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厳かなる神社での出来事


 その日大瀬良拓未は、チームの集会に出向いていた。


 彼が所属するチームとはロード系チーム、いわゆる暴走族。本牧レジェンド、市内でも中堅規模のチームだ。



 拓未がこのレジェンドというチームと出会ったのは、今から四年前。拓未が小学校高学年の頃だ。


 彼の趣味は古典落語。街のホールで寄席があって、それを堪能して帰る途中の出来事だった。



 寄席が終わったのは午後の9時過ぎだった。


 そのホールは繁華街の一角にあって、その時間には夜の街を楽しむ大勢の人々でにぎわいを見せていた。


 青春を謳歌する二十歳ぐらいの集団、程々に酒に酔ったサラリーマンの集団、デートを楽しむ若いカップル。


 拓未のような小学生の姿などどこにも見えない。

 この日拓未は、『友達の家に遊びに行くから』という理由で、単身ここを訪れていた。

 知り合いの先輩から制服を借りるという、偽装工作までして。

 一応制服を着てれば、小学生という理由で警察に補導されないだろうから。



 落語の余韻もあってか、その繁華街の様子が拓未にはキラキラと輝いて見えていた。


 それでも彼はまだ小学生の身だ。エリートという訳でもないが不良と呼ばれる存在でもない。


 明日も授業はある。このまま帰って寝ようと、家路への帰途を急ぐ。



 彼の実家はここから数キロ離れた場所にある。繁華街を抜け、裏道を通り、16号線の併設する場所だ。


 そんな訳で、彼は裏通りを抜けて歩くことになる。



 裏通りは繁華街とは違って、薄暗く寂れた光景が広がっている。


 ぽつりぽつりと灯る街灯、そこに行きかう人の姿は皆無。時折車が通るぐらい。



 遠くの方に数基灯る灯籠とうろうの姿が見えた。白地に赤のみやびな代物。


 そこはわりかし大きな神社がある。境内へと続く参道を灯す灯籠だ。

 寂しさの中にも夜空を厳かに染めて、幻想的な雰囲気を醸し出していた。


 しかし拓未は、その前を横切ろうとして少しばかり緊張した。


 神社に続く参道に、数人の人物の姿があったからだ。

 それぞれグレーの特攻服姿。いわゆる暴走族。


 背後に数台のバイクを停めて、うんこ座りでしゃがみ込み、帰宅する拓未を見つめていた。年齢はおそらく高校生ぐらい。

 にやにやと口元に笑みを浮かべ、あざけるような視線を向けている。


 もちろん拓未とすれば、そんな連中を相手にするつもりはなかった。


『ダッセー単車』そう心で毒付いて、そこを通り過ぎようとする。



 拓未にはもうひとつ趣味というか、興味をそそられる存在があった。


 それはバイクだ。あのメカメカしい武骨なデザインに興味をそそられていた。

 いつか免許を取って、自分のバイクを買って、街中を颯爽と走りたい。そんな漠然とした夢はあった。


 もちろん自分のものにするならセンス良く、おしゃれに。それがモットーだ。


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