イタズラお化け
『イタズラお化け』
十月三十一日のハロウィンの夜。大学でのハロウィンパーティを終えて良い子のジャックは、ハロウィンの賑やかな町を歩いていた。手には目と口を開けた白い布。仮装に為に作ったのだ。
「どうするか。ラインで誘われた二次会、飛び入り参加すべきか」
町にはお化け達で溢れかえっていた。
「やっぱ、時間「も遅いし、帰るか」
あちらこちらから悲鳴が聞こええる。それは死んでもなお、現世に留まっている死者達の叫びだった。
「うん。やっぱり、幽霊見えてるな」
それに気づいたのは七年前の事。
ジャック・オー・ランタンの結婚式に紛れ込み、その事実を知った、
「おし、無視だ。無視」
そう決めた時。
「キャー」
と悲鳴が聞こえた。白い布を被った子供が女の子のスカートの中に頭を突っ込んでいる。
「もぉ、たまらん。若い女の子は新鮮でいいねぇ」
おっさんかとツッコミたくなる。でも、ぐっと抑えた。あんなにぐいぐいとスカートの中に頭を入れて反応がないという事は、恐らく、あの子供は幽霊だ。
「無視しよう」
そそくさとその場を離れよとしたが。
「待て!イタズラお化け」
かぼちゃの目と口をくり抜いた物を被った七歳ぐらいの少年がマントを翻して現れる。
「あっ」
良い子のジャックの記憶が戻って来る。ハロウィンマン、もとい、ジャック・オー・ランタン、バー子さん。良い子のジャックは立ち止まり、顎を上げた。
「くそ」
持っていた白い布を被った。イタズラお化けとハロウィンマンジュニアは対峙し、睨み合っていた。
「もう、諦めろ。僕が来たからには止める」
「おい、こら。チビども。喧嘩は良くないぞ」
「はっ?」
「えっ?」
二人はジャックを見る。イタズラお化けは睨んでくる。
「お前、どこのお化けだ?」
「あなたは誰ですか?生きている人じゃないですよね?僕等がはっきり見えているようですし」
ジャックはたらたら汗を流し、両手を上げて言い訳を言う。
「すぐそこの大学に住む者だ。それより、ちびっこ共、何を揉めているんだ?」
イタズラお化けは頭をジャックの腹めがけて突き付けてくる。そして、舌打ちしてハロウィンマン・ジュニアを指さす。
「おい、ハロウィンマン・ジュニア。いくらお前が、とても美しいお化けバー子さんの息子でだとしても、僕の一年に一度の楽しみを邪魔する権利はないはずだ」
「…」
さすがの発言に絶句する。恥ずかしげにもなく、女に子のスカートに頭を入れておいて、何を言うのか。ジャックはイタズラお化けをほり投げて一歩進み出る。
「おい、イタズラお化け、バカな事言うなよ」
ジャックはイタズラお化けに詰め寄る。
「近づくな」
イタズラお化けは一歩下がる。身の危険を感じたのか、イタズラお化けは両手を高く掲げて、力ある言葉を口にする。
「風よ、吹け。我を守り給え」
「はっ?」
ジャックは小首を傾げる。
「いけない。いたずらお化けは風神の子供なんです。風を自由に使えます!」
焦るハロウィンマン・ジュニア。その時。
「キャー。何?この風?」
たくさんの女の子達が風によってめくれ上がったスカートを押さえている。でも、抑えきれず、めくれ上がり、カラフルなパンツが覗く。ツゥと赤いはなじを流すイタズラお化け。
「今だ」
ジャックは手の平を握り、イタズラお化けに殴りかかる。
「ぐはぁ」
ポカリと殴られて後ろ向きに倒れる。そして、ジャックはイタズラお化けの首根っこを掴み、持ち上げる。じたばたと手足を動かすイタズラお化け。
「無礼者。その手を離せ!」
ぐぃっとイタズラお化けに顔を近づける。
「もうイタズラはしないか?」
そっぽを向くイタズラお化け。
「凄い。僕を手こずらせたイタズラお化けを止めた」
ハロウィンマン・ジュニアの肩に手が置かれる。
「彼は良い子のジャックだ。我々を救ってくれた子だ。あれぐらい簡単さ」
「お父様、お母様」
いつの間にか、バー子とジャック・オー・ランタンがハロウィンマン・ジュニアの隣に立っていた。良い子のジャックはイタズラお化けを離し、イタズラお化けはあっかんべーと舌を出し、闇に消えていった。
「やぁ。久し振りだね。良い子のジャック」
「ハロウィンマン・ジュニアはお二人のお子さんだったんですね」
「ふふ。立派になったわね。良い子のジャック」
「さぁ。我らは帰ろう。良い子のジャック、好いハロウィンを」
「ありがとう」
三人は寄り添い闇に消えていった。




