園の女子制服を着た少女が立っていた。
「祐くん、今日からはついにお姉ちゃんと一緒の学校だよ!」
「一緒も何も小、中学校は一緒だったじゃないか」
「そういうのとは違うんだよー。もう、裕くんは分かってないなぁ」
「それは、ともかく扉がおかしなことになってるんだけど?」
扉を吹き飛ばしそうになった彼女の名前は、麻井萌。
麻井祐介の義姉であり、藤山台学園の3期生である。
学園の中では品行方正で才色兼備、優秀な模範生だが、それは学園の中だけでの話であり家、というよりも祐介の前ではなぜかいろいろ残念なことになる。しかも、今日は愛する(割とガチで)弟の入学式のため、次の日には後悔する羽目になるくらいのテンションである。
「扉がどうなろうと些末な問題ですよ?そんなことより、お姉ちゃんと一緒に学園にゴーだよ、祐くん!」
萌は腰まである長い黒髪をなびかせ、女子制服のスカートから除く健康的な太ももを隠そうともせず、すらっとした腰に左手を当て、右手を頭上に突き上げるようにしながら、満面の笑顔で祐介の部屋の前に立っている。
「・・・本当に17歳ですか、あなた」
祐介が、義姉のあまりの壊れっぷりに呆れながら呟くと先ほど壊れかけた扉の方から、それに同意する声が聞こえてくる。
「そうだぞー、この春休み中毎朝扉の修理をさせられるお父さんの苦労をちょっとは分かってほしいなー・・・。なんて」
どこにいたのか、すでに蝶番を取り換え終えようとしている祐介の父親(麻井祐樹。45歳だが少し若く見える)がそんな事を娘に言うが・・・。
「・・・もう慣れたでしょ?だったら、いいじゃない」
それに対して萌は取り合わず、適当に返答をする。
「誰がこんな風に育てたんだ・・・。教育方針間違えたんじゃないのか?これ・・・」
「育てたのは私ですけど、何か文句がおありになるのかしら?」
教育者に文句を言おうとしたとき、その背後に鬼が現れた。
「・・・アハハ、モンクナンテ、ナニモナイデスヨ?」
般若も尻尾を巻いて逃げ出しそうな絶対零度の微笑みを見せる自分の妻に対して、冷や汗を全身からダラダラと流しながら否定の言葉を絞り出す。
「そう、なら早く扉直してご飯食べて仕事に行きなさい」
「イエス、マム!」
そこから一瞬で扉を直し、次の瞬間には階段を下り、バタバタと音がした後、玄関から出ていく音がした。この間、わずかに30秒。もはや、人知を超えた速度である。
しばらく玄関の方を見ていた祐介の母親(麻井雪。44歳なのだがいまだに20代と間違えられる)は、玄関の閉まる音が聞こえると祐介の方を向くと、
「おはよう、祐介」
何事もなかったかのように、ふんわりと微笑みながら朝の挨拶をしてくる。
彼女の中では、別に大した出来事ではなかったらしく、祐介に見せる笑顔は先ほどとはうって変わって優しさあふれるものだった。
「お、おはようございます、母さん」
「何をそんなに怯えてるのかしら?」
雪はキョトンとした表情を浮かべながら祐介を見る。
「イエ、ベツニ、ナニモ?」
「嘘をいうとき、片言になるのは遺伝なのかしらね?ま、いいから早くご飯食べて学園行きなさい。萌もね」
祐介が怯えている理由がなんとなくわかった雪は、ため息をつきそういうと彼女はその場から消えた。
「もう、お父さんのせいで最高の気分が台無しだよ。まぁ、今日から学校も一緒だし、別にいいけどさぁ・・・」
萌もブツブツといいながら、母親の後を追い、こちらも消えた。
「・・・この母親にしてこの娘あり、か」
母親の恐ろしい一面を見たにも関わらず、言っていることは至って能天気な姉に血の繋がりをひしひしと感じる祐介だった。
起きてからすでに10分くらい経過しているのに、いまだにベットの中にいた祐介はようやく体を起こし、クローゼットに向かい、新品の制服に着替えながらぼやく。
「にしても人が突然、全くの前触れなしで消えるのはやっぱり怖いな・・・」
二人が使ったのは『汎用魔術』で、ある程度の魔術教育を受けているものならば誰でも使えるものだ。もちろん、祐介やその父親である祐樹にしても使おうと思えば使える。しかし、詠唱を全く唱えずに行えるのは、祐介が知っている人物の中ではあの母娘だけである。
「姉さん曰く、『私と同じ学園に来れば、使えるようになるよ!きっと』らしいけど・・・」
祐介は先ほど、魔術など使う気配を全く見せなかった自分の父親の姿を思い出すと、
