子供か……
シュウと猿飛の戦いは続いていた。
大振りで攻撃するシュウだが、その攻撃は猿飛には届かない。
逆に猿飛の攻撃を受けて、小刻みなダメージを貰うだけ。
その様子には、見てるだけの由利も戸惑うばかりだ。
「なんやシュウの奴、意外と純情なんやのう」
床に胡坐を搔き、食い入るように2人の戦いに見入っている。
その膝の上、イチゴは無事なようだ。お眠なのかすやすや寝入っている。
「もう、シュウはタフだな」
猿飛にしても、いい加減スタミナ切れの様子だった。
あれから十数分。あれだけ常人離れした動きをすれば流石に息も切れてくる。
そもそも忍びの者は、刹那の時間に生き、刹那の時間で終える者だ。
長時間の戦いは得意じゃない。
それにメインは刃物などの武器。徒手空拳の戦いは苦手だ。
対するシュウは項垂れ、なにやらぶつぶつ呟いている。
猿飛は気づかないようだが、由利にはなんとなく察せられる、なにか堪らない葛藤の中にあるんだろうと。
恐ろしいほどの葛藤。己の生死さえ左右する究極の葛藤だ。
それを他所に、猿飛が態勢を構えた。両足を駆使して大きく飛びあがる。
シュウの頭上まで飛び出すと、拳を構えて大きく振りかぶる。
「もう面倒だな!」
シュウが吠えた。先ほどまでと違う、神妙な表情。
ぐっと大きく飛び上がり、猿飛の背後を取る。
「えっ!」
堪らず宙で態勢を変える猿飛。
だがそれにシュウは即座に反応する。
猿飛の背後を取ると、両腕でその身を捉えた。
「あっ?」
猿飛の顔色が真っ赤に染まる。
「小娘の分際で、俺をなめてんじゃねーぞ!」
シュウが吠えた。なぜかその顔も真っ赤に紅潮してる。
そして2人、身を交差して背中合わせに飛び退いた。
「言っとくがそれは、俺様の真意じゃねーからな」
何故か言い訳がましく言い放つシュウ。
その背中越しに、猿飛ががっくりと膝を折った。そして静かに床に突っ伏す。
「シュウに、おっぱいを揉まれた」
やがて言った台詞はそれだ。
「馬鹿、卑猥な言い方すんな!」
すかさず言い放つシュウ。
「揉んだじゃないか、その手で、がっしりと!」
こうして始まる激しい言い争い。
それを由利が覚めたように見つめる。
「子供か……」




