男としての覚悟
「朝陽、大変だ!」
教室内に湯田と鳳仙、古谷がなだれ込んできた。
「東雲と葛城がケンカするってよ!」
そして大野の手前で叫ぶ。
「ケンカだって? いつものじゃれ合いじゃねーのか?」
覚めたように言い放つ大野。葛城と東雲がぶつかるのはこれで三度目だ。
「だが今度は奴ら本気だ。おそらく首の獲り合い。全ての決着がつく!」
「どうすんだよ、朝陽。このままじゃ東雲たちのいいようにされちまうぞ!」
古谷が言った。
「お前だって悔しいんじゃねーか。憎っくき、あいつを倒すことなく、退学に追いやられるなんて」
それに重ねる鳳仙。
「いずれはアンディと明智の件で、警察も介入する。そうなりゃこの抗争は確実に手詰まりになるんだぜ」
加害者はいまだ逃走の身だった。いずれ学園に警察が介入するのも時間の問題。
「やるなら今しかねーだろ。最後に奴らを道ずれにするんだよ」
こうして三人執拗に食らいつく。
それを黙って聞き入る大野。
教室内には湯田たちの他にも多くの生徒が集っていた。
その誰もが大野を慕い、心配して集まってくれた志士の会のメンバー。彼らは彼らで固い絆の下に集っていた。
「確かに俺らは処分される」
静かに言い放つ大野。
「だが残された志士の会のメンバーには、肩身の狭い想いはさせたくないよな」
その大野の一言で、場がにわかに活気づく。
「そうだ、悪鬼は俺らのリーダ!」
「やるぜ学園制覇!」
「悪鬼をてっぺんに押し上げるんだ!」
真の友情、本当の男たちがそこにはあった。
もちろん真実はまだ藪の中。その活気を他所に、腹の内でほくそ笑む連中がいるのは確か。
だがとにかくこうして、第一次オーク戦線は最終局面を迎えるに至るのだ。