「・・・無理じゃね?」
ネクタイを締め、ブレザーを羽織りながらそうため息をついたのだった。
******
「ん、きちんと制服を着てきたわね」
階段を下りリビングに入ると、すでに食卓テーブルで朝食を食べ始めていた雪がこちらに気付いた。
「お、おぉぉ、裕くんの初制服姿・・・ジュルリ」
その言葉に祐介の方に背を向ける形で座っていた萌が、祐介の方を向き自分の義弟の制服姿を食い入るように見つめている。・・・あと、なぜかよだれもたらしているが。
「こうしてみているとやっぱり萃香に目元とかが似てる気がするわ、制服はあの頃から変わってないし」
うんうん、と頷きながら雪はそんなことを呟く。
「顔もわからないし、声も聞いたことがないから俺にとって、母親は雪さんしかいないんだけどなぁ・・・」
雪は祐樹の再婚相手で学生時代は、祐介の生みの親である萃香と祐樹を取り合っていた。さらには、学生時代を3人とも藤山台学園で過ごしていた。
勝者は萃香。だが悲劇は祐介が生まれるときになっておこる、なんと萃香は謎の奇病にかかっていることが判明する。
原因は不明。病名も不明。治療は不可能。魔術による治療も不可能。
結局、萃香は祐介を生み、2歳になるのを見届けると息を引き取った。享年29歳だった。
そのあと、大切な妻を失った影響で祐介の父親は自殺寸前だった。
萃香が病死してから半年後、現れたのが雪だった。彼女は萃香に負けると、数年後外国で結婚し、子供を授かるも上手くいかずに離婚。それを聞いていた萃香が、密かに祐樹のことを頼んでおいたのだ。二人はしばらくして結婚し、今では夫婦円満な家庭を築いている。
「そうでしょうね、萃香が死んだのは祐介がちょうど2歳だもの。あのときは驚いたわ。突然、萃香が『祐樹をお願いね』なんて言い出すから、何事かと思ったわ」
食パンをかじり、当時を懐かしむように語る雪の言葉を聞きながら、祐介がその対面の席につく。
「そういえば、祐くん」
祐介が席につくと、隣の席に座ってご飯を食べていた萌が話しかけてくる。
朝食でパンを食べているのは雪だけであり、萌と祐介の前には和食が並んでいる。
「なに?」
「学園にいる『魔女』には気を付けてね。私の友達だけど、愉快主義者というかなんというか、快楽主義者というか・・・。とにかく、いろいろな意味で危険だから」
「ふーん・・・。でも、その人姉さんと同期なんだろ?なら、会うこともないんじゃないのか?」
「・・・だといいんだけど、ね」
姉の珍しく奥歯に物が引っ掛かった言い方に疑問を持った祐介だったが、
「そんな事よりも、時間大丈夫なの?貴方たち」
その疑問を遮るかのように雪が時計を指さしながら、声をかけてくる。
時計の針は、今が7時45分であることを示している。
「うわっ、もうこんな時間?!祐くん、もう出ないと危険だよ!早く、早く!」
ここから学園までは平均で1時間かかる。しかし、道が混雑したりしているとバスが遅れ、8時に家を出ていると遅刻してしまう可能性がある。
時計を確認して途端に慌てだす姉に対し、今からご飯を食べようとしていた祐介は、
「ちょ、ちょっと、姉さん!今から食べようとしてたところだって・・・!」
萌に腕を引っ張られながら祐介はご飯をかきこみ、お茶で胃に流し込む。
「んぐっ、ゲホッゲホッ!いくらなんでも慌てすぎじゃ、まだ遅刻ギリギリになるかもしれないっていうだけで・・・!」
祐介が急いで胃に流し込んだため、むせているのを軽く無視し、玄関まで腕を引っ張られ歩いていくと、萌が靴を履くためにいったん立ち止まる。
「違うんだよ!さっき言っていた『魔女』の登校時間と被っちゃうんだよ!」
かなり焦った様子で、靴を履き終える。すると、まだ履き終えていない祐介の襟首をつかみながら、扉を開け、玄関から出ていこうとする。
当然ながら、その状態で引っ張られたら転がってしまう祐介は抵抗する。
「ま、待てってば!今靴履いてるから!」
「もー、早くしてよ!祐くん」
さすがに、腕力という点では祐介にはかなうべくもなく、いかにも仕方ないといった感じで祐介が靴を履くのを黙ってみている。
一見、世話の焼ける弟をせかす姉という微笑ましい光景に見えない事もないが、実際は理不尽に弟をせかす姉という何ともアレな光景である。・・・ご近所様には、前者にしか見えない。
