赤い特攻服の女
流石にマズイ、どう考えてもヤバい。そう幾度とラッキーが続くはずはない。
そう思った。
このまま5人がかりで袋にされて、ボロボロにされるのは確実だ。
そこを通りかかる人の姿はない。時折後方の細い路地をヘッドライトを灯した車が通過していくが、赤いテールランプを残して走り去っていくだけ。
遠く国道線からは、単車の甲高いエキゾーストとパトカーのサイレンが聞こえてくる。
この時間になると、国道線を暴走族が走り出すのは知っている。その都度大捕り物劇が開催されるのも知っている。
この街は暴走族が異様に多い。大小様々。群雄割拠の有様になっている。
しかしそんなこと、今の拓未にはどうでもいい問題だった。
「ぐっ」
瞼を閉じて身体を硬直させて、その場に立ち尽くすしか術はなかった。
気のせいだろうか、そのエキゾーストの響きがひときわ大きくなった気がした。
必死に踏ん張っていても、男たちが攻撃してくる様子はない。
ゆっくりと瞼を開ける。
不思議な状況だった。目の前の男たちは目を大きく開いて立ち尽くすだけ。
視線は拓未ではなく、その後方に注がれている。
不思議に思い、拓未もゆっくりと後ろを振り返った。
そこはまばゆいばかりの光に包まれていた。激しく耳をつんざくエキゾースト。
そこに一台のバイクの姿があったのだ。そしてまた一台現れて、光と共に拓未の視線を幻惑する。
最初拓未は、それを男たちの仲間だと思っていた。5人の男が7人に増えて、このまま殺されてしまうんだとさえ思っていた。
だがよく見れば、着ている特攻服の色が違った。現れたのは鮮やかな赤い特攻服。
「レジェンド……」
大男がぼそりと言った。
その視線は赤い特攻服の一番手前に注がれている。
「大丈夫かい、少年?」
その人物が言った。温かみのあるか細い声。
その頃には拓未も、幻惑された視線に慣れてくる。
その人物は明るく染めた、長い髪の人物だった。それを後方でひとつに結わえている。
驚くほど小柄な身体。ヘタすれば拓未より小さいかも知れない。
整った顔つきで、澄んだ視線。口元には笑顔が似合う。
それは女だった。歳は拓未よりは数個は上だ。おそらく高校生。年上のおねーさんだ。
「なんだよ、“ブラックインパクト”は、ひとりじゃなんも出来ないのかよ」
覚めたような台詞。
拓未同様、相手を煽る台詞のようだ。女だてらに威勢がいい。
「詩織、奴ら子猫イジメてんじゃねーか?」
真後ろの仲間が言った。
「あいや、俺らは」
すかさず答える大男。
後方で手を動かし、仲間に合図を送る。おそらく『子猫を逃がせ』そう伝えてるように思えた。
それに呼応して仲間が子猫の拘束を解き解く。
子猫は母猫に寄り添い、親猫共々神社の境内に消えていった。
だがよく見れば、着ている特攻服の色が違った。現れたのは鮮やかな赤い特攻服。
「レジェンド……」
大男がぼそりと言った。
その視線は赤い特攻服の一番手前に注がれている。
「大丈夫かい、少年?」
その人物が言った。温かみのあるか細い声。
その頃には拓未も、幻惑された視線に慣れてくる。
その人物は明るく染めた、長い髪の人物だった。それを後方でひとつに結わえている。
驚くほど小柄な身体。ヘタすれば拓未より小さいかも知れない。
整った顔つきで、澄んだ視線。口元には笑顔が似合う。
それは女だった。歳は拓未よりは数個は上だ。おそらく高校生。年上のおねーさんだ。
「なんだよ、“ブラックインパクト”は、ひとりじゃなんも出来ないのかよ」
覚めたような台詞。
拓未同様、相手を煽る台詞のようだ。女だてらに威勢がいい。
「詩織、奴ら子猫イジメてんじゃねーか?」
真後ろの仲間が言った。
「あいや、俺らは」
すかさず答える大男。
後方で手を動かし、仲間に合図を送る。おそらく『子猫を逃がせ』そう伝えてるように思えた。
それに呼応して仲間が子猫の拘束を解き解く。
子猫は母猫に寄り添い、親猫共々神社の境内に消えていった。




