逢魔天使
朝、日の光に頭を撫でられ、目をさすられる
心の奥が温まり、ゆっくりと目を開ける
眩しさに目を覆い、体を伸ばした
エルに目をやるまだぐっすりと寝ていた
少しくらいは寝かせてあげようと思った
しかしすぐに気づく、エルの黒い筋が昨日より伸びていたことに
服越しからも見えるというより
もはや服から出ていたのだ
あえてその事は聞いていなかったが
自らのエルを心配することを否定できない故聞く事にした
エルは答えた、苦く笑いながら
「ごめんね、話したくないの」
レイはより心配した、当然だ、そんな返しをされたなら
レイは何度でも聞いた、そうしたら、ようやく口を開いてくれた
天使の祝福には代償が伴う、それは祝福された者自身が、症状に比例して運を失うこと
さらに通常の天使は、生き物以外を治癒する事は出来ない、故に妖精や同じ天使、神の類いを呪いから解放したり傷や病気を治すことなど出来やしない
しかし逢魔天使は代償を必要とせず、生物以外を治癒する事が可能なのである
だが逢魔天使は代償が必要無いのでは無い
代償を隠していたのだ
それは逢魔天使自身に走る黒い筋
広がる度に痛みが喰い込む
本来受けた本人が負うべき代償を自身が被る
今までの逢魔天使達は、それを隠していたのだ
レイは思った、一体どれだけの痛みを抱えているのだろう、そして一体どれだけの人を救ってきたのだろうと、故に少しだけ、龍宮城に連れて行く事を少し躊躇ったけれどもやはり、彼女の優しさを蔑ろには出来ないと、連れて行く事にした
二人は旅を再開する
道を踏み、歩く
林に入り、少し歩いたらすぐに通り過ぎた
そして
ズプ・・・
刺された、レイが刺された、刃物で刺された
誰に?わからない、後ろから刺されたもので
顔は見えなかった
毒のある刃物に刺され、意識が頭の中で焦り疲れるように、眩暈がして来た
遠のく意識の中、エルが何者かに拐われる所が目を掠った
その者の体に刻まれた紋様は、見覚えのある物だった
レイは目覚めた
『ここは?そうだった、エルが拐われたんだ、助けにいかないと』
誰かの声が聞こえた太い男の声だ
「母ちゃん!母ちゃん!目が覚めたみたいだよ」
「そうか、よかった、今そっち行くから待ってろ」
今度はハリのある女性の声が聞こえる、誰だろう
「アンタ、目ェ覚めたかい?なんだってんだい、道のど真ん中で体に穴開けて倒れて」
「あなたが助けてくれたのですね、ありがとう」
「元気そうで良かったよ、ついさっきうちの末っ子が見つけなければどうなっていた事やら」
レイは思っていた、自分が受けた毒について
それは本当であれば、一般家庭の処置でどうこうできる物ではなかった、体の調子を見るに、恐らく解毒が出来ている、傷の完治もしている
レイはその事について聞いた、少しの沈黙の後その女は口を開いた
「やっぱ気になるよね、実はさ〜・・・」
「帰りました!母上!」
「お、ちょうどいいところに、ちょっとコイツをアンタの先生の所に連れてってやりな」
レイは少し困惑した、話を中断されたのは許すが
何故この男の先生のところへ連れて行かれる話になったのか、余程の大物なのか或いは
「え?!、今帰ったところなんですが」
「いやさ、かくかくしかじか、コイツ助けがいるっぽくて、あんたの師匠なら何か手助けできるかも知れないから、詳細とかは、行く途中聞いてくれ」
「ああ、はい、わかりました母上」
その男の名は御影と言った、先程の女の息子らしい、彼の師匠とは何者なのか
「着きました」
『ここが、御影の師匠の家』
「浦島先生、お邪魔いたします」
『え?浦島って』
レイは少し動揺した、それは知った名前だった
老人が口を開く
「ん?お前は」




