単なる逆恨みなのか?
それから数時間後、ある病院のロビーにシュウとゴン太、それと由利の姿があった。
宅ちゃんが担ぎ込まれた病院だ。
宅ちゃんは一命は取り留めていた。それでもあの落雷だ。数か月は治療に専念しなければいけないとのこと。
一方で由利は全治一か月。シユウの頭突きで、頭蓋骨にひびが入っていた。
あの後気絶した彼を、シュウがここまで連れてきていた。
対するシュウは絆創膏数枚。ゴン太の方もシップや包帯が巻かれているが、見た目以上にひどい状態ではない。
「しかしとんでもない石頭やな」
呆れたように包帯の巻かれた頭を振る由利。
「馬鹿野郎、俺様の頭は超合金だ」
「中身も超合金か?」
「中は空っぽだ」
ロビーには他の人影はない。薄暗い常備灯と消火設備の赤が灯るだけ。
その目の前にある通路は、緊急手術のために行き交う、多くの人々の姿が見える。
「俺様はこれで許す訳にはいかんからな」
ムカつき言い放つシュウ。金太マンの恨みはまだ晴れずにいた。
それを覚めたように窺う由利。
「だいたいなんなんやその金太マンって?」
「これだ」
シュウが差し出したのは、いつも使っている手提げバック。
それを由利が受け取り、例のものを出した。
「……自然と壊れたのと違うのか?」
それで場が凍り付く。
確かに言われてみればその通りだ。単なるプラモデル。どこかにぶつけただけで壊れてしまう。そもそも学校に持ってくるのがおかしい。
「つまりお主、単なる逆恨みなのか?」
覚めたように突き刺さるゴン太の視線。
「それはあれだな。……だいたい、いつも疑われるようなことばかりしてっからわりーんだろ。悪いのは俺様じゃねー、てめーらだ!」
どうやら今回に限れば、シュウの勘違いということだろう。
「大体にしててめーらの存在自体がおかしいだろ。なんであんなババァを担ぎ上げて、こんなことしてんだ」
それでもシユウは毒付く。
「あんな高飛車な女に、落第ばかりの変態、それにサル。おかしいだろ?」
「縛られたいの?」
不意に別な声が響いた。
「てめーいつの間にそこに?」
愕然となるシュウ。
いつのまにか、由利の頭の上に猿飛が現れていたのだ。
「ちょっと、痛てーんだが」
怪訝そうに眉を顰める由利などお構いなしな状態だ。
「悪いけど黒瀬修司、キミは大変なことをしたんだよ。このままじゃ学園のバランスは崩れる。生徒会の支配する、悪夢の時間が始まってしまう」
その猿飛のいう意味は、シュウ、及びゴン太には理解不能。
それでもひとつだけ分かり得るのは、学園のバランスは、急速に崩れ始めているということ。
先ほどから多くの学園生徒が、目の前の通路を行きかっているということ。