「ん・・・よし、履けた!」
どうやら、今日初めて履いた靴のためか少し硬く、そのために履くのに手間取ったようだ。
「じゃあ、れっつごーだよ!祐くん」
「い、いってきまーす!」
「気を付けて、いってらっしゃい」
リビングのドアから、萌が祐介をせかす様子を見て微笑んでいた雪が手を振って答えたのが見えると同時に、扉が閉まる。
******
萌と祐介が結構な速度を出して、バス停まで走っていくと、
「・・・バス遅れてる」
萌が電光掲示板に表示された文字を見て、肩を落とす。
その電光掲示板には、朝の通勤ラッシュの渋滞に巻き込まれて10分遅れている、という旨が表示されている。
「・・・ふと、思ったんだけどこれどういう仕組みなのさ?」
祐介が電光掲示板を見ながら言う。
萌の方は、これで確実に『魔女』と登校時間がかぶっちゃうよ・・・、などと呟きながらうつむき、どんよりしていたが祐介に話しかけられると水を得た魚のように復活した。
「ん~、何のこと?」
祐介の質問の意味がよくわからなかったのか、祐介に聞き返す。
「いやさ、電光掲示板に何分遅れとか表示されるけど例えGPSで位置がわかっても何分遅れるかまではわからないんじゃないのかなぁ、と」
「そこは魔術だよ。日本式だと卜占とかが代表的ですね。昔は、おおよそで表示していたそうですが、最近では各バス会社に勤める人が簡単に未来視もしくは占いでほぼ完ぺきな遅延情報を送ることができるようです」
突然口調の変わった姉を疑問に思い、祐介が萌の方を見ると普段見るよりもいくらか澄ましており、対外的な印象を受ける表情になっていた。さらに、纏っている雰囲気もどこか凛としている。祐介が訝しんでいると萌が目線で後ろの方をチラチラときにしており、彼がそちらに視線を移すと、そこに祐介や萌と同じ服を着た藤山台学園の学生と思われる人が数名並んでいる。
「・・・姉さんは家以外だと、その口調になるのか」
「これでも、優等生ですから」
萌はえっへん、と胸を張りながら答える。
平均よりは確実にあるであろう胸囲が主張されて、それを見ていた祐介が少し顔を赤くしながら目線をそらす。
「どうしたの?」
急にあさっての方向を向いた祐介を不審に思ったのか、萌が祐介の顔を覗き込もうとする。
「そ、そういえば朝飯の時に言ってた『魔女』っていうのは具体的にどんな人なんだ?」
追及されるといろいろ厄介になりそうだ、と直感で察した祐介は話の矛先をそらす。
「うっ・・・。やっぱり、気になりますか」
途端に今度は、痛いところを突かれたかのように萌が表情をしかめる。
すると萌は頭を抱え、一人でぶつぶつと呟き始めた。
「確かに、話しといたほうが・・・いやでも・・・・・・うぅううううう・・・・」
しばらく話すべきか話さざるべきかで、頭を抱え、呟きが途中から唸りに変わるほど迷っていたようだが、やがて決心したように顔を上げる。
「さっきも言いましたが、あの人は基本的に無気力で怠惰です。ただし、面白い事や物があると笑いながら、自ら巻き込まれに行きます。しかも、突然。それだけならいいんですが・・・」
そこで、今一度説明することをためらうように言葉を切る。
「?」
祐介が、それが?という顔をして萌の方を向くとため息をつきながら、続きを口にする。
「かき回すだけ、かき回していくんです。そして、しばらくすると飽きたかのように・・・、というか実際飽きてるんでしょうね。かき回したのをいろいろ放置して、居なくなるんですよ。そして、困ったことに彼女のかき回し方が尋常ではないので、後始末がかなり大変なんです。そして、後始末をするのはいつも私・・・。片づける方の身にもなれっていうのよ・・・全く、・・・ブツブツ・・・」
途中から、徐々に愚痴に変わりつつあったが、祐介にはその恐ろしさが伝わったらしい。
「えーと・・・、色々アレなんだけど、とりあえずどうして姉さんがその人の後片付けをするのさ?」
「私、これでも優等生って言ったでしょ?だから、生徒会の副会長の一人なの」
「あー、なんか前にそんなことを言ってた気がする」
祐介が忘却の彼方に飛ばしていた情報を思い出しながら、聞いているのを見て萌は、
「・・・むぅ、お姉ちゃんの話はちゃんと聞いていないとダメですよ?」
若干素が出そうになりながら、祐介のことを睨む。
「ご、ごめん。そ、それで?それがどう関係してるのさ?」
