キミはボクが叩き潰す
この日をもって淀川エリは生まれ変わる。
イソノとノハラの実力は凄かった。
エリの美女としての才能を発揮させ、学園ナンバー1のトップアイドルにのし上げる。
呼び名をエリザベートと改めさせ、髪形や制服なども派手なものとした。
エリにはもともとの資質があった。いわばダイヤの原石だった。的確なカラット加工を施せば、何者にも汚すことなき輝きと、何者にも屈せぬ強さを誇る。それを現実なものとしたのだ。
それにイソノとノハラはケンカの腕っぷしもある元ヤン。エリの側近として能力を発揮する。
更に上原は、エリの心の友として様々な悩みにアドバイスをくれた。
その縁もあって、山崎や桜田、幾多の猛者が彼女のバックアップをかってくれた。
それと同時に、宅ちゃんも動き出す。
元々学園内には彼を中心とした忍びの部隊が潜んでいた。生徒会に対抗する影の部隊だ。
それは最初は小さい流れだった。しかし2年の月日を得て、雄大な大河となる。猿飛、由利の入学だ。
それによりエリの勢力は学園でも最大派閥となる。
このままうまくいけば、生徒会とも互角にやり合えるかもしれない。
念願だったオーク学園生徒会の転覆。それが現実味を帯びてきた。
だがそこで急激なブレーキが生じる。
黒瀬修司、通称シュウ。それが彼女らの躍進を阻んだのだ。
霧隠宅、雷に打たれて重傷。由利征四郎、シュウとの死闘で重症。
その他の十勇士、猿飛を除いて敗北。
更には朋友である山崎孝之にも悲劇が……
その話を、シュウとゴン太は呆然と聞き入っていた。
「こうなるとボクは、キミを許す訳にはいかなくなるんだ。キミが征四郎、そして宅ちゃんを追い込んだから、ボクらは不利な状況になった。生徒会への挑戦は夢想に終わった」
敢然と言い放つ猿飛。
「だからキミには、ちゃんと償ってもらわなきゃならない」
そのらんらんと輝く視線がシュウを貫く。
「もちろん今すぐって訳にはいかない。キミだって怪我の具合があるし、数日は“喪に服さなきゃ”ならない」
相変わらず病院のロビーは、大勢のオーク生徒たちが行き交っている。
それも学園でもトップクラスの面々。上原歩夢、桜田宗一郎、葛城誠、永瀬晋作、その他にも名だたる連中の姿が浮かぶ。
そしてそこには淀川エリの姿もあった。
その殆どは3年生。誰もが困惑の表情を浮かべ、中には人目も憚らず、涙するものもいる。
「おそらくこれで、3年生の持ち時間は終わったようだ」
意味深に響く猿飛の声。
その意味は、この場に居合わすシュウたちにもなんとなく察せられる。
“譲り葉”という言葉があるが、世の中というのは一代のみでは続いてはいかぬもの。
新たなる葉が芽吹き、古い葉は抜け落ちていくもの。
それが世の中の摂理であり、歴史であるから。
「黒瀬修司、キミはボクが叩き潰す。山崎孝之の“喪が明けて”からね」
時代は変わる。新たなる世代へと継いでいくために。




