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新たなる予感

 そんな風に思いながら、真夜中の国道線を爆走していると、対向車線に2台のバイクの姿が映った。


 知った顔だ。確か前田と真田、夏樹という同学年の奴らだ。


 中央にいる金髪の華奢な奴が夏樹。乗り込むのはカワサキFX。

 ひ弱そうな見た目のくせに、キティホークという暴走集団を立ち上げた男だ。


 前田と真田は、原付バイクで疾駆している。

 暴走族というよりは、バイク同好会。単なる仲良しごっこの雰囲気を醸し出してる。


 勇んでチームを立ち上げたはいいが、暴走族としての雰囲気は見せていない。

 現状ではごっこ過ぎて、ほとんどの連中から無視されているが、このままやり過ぎれば、そのうち叩き潰されるだろうというのが、校内でのもっぱらの噂だ。



 この小僧、あろうことか市内最大チームオルフェーヴル特攻隊長、加藤かとうを、自らのチームに勧誘したそうだ。


 加藤はオルフェーヴルでも最強を誇る男。現状、総長より強いのではないかと噂される存在。


 それを他のチームに勧誘しようなど、普通の感覚じゃあり得ない。単なる馬鹿、校内ではそう揶揄やゆされている。


 もちろんそれは又聞きの単なる噂話だ。その場にいた訳じゃないし、本人の思いなど他からは知る由はないから。


 だからこそ誰もが馬鹿だと揶揄してるのだ。



 だが本当に、あの夏樹は馬鹿なのか。それなりの実力があり、それだけの気迫と、想像力を伴って勧誘したとなれば、その行為は賞賛に値するだろう。


 大義を慮り、正義を貫く。赤ずきん時代の伝説の七人にも似通った行為。


 それでもそういった人物がいないから、彼らは伝説になったのだ。


 おそらくこの夏樹も、単なる馬鹿。伝説の足元にも及ばぬ存在。



 いや仮に、もし夏樹が伝説の存在になるのならば、真っ先に自分がその首を跳ね飛ばす。


 それが大瀬良拓未としての気構え。


 伝説は創り出すもの、もしくは排除するもの。その両極端しかないから。



「拓未なに見てんだ? あんな雑魚にかまってる余裕はねーんだからな」

 案の定、先輩の方も夏樹を単なる雑魚と認識してる。


「今回の戦争、働き如何いかんじゃ、お前もチームの一員として認識される。うまく行きゃ幹部の目だってあるかもしれん。気合入れて行けよ」


 とはいえ拓未も、チームに加入したばかりの新参者だ。

 ところどころじゃ未来の幹部後方生とも言われているが、それも現実じゃない。


 まずは足元を固めて、着実に名を売って、地位を築き上げる必要はあるから。


 拓未は拓未で、まだ始まったばかりの存在だから。


 いつか伝説を創るのは自分だと信じているから。




 その翌日、大瀬良拓未は志士の会を離脱する。


 後の本牧レジェンド、特攻隊長を勤める男だ。



 それにこの大瀬良拓未。普通の人間とは違うところがある。それは霊感があること。

 普通では見えぬ、恐ろしいものが見えてしまう。

 小難しいので割愛するが、ある種シュウと同じ能力の持ち主。



 ということで、大瀬良拓未の逸話は別の機会に。



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