白日の下に
「もしかして、リサを襲ったのって……」
返ってくる明智の返事はない。暗にイエスと言っている。
「てめーなのか!」
アンディが明智の腕を掴み取った。
「だからなんだ!」
呼応して吠える明智。
もう限界だった。いつまでも嘘なんか付いていられない。楽しみにしていた命が消えたのだ。心まで誤魔化せない。
それが人として、普通の感覚だろう。心を誤魔化してまで嘘は付けない。
だがそんな明智の思いなど、他からすれば共感出来る筈もない。
「嘘だろ、あんたなのかよ」
わなわなと震えるリサ。その表情から血の気が引く。
「あたしに触んじゃねー!」
嫌悪感を顕にし、心から吠える。
「よくもあんなことして、あたしらに近づいたもんだな!」
リサの怒りの原因は、その後の明智の態度にあるようだ。
自分を犯しておいて、何食わぬ顔で近づいて、他人の仕業のように同情の言葉をかけていたこと。
その白々しさに拒絶反応を抱いていた。
そしてもちろん、怒りに燃える人物がもうひとり。
「明智てめー!」
それはアンディ。怒りを前面に押し出して、明智の胸ぐらをねじ上げる。
「うるせー!」
それを明智は払い出す。
「大体にして、お前がリサに愛情を注がなかったから、子供を流したんだろ?」
「どういう意味だ」
「その通りの意味だ。なにが神さまだ。あの子は人の子だろ?」
「人の子だぁ? レイプ魔がよくいうな!」
互いに自らの主張ばかりで平行線。
ゆえに互いに、ますます怒りが込み上げてくる。
「ふざけんじゃねーぞ!」
アンディが明智の腕を掴み取った。懐からなにか取り出して一閃させた。
それはナイフ。明智の制服の胸元がぱっくりと切り裂かれる。微かに皮膚を掠め、血が滴った。
「なんだケンカか?」「こいつ刃物持ってるぞ!」
辺りに飛び交う悲鳴。リサを始めとした一般人が、誰もが恐怖に脅えて後ずさる。
そしてそれは明智にしても同じ。
「くっ!」
流石にアンディの覚悟が分かったか、その場からさっと飛び出す。
「逃げんじゃねー!」
すかさずそれを追うアンディ。
「止めて、誰か止めさせて!」
ザーザー降り続く光景にリサの悲鳴が響き渡る。
明知とアンディの姿が、しらばむ光景に消えていった。




