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蒸して焼くだけ モーニングプレート

学生時代の話。

─ コン コンコン


うるせーなぁ。 もう少し寝させてくれよ…。


──…。は……ろ…

(誰だよ、こんな朝っぱらから……)


聞こえてくる音がデカくなってる気がして、布団をかぶり直す。 こんなに寒ィのに何で起こしてくるんだよ。


「疾風、大丈夫かお前、今日から期末だろ?」

「っ?! 」


聞こえた声に思わず跳ね起きる。

時計を見ればまもなく七時。


「やばっ!」


クッソ、ちょっと仮眠するつもりがガチで寝過ごした!

慌ててベッドから降りようとしたら布団が足に絡まって、割と派手めに顔面落下。 痛ェけどそんなん気にしてらんねーわ!

シャツと制服のズボンだけ着替えて、ネクタイ・ブレザー・鞄を引っ掴んでリビング一直線。


「おはよう、兄貴」

「おう、おはよ…じゃねーよ! 起こせよ!」

「俺も寝坊して、父さんに起こされたんだ」


おいマジか。 よく見りゃ確かに珍しく寝癖が後ろ頭に付いてる。

二人揃って寝坊して起こされたのか。


いや待て、起こしに来てくれたのはありがたいけど、そもそもこの時間に声かけて来る事なんて殆どねえよな。

って事はまさか。


「お前ら、飯だけはちゃんと食ってけよ。 それと、絶対に皿は水に浸けとけよ」


カウンターからトースト二枚が乗った皿と副菜が乗った皿が二組出されて、向かい合わせに置かれたスープカップの横に並べる。

エプロンを椅子に投げて大股にリビングを出て行った数秒後、玄関からデカい音。


「親父…もしかして……」

「ああ。俺たちと一緒で、寝坊した」


あー、やっぱり。 いつもより言い方があキツくなかったのはそう言うことか。

でも寝坊したって割に、今日の飯は割と色々おかずがある気がする。

一枚にバターをそこそこ、レタスとトマトと焼いたベーコン乗せて半折りしつつかじり付く。


携帯見れば、家を出る時間まで十分。

残りの身支度整えて駐輪場でバイク出すの考えると、いいトコあと五分。


一枚目の即席サンドの最後を口に放り込んで、コーンスープで流す。

口の中を空にした所にブロッコリーを入れれば、程良い塩気と野菜の甘味。

味わってる暇なんてねえけど、食わずに行ったところで頭動かねーし。

二枚目のパンに目玉焼き乗せ挟んで、三口。 グラスの水と一緒に飲み込む。


「ゴチソーさん。 疾斗、悪ィけど皿頼む!」

「ああ」


いつも通りの短い返事に手で礼を返す。

放り投げてたネクタイを締めつつ洗面所。

最低限の身支度を済ませて、部屋に置きっぱなしだった鍵を取りに戻ってから玄関に行けば、鞄と上衣、それに靴までが揃え置かれていて。

疾斗の気遣いに感謝しつつ、自分の未熟さに朝から情けなくなる。 次は気を付けねーと。アイツのヘルメットはシートに入れたよな、確か。

携帯に財布、鍵…よし、一通り持ってる。


「荷物サンキューな、行ってくる」


時間はギリ。

顔出さずに声を掛ければ「行ってらっしゃい」がリビングから律儀に返ってくる。

自分のヘルメットを掴んで玄関を出れば、冷たい空気が体に纏わりついた。





「ん……」


目を開いて窓の方を見れば、外が明るくなり始めてる。

ちっと寒ィな、エアコン掛かって…ああそうか、昨日軽く飯食った後、報告書書いてそのまま事務所で寝ちまったんだった。

せめて客用寝室行きゃ良かった、誰か来るわけじゃ無かったんだし。


(珍しいもん見たわ……)


学生時代の夢なんて何年ぶりに見たんだか。 親父が出てきたのなんて、三十路過ぎてからは初めてじゃねえか? 何の報せだ一体。

大体、夢って現実以上に痛覚無ェはずじゃなかったか? 顔から落ちた時、すげー痛かった気がするんだよな。

無意識の方が痛覚あんのか? よく分からねえ。


腕時計を見れば間もなく七時。

夢の俺は遅刻寸前だったが、実際の俺は今日休み。 いつもと比べりゃ寝坊ではあるが、特に問題がある訳じゃない。


(とりあえず自宅戻ってシャワー浴びてくるか)


そんな長時間寝てない筈だが、空気の乾燥が酷かったのか喉が乾く。

テーブルに置いといたグラスの水を飲んで、一息ついてから仕事用コートを羽織って事務所を出る。

やっぱ多少室内の方が暖かいんだな、割と冷えてる。


エレベーターに乗ってマスターキーを通せば、自動的に自室階への案内表示。

別階に止まる事もなく着き、玄関の鍵を開けようとしたら、扉の向こう側からよく知ってる気配。


「……あれ」

「おはようさん、今から行くのか?」

「ああ、少し寝過ごしたんだ。まだ間に合う時間だから良かったが」


……まだ間に合う時間? まぁ、確かに子供達が出る時間より前だが。


「ゴミは持っていく。 それと、少しだけど朝食作ってあるから」

「お、おう」


随分珍しいこともあるな、朝食取る方が最近少ねえのに。

「行ってくる」と呟いた背中を送って中に入れば、微かに香ばしい匂い。

リビングを抜けて食卓を見れば、夢に出た朝食と同じメニューのモーニングプレートにラップが掛かっている。


(……やっぱり兄弟だな)


トースターにパンを二枚挿しながら笑った。

材 料

プレート 1人前

ブロッコリー … 作り方参照

ベーコン … 2枚・生卵 … 1 個

スープの素 … 1 袋

~お好みで~ ※記載は作中内容分

レタス …1枚分・ミニトマト …2個

トースト …2枚


作り方

①切 る

ブロッコリーの小房を 2 つ切り出す

包丁よりもキッチン鋏で切った方がラク

②蒸 す

小鍋にザルを入れて、マグカップ 2 / 3 量の水を張り、❶を入れて中火にかけて蓋をする

沸騰してから 5 分したら蓋を開けて固さを見る

元色よりも緑が濃く、茎部分の白みが薄くなれば OK

柔らかめが良い場合は茎部分の白みが無くなるくらい

③開封する

❷をザルごと取り出し、スープの素を椀に開けて鍋のお湯でスープを作る

④焼 く

鍋をコンロに戻し火をつけ、ベーコンを焼く

※油はベーコンから出るので引かなくて OK

※鉄鍋の場合は薄めに油を引く

⑤焼 く

❹の焼き色が付いたら皿に取り、卵を割り入れ水をマグカップ1/ 4 量入れて蓋をして焼く

⑥盛付ける

好みの野菜や付け合わせと共に盛る

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