修羅とサムライ
それから30分が過ぎた。
「助けてくれ」「もう笑いませんから」
床にのたうち必死に懇願する朝倉たち。
教室内は地獄絵図に包まれていた。
ゴン太の強さは想像以上。手にする木刀で殴られ、立つことさえ出来ない有り様。
辺りには椅子や机が無造作に倒れて、床には血の跡。折れた木刀が無残に転がっている。
「くそっ、生徒会の奴ら、このままでは拙者は!」
それでもゴン太の怒りは収まらない。
このままでは八つ当たりで、更なる悲劇を生み出しそうだ。
「生徒会が憎いなら、ファン倶楽部に直訴してみたらどうだ。あれは生徒会と敵対してるって話だぞ」
堪らず助言する朝倉。
怒りの矛先を変えてもらわなければヤバイ状態だ。
「倶楽部だと? あの胡散臭そうな輩のことか」
怪訝そうに眉をしかめるゴン太。
確かにあの俱楽部、普通の人間からすれば胡散臭い連中だ。だがこの際、胡散臭さで言えばゴン太も同じ。
そう思う朝倉だが、それは口が裂けても言えない。
「仕方がない、それに嘆願してみようか」
こうしてゴン太は、渋々ながら教室を抜けていく。
「たす……かった……」
ふっと息を吐く朝倉。やがて意識が吹き飛び、ずるずると床に崩れ落ちた。
こうして朝倉たちは、長期の入院を余儀なくされるのだ。
「おのれ、ファン倶楽部の面々はどこにいるんだ!」
怒りと共に廊下を歩みだすゴン太。
放課後の学園内、多くの生徒で溢れているが、そのゴン太の気迫に恐怖し、誰もが壁にすり寄り、行く手を開いていく。
「くそったれ、倶楽部の野郎!」
そのゴン太の怒号に同調するかのように別の声が響き渡った。
「お主、なぜ叫んでいるんだ?」
怪訝そうに横に視線を向けるゴン太。
「うるせー俺様の勝手だべ」
そこにいたのはシュウ。何故かむかついたように肩をいからせて歩んでいる。
「勝手なのはいいが、拙者の邪魔をするな」
「うるせー俺様が歩いてんだ、邪魔なのはてめーだ!」
「ムカつく外道だな」
「それはてめーだ!」
こうして二人、肩を並べ、競い合うように先を急ぐ。
シュウの怒りの原因は、度重なる倶楽部からの嫌がらせ。
更に決定的なのは彼が大切にしていた“金太マン”のプラモを壊されたこと。
流石にこれは許せない。誰の仕業かは分からないが、その責任を誰かに取ってもらわなきゃ、気が済まない。
因みにシュウとゴン太は、ある程度は知り合いだ。中学時代何度か見たことはあるから。
「てめー、倶楽部の野郎だな? あのくそ女どこだ?」
「お主、婦女子に対してくそ女はご法度だろう。せめてあの姫と呼べ」
「……あのくそ姫はどこだ!」
「エ、エリザベート様なら、由利先輩らと……」
2人、出会った倶楽部の面々に問いただし、行くべき場所を模索する。
「姫はどこじゃ?」
「くそ姫、それと由利、ついでに猿飛はどこだ!」
「なんだ貴様らは?」
「エリザベート殿の居場所、教える訳ないだろう」
「なんじゃと?」
「死ぬかてめー!」
もちろん反論する輩にはキツイ制裁を加えていく。
彼らの通った後には、戸惑う倶楽部住人と、泣き叫ぶ倶楽部住人しか残らない。
「おめー、いつの間に鉄パイプなんか調達した?」
「先ほどの配管マニアからだ。刀がないと歩きずらいのでな」
「馬鹿だろてめー」




