ラストサムライ
朝倉は志士の会メンバーだ。
非情な男で、相手を倒すためには手段も厭わない。
この日も湯田たちと共闘して、敵対する東雲派閥の数人を叩き潰していた。
1年A組クラス内。
「しかし最近、戦争も膠着してんな」
朝倉が言った。
「正規軍が強すぎるからな。やっぱ山崎は最強だよ。オークを仕切ってるだけある」
「それに比べて、うちらはボロボロだからな」
「言えてる。玉木はレイプ疑惑があるし、大瀬良はやる気がない」
それに感化されて仲間たちが言い放つ。
確かに最近の抗争は、中身の伴わぬうわべだけのものに成り下がっていた。
これではいくら経っても終結は望めない。いずれ山崎の傘下に下るのがオチだろう。
「俺はそんなの許さねーぜ。血が滾るんだよ、もっと血をくれってな」
しかし朝倉は気負わない。ギラギラした視線で手にするナイフを舌なめずりする。
「くそっ、拙者が退部だなんて、意味が分からぬぞ!」
その教室内にひとりの生徒が飛び込んできた。
制服の上に羽織りを着込む、長髪の生徒だ。その手には木刀をかざしている。
1年Aクラス佐藤ゴン太。自称土方歳三を名乗る、剣の手練れだ。
「なんだよゴン太。部活に行ったんじゃねーのか?」
朝倉の仲間が訊ねた。
「行ったさ。しかし退部と言われた」
ムカつき加減に言い放つゴン太。
「なんで、お前、副主将まで昇進したんじゃねーの?」
佐藤ゴン太は剣の手練れ。己の実力で、1年生ながら剣道部の副主将までなっていた。
「生徒会が拙者を除名したのだ。言いがかりなんだ。『部活動に勤しむ身でありながら、異質すぎる』と、拙者を愚弄した!」
吠えるゴン太。本人は大まじめだ。
このゴン太、刀を持つと性格が変わる。己の意に反する者を見ると、切り捨てたくなるのだ。
さらには見た目。一見普通に見えるが、制服の下には鎖帷子、髪の下には鉢がね。制服の上の羽織は、浅黄色のだんだら模様。
根っからの新選組マニア。しかも土方歳三を気取っている。
そのゴン太の真面目にムカつく様子が、朝倉のドツボに嵌った。
「ぎゃははははは! 馬鹿じゃねぇ!」
ゴン太を指さして爆笑し始めた。
「お主、拙者を愚弄するかぁ?」