睨んではいるものの、涙をためながら睨んできているのだが、萌が拗ねると途方もなく厄介なのは祐介が一番よくわかっているので、彼は謝りつつ続きを促す。
じとーっと、半眼で睨み続けていた萌はそれを聞くと、
「うー・・・。まぁ、いいけど・・・。本当はよくないけど、とりあえず良いという事にしといてあげる」
とりあえず、許すと口では言っているものの、不機嫌オーラは出っ放しである。
「ど、どうも・・・」
祐介はしばらく引きずるだろうな、と思いながらもとりあえず自分の姉に合わせる。
「・・・ともかく、そういう役職の上、さらに彼女が唯一私にだけは自分から話しかけてくるもんだから毎度毎度巻き込まれちゃうのよ。ほかの人には、基本的に見向きもしないのよね・・・。しかも、いつの間にか彼女が笑いながら現れたときは麻井萌を呼べ、という暗黙の了解的なものまでできちゃうし・・・さんざんだよ・・・」
萌はすこし拗ねる様にそう呟く。
「素が出てるけども・・・」
「へ・・・?そうだった、今は外にいるんだった!」
祐介が小声で言うと、慌てて取り繕う。しばらくすると少し落ち着いたのか、纏う雰囲気も先ほどの凛としたものになった。
「そういう訳で私も普通に友達としては付き合えますけど、あの性格はどちらかというと苦手な部類なんです・・・。最悪なことに、魔術の才能は私とほとんど同等かそれ以上だし・・・」
そこまで言うと萌は、後始末させられる自分の様子を思い出したのか、憂鬱そうにため息をつく。
一方、その隣で祐介は自分の姉にそこまで言わしめる『魔女』に対して、改めて畏怖を抱いていた。
この世界には、どの程度の魔術を使用できるかに応じてランク付けされる。雪は、このランクはSSSという最高位を持っており、その娘である萌はそれには一歩及ばないがSランクに格付けされている。
つまり、その『魔女』はSSもしくはSSSランクの可能性がある。そんな人物に、巻き込まれて無事なのは確かに萌ぐらいの者だろう。
ちなみに、祐介のランクはDランクと後ろから数えて2番目である。
とはいえ、Eランクは魔法が使えない人のランクなので魔法を使えるものとしては実質的な最低ランクだ。
「Dランクの俺がどうこう出来る人ではない、とそういう事か・・・」
そこまで、話を聞いた祐介がそう言うと、
「そういうことです。くれぐれも、あの人には近づかないようにしてください。ただでさえ、私の弟だとバレれば何をしてくるかわからない人なんですから・・・」
萌はそう言うと、ため息をついたのだった。
ブゥゥゥン・・・。
ちょうど萌の話が一通り終わった、ちょうどその時二人の目の前にバスが到着した。二人は、列に並んでいたほかの人たちと一緒にそのバスに乗り込む。
祐介が、時計をちらりと見るとちょうど10分遅れでの到着だった。
「むぅ、すごい人だな・・・」
祐介が乗り込むと同時にうめき声をあげる。
それもその筈で、この時間の乗車率は100%前後だ。すでに、それなりに乗っていたバスにほぼ満員くらいの人数が乗り込めば、そうなるに決まっている。
「むぐぐ、つ、潰れちゃうかも・・・」
その隣で、ほかの客に押しつぶされそうになっている萌。
それを見た祐介は、
「姉さん、こっちこっち」
萌の手を引っ張り自分の方に抱き寄せた。
祐介には抱き寄せたという意識は、ない。だが、結果的にそうなってしまっている。
一方、無自覚とはいえ自分の大切な弟以上に祐介のことを思っている萌がそんなことをされたらどうなるか、
「・・・ぷしゅるー」
顔を真っ赤に染めて、湯気を噴くことになる。
萌は時々年上っぽく、祐介に色仕掛け迫っていたりするが中身は至って純情な乙女であり、ゆえに色仕掛けを仕掛けているときも、表面上は冷静に見えるが頭の中は真っ白である。
ちなみに、祐介の方は周りに押しつぶされそうになっているとはいえ、密着状態なわけであるからして、しっかりと柔らかい感触と特有の甘い匂いにこちらもまた顔は真っ赤である。
しかし萌は顔を俯けているため、祐介にはその様子が伝わらず、また祐介が赤面している顔もうつむいた状態の萌にはわからないため、両者にとって好都合だったのは間違いない。そのまま抱きしめ、抱きしめられた状態でバスに揺られること十数分。
藤山台学園前のバス停に到着する。
