東雲派閥 千家政宗
翌日~2年F組~
多くの生徒が、昼休みのひと時を満喫していた。
それはごくありふれた光景。和やかな昼どきだ。
「いやーそれで俺はガツンと言った訳さ。これで勘弁してやるって」
「へー、そんなことがあったのかよ?」
教室後方では、数人の生徒がゲラゲラと談笑している。
その中心で身を投げ出すようにイスに座り込む、ガタイのいいリーゼントの生徒。
それはこのクラスを仕切る遠藤という生徒。
オーク学園でも中堅規模を誇る派閥の生徒だ。
そのとき不意に、ガラーッと教室後方ドアが開いた。
「ゴメンよ。戦争の時間だよ」
「お腹は満たせたかな?」
同時に何者かが侵入してくる。
「遠藤出てこいや!」
「メシの時間は終わりだぜ!」
それは手に武器を握り締めた1年生たちだった。
教室内にどよめきが走る。多くの女生徒、一般生徒が恐怖に後ずさった。
「なんじゃてめーら?」
それに呼応して、愕然と立ち上がる遠藤。
「新入生達だな、ウチにカチコミかぁ!」
「戦争だ? 頭おかしいんじゃねーか?」
その仲間たちも興奮気味に睨みを効かせて立ち上がる。
その1年生を仕切るのは、長い髪を紫色に染めて左側を剃り上げた生徒。
「遠藤だな?」
両手をポケットに突っ込み、鋭い視線を遠藤に向けている。
「オウさ、俺が遠藤だ。おめーらいったいなにモンだ?」
憤り声を荒げる遠藤。
「俺は千家政宗。……東雲斗馬の使いの者だ」
男の名は千家政宗。東雲派閥の参謀を務める生徒だ。
つまりこの1年生は、東雲派閥の生徒たちということ。
「東雲だぁ? あの馬鹿の使いっ走りか。そいつが何故俺のクラスに?」
「知れたこと、貴様を叩き潰して、斗馬の露払いとさせてもらう為だ」
威風堂々と響き渡る千家の台詞。
「オウよ、先ずは遠藤。貴様を封じる!」
「叩き潰せ!」
それに呼応して東雲派閥が一斉に攻撃を開始した。
「ふざけんな! 1年坊なんかに俺がやられるか!」
いきり立って走り出す遠藤。
「そうだぜ。先輩の意地、見せてやるよ!」
「狂った1年なんか、返り討ちにしてやるぜ!」
呼応するようにその仲間達も動き出した。
こうしてあっという間に、大乱闘が開始される。
「小僧、この拳で吹き飛べよ!」
遠藤の拳が、千家の顔面を狙う。
それを千家が左腕で弾き出す。
「軽いパンチだな!」
そして右の拳を繰り出す。
「ちっ?」
それを遠藤が右に躱す。
「クソッたれがよ!」
その体勢で右アッパーを繰り出した。
「ふっ」
間髪後方に身を引く千家。
「所詮その程度か!」
叫びと共に、右のハイキックを放った。
体勢のままならぬ遠藤。その脳髄が、強烈にグラついた。
そしてその隙を千家が襲う。
「誰も俺達の勢いは、止められないのさ」
千家の左肘が遠藤のみぞおちに穿たれた。
「……」
白目を剥いて、遠藤が崩れ落ちる。
「東雲斗馬こそが、この学園の覇者となるべきなんだよ!」
その顎を、千家の強烈なアッパーパンチが捉えた。
それは怒涛の展開だった。
多くの者が見守る中で、遠藤の身体が宙に舞う。
やがて地響きと共に、床に倒れ込んだ。
「オッシャーこの勢いでこの戦争勝利するぞ!」
「皆殺しだ皆殺し! 遠藤の仲間、全て排除だ!」
「ぶち殺せ!」
東雲派閥の生徒の怒号が、室内に響き渡った。




