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混沌の覇王  作者: haroeris
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第4話 ロックウッドの鉱山


 ロックウッドの街。

 死者の町と鉱山がすぐ近くにある街。


 死者の町には死者がうろつき、鉱山には多数のモンスターがうろつく。

 かっては鉱山によって栄えた街で死者の町もロックウッドの一部だった。


 鉱山にモンスターが出現し始めた頃、ロックウッドの墓場から死者が蘇り始めた。

 その影響はミールにまで影響を及ぼし、死者が街を襲う大惨事となった。

 いわゆる”亡者の襲来”だ。


 現在では死者の町と鉱山は結界によって塞がれている。

 結界を破ることは誰にもできず出入りができないこととなっている。

 当然のことながら鉱山からの収益もなくなり、街も大半が結界の中となったロックウッドの街は寂れていっていた。


 逆にそれを利用して隠者などが住むだけの、不思議な街となっていた。


 ゲームでは特にそういう設定はなく、ただ単純に高レベル者向けの狩場として認識されていただけである。


 透はそんな話を乗合馬車の中で聞いた。


(なるほど、そういう設定になっていたのか)


 ゲームではわからないことがいろいろ分かってくる。


 ランク11を超えた人の話をそれとなく聞いてみても、そんな人の話は聞いたことがないという答えが帰ってくる。ランク11が2人いるだけ。一人は戦士、一人は魔法使いとのことがわかっただけだった。


(たしかに戦士は単独で狩れたし、魔法使いも初期は単独で十分狩れたはず)


 結界で入れないよ、という人の言葉を適当にごまかしつつ、ロックウッドに到着した透は鉱山に向けて出発する。


 鉱山入口手前に来るとたしかになにか遮るものが感じ取れる。


(いってしまえ)


