歴史
半日ほど歩いた、その間2人の間には無言が続いていた、話す内容が無いわけではないが、ササキは周りを警戒していたのと道中険しい道のりであったことも要因だろう。「ふぅーやっとついた。」
あたりは太い木々で生い茂り、とても目的地だと思いもしない場所であったが、それを察したようにササキが近くにあった大木に手を当てる、途端に突如として何もなかったような大木の表面がスライド式に動き空間ができる。スイッチを操作しながらササキは言う「これ地下へのエレベーターなのよね。もう安心していいよ、奴らにはまだバレてないから」奴ら?ササキが道中に警戒していた理由はそれか、としても奴らとはなんだ?
「あーそう言えば記憶がないんだっけ、おおじいちゃんに聞くといいよ、こうなった理由を知れると思うから。」そう言い終わると扉が開く。そこは寒く暗くとてつもなく広い、そして少し先には崖が見える。崖に近づくにつれ下から照らされているのが分かる。断崖に張り付くように作られた居住区は無数の光によって照らされ、田舎の星空に近しい美しさを感じるほどであった。「綺麗でしょ?あそこが私らの住まいだよ、案内するね」
さらに近づくにつれその全貌が見えてきた、星空に見えた光は蛍光灯に、地を這うパイプ、足元は土から鉄の感触に移り変わる。階段を降りてさらに下の下層に行くうちに次第に人がまばらに見えてくる。最下層に着くと上からは見当もつかない、地上の夜と大差ないように見える都市が広がっていた。「ここが主要都市地国だよ。まぁ名前の響きと違って、案外住みやすいんだよ。ほなうち行こっか」ササキの家はすぐだった。「あー私のおおじいちゃん、厳しそうな人に見えるけどすごく優しいから安心していいよ」と前置きをし家に入る。「おかえり」出迎えたのはだいぶ高齢な男で、優しくササキに微笑む。しかし私の顔を見るや「誰だ貴様は?外の物だな」先ほどの笑顔は消え、初対面のササキと比べものにならない程の警戒心を見せた。ササキは事の経緯を説明する。「なるほど、でここに来たわけか?まりもとやら」おそらくはネーミングセンスに対してのため息混じりの返答に「人手が欲しいって言ってたじゃん」っと返すササキ、一通りの雑談が済み本題に移った。現在の地上についての説明だ。「記憶喪失か、やれやれこの話はあまりしたくないんだがの、、」おおじいちゃんの目には複雑な感情が見える。「あれは200年ほど以上の前の話だ、我々はあの化け物といつのまにか共存していた、いつから存在していたかは分からない、と言っても当時の人間より遥かに数は少なく、居住場所は分けられていた。そして我々も人間と姿形が同じ奴らだからと、警戒心などは一切なく平和に過ごしていた。しかし、奴らは人間とは全く違うところがある、知能の高さだ。奴らは人間をも遥かに上回る独自の科学力の進化を見せ、我々人間は次第に恐怖しその技術力を妬んだ。その感情が芽生えてからはすぐだ、奴らの技術を奪い根絶やしにするため戦争を起こした。圧倒的な人数有利で、戦争はすぐに終わると思っていたが、我々は奴らを侮っていた。とてつもない技術力で対抗してきて、戦争はとても長く続いた、長く続けるにつれやがて地上は業火に焼かれ、双方は甚大な被害を被り、互いに戦争する力を失い終息に向かいつつある。ただ、今も戦争は続いている、奴らは失った力を再び取り戻し完全に我々を蹂躙するつもりだ、だか黙ってやられるかと、人間の意地を見せてやるのじゃ!、、」とおおじいちゃんのボルテージが上がってきた頃ササキが話を遮る、「でね、今は奴らから逃れる為に、地下で生活して、資源の確保と地上の状態の偵察する為に人手が欲しかったんだよね?おおじいちゃん?」話を遮られたおおじいちゃんは落ち着きを取り戻し。ああ、そうだと頷いた。「今日は疲れたでしょう?歩きっぱなしで、記憶も失ってさ、ひとまず休んで、また明日今後どーするか決めよっか?」部屋を渡され、ベッドに着く。考え事をする間もなく眠りについた。
これでいいんかな?いいよな、、?