ほかの生徒と一緒になって、スーツ姿の大人も何人か降りていく中、
「ふー、すごい混んでたな・・・」
祐介はもみくちゃにされながら外に出て、一息つきながら呟く。
バスの中でもみくちゃにされていたから顔が赤いんですよ、と言わんばかりに、バタバタと手で自分の顔に風を送っている。
「まぁ、この時間は一番登校する生徒が多いですからね。仕方ありませんよ」
祐介から見える萌の方は至って普通で、これ位のバスの混雑はいかにも慣れているという感じだった。
絶妙な角度で祐介に見えない部分は赤く染まっており、萌にとって彼に抱きとめられ続けていたという事実がバスの混雑なんかよりも重要だった。
「そうなのか・・・。明日からは早めに出よう、人ごみはそんなに好きじゃないし」
「・・・それがいいでしょう。・・・けれど、祐くんに密着できるのは思わぬ副産物だったよ・・・」
最後の方の呟きは、喧騒に紛れて祐介には伝わらなかった。
萌は、祐介と『魔女』との遭遇を避けるため早く出た方がいいか、『魔女』と遭遇する危険性を無視して祐介と密着できる機会を得るかを天秤にかけ一瞬考えたが、結局彼に同意した。
「それでは、講堂の方に向かいましょう。入学式はそこで行われます」
「あぁ、わかった」
祐介はそう返すと、萌の隣に立って歩き出す。
すると、周りの視線がやけに鋭くなった。中には、殺気を含んだようなものまである。
視線の元は男子の集団と女子の一部集団だ。
ちなみに、一部の男子の集団では、
「・・・あいつ誰だ?萌さんの隣の!」
「分からないが・・・。まさか、この春休みに・・・!」
「馬鹿野郎!不吉なこと言うな!」
「そうだぞ!そもそも、在校生は全員撃沈してるだろうが!」
「じゃあ、まさか新入生だというのか!」
「な、なんだと・・・。学園の入学式前から、そんなうらやまけしからん関係に?!」
『・・・・・・』(←全員、沈黙)
『ぐぉおおおおお、一年坊主のくせいにぃぃぃぃぃ』
「ヤってしまいましょう」
「うむ、そうだな」
「まずは、方法だが・・・」
などという恐ろしい会話が交わされていた。
祐介はそんなことなどつゆ知らず、萌と並んで会話しながら歩いていく。
祐介を嫉妬と羨望の眼差しで見つめる男子の集団と、萌を憧れの含まれた視線で見つめる一部女子の集団。
しかし、それ以外にも二人のことを見ている人物がいた。
「へぇ・・・。萌と一緒にいるあの子・・・、なかなか面白そうね」
その人は二人の様子を観察しつつ、心底愉快そうに口元を歪める。
******
「・・・であるからして、新入生の皆さんには立派な先輩たちを見習い、・・・(以下略)」
入学式恒例の長い長い学園長のお話がようやく終わり、新入生たちは姿勢を崩す。
この次は、新入生歓迎の行事となってるが、参加義務はない。しかし、藤山台学園で最初の魔術を使った行事なので新入生はもとより、在学生もほぼ全員参加する行事である。
「えー・・・、ではこれより新入生もこの学園で学ぶことになる魔術のデモンストレーションを行いたいと思います」
司会役の生徒がそう宣言する。
それとほぼ同時に、魔術によってつくられた花火みたいなものが講堂の天井すれすれを舞う。
「・・・すごいな、魔術っていうのは」
祐介は席に座ったままそれを見上げ、眺める。
「だよなぁ・・・。しかし、これだってすごい技術がいるんじゃないか?」
祐介の独り言に同じく隣に座って、それを眺めていた同じ新入生の男子が答える。
「だろうな・・・、ん?」
「初めまして、だな。俺は、天城陸也」
よろしく、と言って握手を求めるようにこちらに手を差し出す。
「あぁ、俺は麻井祐介だ。よろしく」
祐介がその手を握り返す。
「ん~?麻井・・・?どこかで聞いたような・・・」
「あぁ、多分さっきの生徒会役員の紹介の時だろ。姉さんが、副会長なんだよ」
祐介がその疑問に答えると、陸也は一瞬硬直する。次の瞬間、
「な、なにぃ!?あのとんでもない美人がか?!」
祐介がそう告げると同時に、こちらに身を乗り出してくる。
いきなり、こちらに身を乗り出してきた陸也に呆れながら、
「食いつきよすぎだろ・・・」
祐介がそう返す。
「そりゃ、食いつきもするだろ・・・。美人でさらに副会長、才色兼備とはまさに彼女のような人のことを指すんだろ・・・」
「ちなみに、Sランクだからな。変なことしようとした瞬間別次元に飛ばされるかもな」
