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……最悪
雨でしらばむ光景に、サイレンの音が鳴り響く。
辺りを赤く染め抜くパトランプの光。
数台のパトカーが停められて、物々しい空気が支配している。
ガガッ、無線の繋がる音が響いた。
『こちらPC25。手配中の少年はまだ逃走中。おそらくナイフで武装しているものと思える。至急各地に配備願います』
ザーザーと雨が降る光景。
救急車の後部にストレッチャーが載せられる。
「ヤダ、死んじゃダメだよ!」
その傍らにはリサの姿。
手に赤い傘を携えているが、それをさす気にはなれない。
雨なのか涙なのか、その顔から幾多の雫が流れ落ちる。
「助けてください、どうか助けて!」
救急車に乗り込むと救命士に向かって懇願する。
「大丈夫だから落ち着いて」
救命士は冷静に言い放つが、他の救命士は必死の様子。
「心臓が動いてない、AEDの用意を」
「すぐに受け入れてくれる病院を」
明らかな命の危機がそこには見えた。
やがて救急車がしらばむ光景に消えていった。