 透はそう意気込むと結界に向かって足を進める。

 案の定、透に結界は反応しなかった。


 鉱山の入り口は長いこと人が立ち入ってなかったように木々が生い茂っていた。

 ゲームでは鉱山の入り口にはモンスターが出なかったため集合場所とされていたところだ。

 鉱山の最下層にはドラゴンもおり、それを目当てに何度潜ったか知れない。


 人の気配はない。

 透はため息を吐く。


 すれ違いになったのかも知れず、しばらく野宿のつもりではいたため野宿の準備を整える。

 テントを張り、火を起こすための竈を作った。

 近くには山からの水の流もあり、水に困ることもない。


 念のため鎧をつけておこうかと考えアイテム欄からソウルメイルを取り出す。

 ゲームの通りなら一瞬で装備が着け変わるがそうはならないらしい。


 透はブラウスを脱ぎソウルメイルを装着していく。

 装備方法は何故か頭の中に入っているようで迷いもなく装備できる。


 ソウルメイルはビキニタイプの鎧だ。

 これでも防御力が高いのは魔法鎧だからだ。

 個人的にはあまり好きではないが、その防御力は無視できない。

 見かけだけ言えばソウルメイルのほうがラビリンスメイルよりもむき出し部分が多いのだが魔法耐性なども含めてソウルメイルのほうがはるかに上だ。

 それ以前に手持ちのラビリンスメイルはもっと低いレベルの装備なので強い装備は他にもあるが、金ぴかだったりと透の趣味に合わないので持ってない。


 透にとって一番ありがたかったのは装備の締め付けだった。

 装備をして気づいたのだが今まで気になっていた胸の揺れを気にしなくていいことだ。

 武具は体の動きを遮ることなく全身に密着するため、胸も軽く締め付けられる。

 少し苦しいがそれもあまり気にならない。


 次にアスカロンも取り出し装備する。

 アスカロンは両手武器だ。そのため盾は装備できない巨大な金色の剣だ。

 背中に背負うタイプでこれにも魔法がかかっている。

 片手武器の場合には盾も装備できるが、アスカロンのほうがいろいろな効果が付いている。

 アスカロンにも魔法耐性やHP+などが付加されている。


 武器もアスカロン以外は初期装備の木刀しか持っていない。

 ほとんどの狩場は木刀、または素手で十分だし、スキルもウィングブレードやトルネードブレードで十分対応できる。

 昇格で手にれた4連続攻撃も可能となっているため透はかなり強い。


 レベル11なんかではどう戦っても勝てないレベルになっていると思う。


 4週間。

 それが自分に課した時間だ。

 その間に誰かが来ればよし、来なければここを引き払い自由に生きよう。

 幸い金はあるし、生活するための実力もある、はず。

 そう言い聞かせて、透は素振りやスキルの使い方を身に染み込ませていく。


 ただ待っているだけではつまらないので、実力確認のために鉱山に潜ることも決めた。


 テントや竈があれば、ここに人がいることがわかるだろう。


 潜ると言っても表層部分だけで、多数の敵と渡り合うようなことはしない。

 弱いと言ってもレベル99のみが入ることを許されたダンジョンだ。

 一筋縄ではいかない。


 地下1階には大した敵はいない。

 いても少数なのでのんびりと狩りをすることができる。

 フルーションのおかげといえばそれまでだが属性アイテムの付け替えなども慣れてきた。


 属性アイテム。

 ゲームでは敵に属性が設定されていた。

 それは種別によって設定されているわけではなく同じ種類のモンスターでもそれはランダムになっていた。

 地水火風と光と闇。

 地水火風はそれぞれ相性が存在し、的確な相性にしないと防御では最悪は1.5倍のダメージを受け、攻撃では0.75倍のダメージしか与えられないこととなる。

 その為、的確な装備アイテムを付け替えるということが必要となる。


 ゲームではそれをショートカットで設定できていたが、実際には異なる。

 盗賊ならば遠距離からそれを見破るスキルもあったが、戦士にはない。なので実際にダメージを与えて、受けてみてそれを即時に判断し付け替えていた。


 右腕のリストバンドで防御属性、左腕のリストバンドで攻撃属性が決まる。

 その為なのか鎧のベルト部分にリストバンドを付ける部分があり、そこに全属性のリストバンドを付けつ、それを付け替えつつ戦うというのがショートカットの代理となる感じだった。


 またゲームでは闇は実装されていたが光は実装されていなかった。しかも闇はレアアイテムで、かつ闇属性や光属性の敵もいなかったため、それについては透も気にしていなかった。


 戦いに高揚感が増すのは戦士としての性なのだろうか。

 幸いここの敵は最下層近くでは無い限り魔法を使ってこない。

 それが一番の救いだ。


 戦いでわかったことは死体が残らないことだ。

 死ぬと同時にお金を残して消えて行く。

 アイテムを落とす敵の場合にはアイテムを残して消えて行くのだろう。

 その辺りもゲーム通りなのが透には不思議だった。


 斬ることで血しぶきは上がり、返り血も受ける。

 切られれば血も吹き出る。痛みも伴う。

 しかし敵を倒せばその返り血すらも消え、一定時間で自分の血も傷もすっと消えていく。

 便利といえば便利だが不思議に思う。


 また痛みも本来ならかなりひどいはずの怪我でも現実のように思えない程度だった。

 足の小指を打ったという話を聞けばなんか自分も痛くなってくる感じ、といえばわかるだろうか。その程度の痛みでしかなかった。


 あまり深くまでは潜らずに表層近くでの戦いを続ける。

 そんな戦いを繰り返していく。

 途中では大したアイテムも落とさないがそれなりの経験値も入る。微々たるものだが。


 経験値が一定量貯まれば神域への通行許可が降りる。

 通常はHPやMPの増加のためだが、今の状況は異なる。


 現状を正すにはその知識が必要だ。

 神が教えてくれるとは考えられないが……。


 そんなことを考えつつ透は敵を倒し続ける。

 自分自身のみに対するHP回復魔法セルフヒーリング。

 そういった魔法系スキルも一部だが持っている。無いよりはましという程度だが。


 また戦士スキルの一つ武器防具の修理スキル。

 これがあれば防具や武器を修理に出す必要がないかなり便利なスキルだ。たまに失敗してしまい壊すこともあるがスキル熟練度が高いのでめったに壊すことはない。


 これで同じランクの後衛が入ればドラゴンとすら戦えるのだが、生憎同レベルの後衛とは出会っていない。


 しばらくは様子見といったところだろうか。

 鉱山の中では時間の感覚が薄れるが腹の減り具合で適当に昼頃になると外へ出て食事をする。

 午後には武具の修理。

 そんな毎日を透は過ごしていた。


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