陸也は何を妄想していたのか、ニヤニヤしていたが祐介がそう言うと青ざめていき、
「それは冗談でも喰らいたくないんだが・・・」
「確か、それくらいなら空間転移よりも簡単だって言ってたからな。よくは分からないが、空間転移のように別次元に一度移って、またこちらの座標を指定するのは結構面倒だけど、別次元に移すだけならラグなしでできるとか・・・」
「・・・よし、やめておこう。遠くから愛でるだけにしよう」
別次元に飛ばされて、出られなくなった自分を想像してガタガタと震えた後、そう宣言した。
ついでに、この時こっそりと聞き耳を立てていた周りの男たち数名も同時に諦めることになるのだが、それは祐介が知る由もない事だった。
「姉さんがSランクという事はお前もそれくらい行くのか?」
「いや、俺は―――」
祐介が陸也の質問に答えようとしたとき、
「見つけたぞ」
そう背後から声をかけられた。
「・・・。これまた美人発見だ!お前、なんかそういうのを集める魔術を使ってるんじゃないだろうな!?そうだとしたら、俺にぜひご教授を!!」
祐介は陸也の方に体を向けていたため、陸也が何を一人で騒いでいるのかわからず後ろに振り向く。
そこにいたのは、
「ふふふ、まさか私の唯一の友と呼ぶべき人物の弟までもが、ここまで面白そうなモノを持っているとはな・・・」
銀髪に碧眼、身長は萌と同じくらいだろう。ちなみに萌は、祐介よりも若干低いくらいだ。そして、祐介は身長175cmといたって男子の中では平均的にもかかわらず、彼女からは身長を錯覚してしまうくらいの威圧感が放たれている。
さらに、女子制服の上には肩から黒いローブのようなものを羽織っており、まさに『魔女』といった風貌だった。
「ふ、初めまして。俺の名前は、天城りくひゃぶっ?!」
固まっている祐介の前に出て陸也が自己紹介をしようとした瞬間、彼女がちらりと目を向けただけで陸也が面白いくらいに吹っ飛んで行った。
その方向の少し先にいた生徒が巻き添えをくらい、突然飛んできた陸也と一緒に目を回している。
衝撃的な出来事にしばらく固まっていた周りの生徒たちは、しばらくすると何事かと騒ぎ始める。
「な、なんだ?突然人が吹っ飛んできたぞ?!」
「あ、あの人じゃない?なんかいかにも『魔女』みたいなローブを羽織ってる人!」
その光景を呆然と固まったまま一言も発さない祐介に、
「ちっ、なにやら目障りなものが出てきたので吹っ飛ばしたのが仇になったか・・・」
そちらの騒ぎを視界に収めながら別の方向、舞台袖の方を見ながらそんなことを呟く。
「なんの騒ぎですか!入学早々、喧嘩ですか?!」
そして、その方向には生徒会の面々が待機していたのだろう、祐介の姉である萌と役員の何人かがこちらに駆けつける。
そして、その場にいた人間を一瞥するとこちらに目を向け、祐介がいることに気付く。
「ゆ、祐くん?!・・・となんで、貴女がいるんですか?」
その隣にいる人物に目を向けると、途端に不機嫌そうになる。
「ふ、愚問だな。私は自分の知的好奇心を満たすためならば、どこにでも現れるぞ」
萌の質問、というよりも半ば詰問に特に気にした様子もなく、そう答える。
萌の方はそれを聞きながら、一緒についてきた役員に指示を飛ばすと
「・・・毎度毎度、迷惑極まりないですね。貴女は」
こちらを睨むように見ていた目をさらに細め、怒りここに極まれりといった感じでこちらをうかがう。
先ほどの騒ぎで、注目がこちらに逸れてしまったためデモンストレーションの方も一時中断してしまったようだ。
「・・・祐くん、すぐにその女から離れてください」
「へ・・・?」
姉のいつにない真剣味を帯びた口調に呆然としていた祐介が間抜けな声を出して、萌の方を向く。
その姉の目を見た瞬間、思考停止していた祐介が本能的にその場から逃げ出そうとする。
しかし、それを遮るように、
「おっと、まぁ待ちたまえよ。私が自分の興味にひかれたものをそう簡単に手放すと思うか?」
一瞬で発動された束縛の魔術が祐介を捕らえる。
そして、縛られた彼はなすすべもなくその場に倒れる。
「ぐ、早い!」
祐介がうめき声を
「んなっ?!無詠唱だと!」
早くも回復した陸也が驚愕していた。
「んん?・・・30分は昏倒しているはずだが?」
さっきまでは、全く興味を示さなかった『魔女』が初めて陸也に意識を向けた。
「くくく、これでもBランクなんでね。ほかは、イマイチだが回復系はそこらにいる人に負ける気はしないぜ。・・・って、俺のことはどうでもいいんですよ。あんたいったい誰だよ?」
自慢げに話していた陸也が、自分を突然吹き飛ばした女を睨みながら問う。
「私か?私は鬼堂由香。鬼に御堂の堂に自由の由に香と書く。まぁ、この学園の中では『魔女』と呼ばれることの方が多いがな・・・ふふふ」
「ま、魔女?マジかよ・・・」
彼女の存在を知っている在校生は怯えたような目で、彼女の存在を初めて知った新入生は畏怖を込めた眼差しで見つめる。
一方、二人が話している間に祐介は、なんとか自力で束縛の魔術を解こうと奮闘していた。しかし、いかんせん彼はDランク。魔術が使えるギリギリのランクだ。そんな彼が、自分の姉以上にかもしれない相手の魔術がそう簡単に解けるはずがなかった。
そう本来なら、解けないはずだった。
そして、由香の方も必要以上に意識を向けておらず、油断していた。
だが、ここで一つ。
彼女にとって想定外の事態が起こる。
麻井祐介は、確かにDランクの術者だ。しかし、そんな彼にも得意な魔術が一つあり、それが術式の破壊である。
幼いころからSSSランクの母親を見て育ち、姉も同年代に比べればかなりの実力者という、そんな二人と今まで過ごしてきたため、眼だけは異常に発達しており、その眼で見れば術式の些細な綻びを見つけられるまでになっていた。祐介はこの能力を利用し、その綻びに自分の魔力をぶつけることによって術式の自己崩壊を誘発させることを得意としていた。
一見簡単そうに聞こえるが、実際は術式の欠陥を探すのに膨大な時間がかかるために極めて困難な行為である。
しかし、祐介の場合はこの時間を過酷な実践訓練と、発達した眼を徹底的に鍛え上げることにより克服し、どんな魔術でも4秒から10秒で破壊することができるようになっていた。
「!」
祐介の意図に一番最初に気付いたのは萌だった。萌は由香を睨み続けながら、彼女に対して何らかの魔術を唱え始める。
さすがの萌も自分と同等以上かもしれない相手に詠唱なしで術をかけるほど勇気はないらしい。だが、これによって由香は萌への警戒を高めざるを得なくなる。
一応教師も周りにいるものの萌と由香以上の術者はこの場にはいないのか、ほかに詠唱を唱えようとしているものは皆無だった。
(・・・想像以上に完璧な術式だけど、必ずもろい部分があるはずだ)
その隙に、祐介は両目に力を込めるようにする。すると、本来なら術者本人にしか見えないはずの円形の術式が浮かび上がってくる。
それと同時に周りの風景が白黒になり、人は時が止まったかのように動きを止める。
祐介は急いでもろくなっている部分、つまり魔力の量が少ない部分を探す。
どれほど高位の術者でも克服できない問題があり、均等に術式に魔力を通すことで魔術は発動する。だが、どうしても魔術が発動してから均等に通した魔力が不均等になってしまう。
そして、不均等になっているときは術がうまく安定せず、もし干渉を受けた場合反持続系の魔術は破壊されやすく、持続系の魔術は自己崩壊しやすい。そのため、半永久的に術をかけ続けなければいけない場合は常に魔力が均等になるように調節しなければならず、かなりの精神力を必要とする。
この不均等になっている部分は人体で言うところの人体急所と同じなので、術式急所とも呼ばれる。
高位の術者の中には限りなく安定に近い魔術を使用できるが、膨大な準備が必要となる。
今回由香が使った束縛の魔術に関してはどうやら魔力調節をしていたらしく、ぱっと見ただけではどこが術式の急所なのか、祐介にもわからなかった。
(しかし、よく考えるとせこい特技だよな・・・。なんていうか・・・、華がない?)
そんなくだらないことを考えながらも、集中だけは切らさずに術式をくまなく見ていく。
そうして祐介は術式の中心から一番離れた端の方に魔力が薄くなっている部分を見つけた。おそらく、萌を警戒しているせいで術式の安定に集中できなくなった分が、この隙を生み出したのだろう。
(よし、ここに魔力を集中させて・・・)
そして薄くなっている部分に魔力を集中すると、すぐに割れ目のようなひびが入る。
「・・・っはぁ!」
祐介が集中を解き、気を抜くと同時に止まっていた風景と人が動き出す。
バリィンッ!
次の瞬間、ガラスが割れるような音が響き、彼にかけられた束縛の魔術が砕け散った。
「なっ?!」
由香が驚愕に振り向くと同時に萌が動く。
「・・・顕現せよ、『石化する鎖』!彼の者を縛りたまえ!」
触れたものすべてを石化させる鎖が何もない空間から飛び出し、由香を拘束しようとする。
「『実体を持つ虚像』」
鎖が由香を拘束しようとふれた瞬間、別の場所から声が聞こえた。
「『石化する鎖』とは、ずいぶんと危険な術を使ってくれる。しかし、それでこそ麻井萌だ。そして、その弟もなかなか面白いことをする。『術式破壊』とはな・・・予想を裏切られたのはこれで2度目だよ。当然1度目は、萌との喧嘩だが」
「・・・いつのまに?」
「聞くなよ?気付いていたくせに」
その声に一瞬顔をしかめるものの、周りを警戒しながら祐介の近くまで歩いていく。
「にしても、姉弟そろって私を楽しませてくれる」
「・・・別にあなたを楽しませるために、生まれてきたわけではないわ」
「ごもっともだな、よっと・・・」
ゴトン、という音とともに今度は舞台の方から由香が姿を現す。
「・・・そんなところにいたのね」
「おや?気付いてなかったのか?」
その言葉に、少し驚いたように萌の顔を見る。
「『雷神の一撃』!」
それに対して萌は、とんでもない威力の雷を放つ。
「おっと」
由香はそれをダンスでも踊るかのごとく、ひらりとよける。
結果、舞台の床にあたった雷撃は霧散してしまう。
ちなみに、建物にはすべて対魔術コーティングがされており、よほどのことがない限り魔法を単純にぶつけるだけでは壊れない。
「『天の息吹』!」
続けて広範囲に強烈な風をたたきつける。
さすがにこれを避けるのを無理だ由香も考え、女神を守った盾を作り出す。
「『女神を守りし盾』」
二人の出した魔術はそれぞれ、ほぼ最高位の術。通常なら大魔術クラスの下準備が必要になるところである。だが、彼女たちはそれを省略したうえで全力の一撃を出し合っていた。
「化け物とか言われても、あながち間違っていないよな・・・」
当然、割と渦中のど真ん中にいる祐介も巻き添えをくらいもみくちゃにされていた。ただ、さすがに最低限の結界を張ることくらいは祐介にもできたようで、周囲には魔法陣が彼を守るかのように配置されていた。
「・・・ふ、全く君はレディに向かって化け物とは・・・、失敬だな」
「え?」
祐介がその声にハッと振り向く。
先ほどまで萌の正面で強烈な風を盾で受け止めていたはずの由香が背後に立っていた。
「そ、そんな、さっきまで向こうに・・・」
「空間を捻じ曲げて、そこを通ってきただけだ。それよりも、今回は萌に免じて、このくらいにしておいてやろう。しかし、次は簡単に撤退などしないぞ?」
「だから、祐くんから離れろと言ってるんです!この魔女がぁあああああああ!!『七光り(セブンスショット)』!」
由香が祐介に一歩近づこうとした瞬間、それに気付いた萌が七色の光線を飛ばしてくる。
ちなみに飛んでもない形相をしており、そのせいで何人かが失神していた。
「お、おい!殺す気かぁ?!『混沌への門』」
瞬時にそれがとんでもない威力を持つことを悟った由香は、異次元への門を召喚し萌の放った魔法はすべてそれに飲み込まれていく。
しかし、それすら承知の上だったのか、今度は身体強化をした状態でその門を飛び越えながら突っ込んでくる。
「えぇ!死んでください!」
近くにいた祐介は見ていたが由香は門を召還した後、すぐにどこかへ消え去っていた。
要するに、
「ちょ、姉さん!たんま、たんま!!」
「えぇ!!祐くん?!」
萌は祐介に殴りかかっていったわけで、結果的に二人は、
「んがっ?!」
「きゃうっ!」
真正面から熱烈な抱擁を交わすことになった。
「くくく、良かったじゃないか萌。避けられなくて」
その様子をどこからか見ていたのか、由香の声が聞こえてきたが姿は見えない。
「・・・やん、祐くん~。そこは、ちょっと・・・」
萌はその声を黙殺し、祐介に向き直る。
「へぁ?!いや、これは!その!」
ちなみに祐介が下敷きになる格好のためその手は萌の丁度、おしりあたりに接触していた。
慌てて離れる祐介を若干不満げに見つめた後、萌は立ち上がると早速事態の収拾にとりかかり始める。
「え~、色々ありましたが魔術がどんなものかは分かってもらえたと思います。時間も時間なので、今回はここまでとしたいと思います。新入生はそれぞれの教室に行って、担当の先生の指示を待ってください。それと在校生には片づけを手伝ってもらいます。それでは解散」
それだけ言うと、祐介に微笑みかけ颯爽と去っていく。
祐介はそれを見送ると、
「・・・とんでもない事になってしまったかもしれない」
一人、そう呟くのだった。
ひゃっはー、三話連投・・・
祐「どうも、みなさん。無責任作者に作られた主人公です」
・・・なんかいろいろ問題あるから無責任、無責任言わないで
祐「事実は認める。これ人として最低限の・・・」
わかったわかったから・・・
祐「まあ、別に更新するつもりがないわけではないらしいです」
続きが思い浮かばないのが正直なところです
ただ、こっちはプロットを全力で書いたのでその辺はご安心を
祐「心折れる時もあるかもしれないけどね」
うん、問題はそこだよ
祐「作者は、感想に飢えてるんだな」
いまいち、どこが悪いとかってよくわからないからな
質問も随時受け付けます。
ネタバレはしないけど
祐「珍しいな」
普通はしないもんだろ
祐「してるじゃん」
これからはなしで
祐「あ、そう」
じゃあ、とりあえず今日はこのあたりで
祐「次回更新は早くて・・・明日か、遅くても来週中にはします」
では、ここまで読んでくださった方ありがとうございます