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冷製梅生姜うどん&白菜の浅漬け

管理室でのひとコマ。

レシピは後書きにて。


「ふぁーあ……」


 来客も無ぇし、事務所宛の電話もメールも無し。

 パソコンで各階の監視カメラを見た所で、いつもと何ら変わらない平穏。

 朝、子供達や仕事に出る住人達を見送って、たまたま見つけた消え掛けのフロア灯を付け替えたくらいで、これと言って何も無い。


 学童で出してやるプリントも昨日のうちに作り終わっちまってるから、あとは印刷するだけ。

 今日は本当に平和な方だ。

 ま、平日の日中なんて八割くらいは大体こんな感じだが。

 そんな毎日のようにでかい依頼が入ったら堪ったモンじゃねえ。


 受付窓に《休憩中》の看板とカーテンを掛けて、俺は煙草に火を入れて水場の換気扇下に入る。

 この分なら休憩時間中に訪問者がくる可能性は低いだろ。

 今の内に近くのスーパーにでも行って買い出し済ませてきちまうか。

 菓子もあんまりねえし、そういやアーモンドミルクも切らしてるんだった。あとは確か……


 ── ぐぅ〜

(大して動いた訳じゃねえのに……)


 動かなくても相応にカロリーは消費してたらしい。このまま行くと余計な物も買いそうだな。

 一回部屋に帰って飯食ってから行くか?でも、それだと出かけるのが億劫になりそうだし。


(……なんかストックしてたっけかな)


 管理室で飯を食う事ももちろん有る。

 ただ、普段は大体自宅に戻るか事務所で小腹満たして終わりにしちまうから、ここではそれほど頻繁には食わねえ。

 そもそも【管理室】というだけあって、水場は最低限でコンロも一つだけ。

 冷蔵庫は学童始める時に入れた奴だから大して容量はねえし、電子レンジに至っては温め機能だけの安い旧式タイプ。


 正直に言えば、スゲー狭い。

 子供が入ってきたらほとんど動けねえような幅で料理はキツい。

 つまり、ここでは大体インスタントか、コンビニ飯が断トツに多い。


(あんまり期待は出来ねえけど……)


 ── ガチャ


 えーと、ホットケーキ作ってやった時の余り卵だろ、生姜漬けに梅干し。

 なんでプリンがこんな所に入ってンだ? …ああ、月原のか。

 入れっぱだとそのうち子供らに食われるぞ。

 冷凍庫は…バニラアイスと、冷凍うどん?

 そういやこの前、買ったは良いが上に持っていく前に公園でけが人が出たって言われて入れたんだった。

 そのまま忘れてたのか。

 うどんか…流石に素うどんってのは味気ねえな。 生姜漬けと梅干し入れて──


「管理人さーん、管理人さんいらっしゃるー?」

「ん?」


 受付窓を叩きながら呼ぶ声。

 この声は了平の母親か。 そろそろ仕事行く時間だってのに珍しい事もあるもんだ。


「はいはい、どうしました?」

「大声でごめんなさいね、いてくれて良かったわ!」


 管理室から出れば、恰幅が…あ、いや、ふくよか…?な体付きをした女性の姿。

  その手には白いビニール袋を二つ提げている。


 その……いわゆる、肝っ玉母ちゃんっていう感じなんだ。察してくれ。


「呼ぶのは全然構いませんが、そろそろお仕事にいかれる時間じゃないですか? どうしました?」

「いやね、アタシの実家から白菜が届いてさァ」


 ああ、一昨日来た宅配ロッカー入らなくて直接預かった、やたら重てェデカい箱か。

 あの中身、全部白菜だったのかよ。


「いつも[沢山要らないよ]って言ってンのに[今年のは出来がいいから]って父が8玉も送ってきたのよ。良かったら食べて」


 こっちに答えを出させる暇も与えず、デカい袋は俺の元へ─って、うぉっと…結構重い。

 袋の上から見た限りでも、葉の先がしっかり巻いている。

 なるほど確かにこれは食い出がありそうだ。


「こんな立派なモン、ウチで二つも戴いて良いんです?」

「良いのよぉ、うちのヤンチャ息子いっつも見て貰ってるしね。 あらやだこんな時間! じゃあ管理人さん、今日の夕方もお願いね!」

「ええ、判りました。こちらこそ有難うございます」


 相変わらず賑やかな人だ、こっちが礼言い切る前に玄関ホール出て行っちまった。


 さて、どうしたもんか。

 予報じゃ今晩は冷えるって話だったから、鍋にでもするか。

 買い出しの時に鳥も一緒に買ってこよう。

 こんだけ鮮度もいいなら、芯の方は切ってサラダにしても良いな。


 ── ぐぅ〜…クルルルル…

 ……晩飯の前に、今食う昼飯が先だった。


「……あ」


 こんだけデカいなら、数枚使ってアレ作っても問題ねえな。

 少なくとも素うどんよりかは腹にたまるし、なにより、同じ調味料で作れるから味が喧嘩することもない。


 時計を見てみれば時間は大して経っていない。

 つーか平日の真昼間なんだ。買い物でちょっと遅れた所で誰かに咎められる訳じゃねえし。

 そうと決まれば、ちゃっちゃと作って食って、買い物だ。


 冷凍庫の冷凍うどんを取り出して丼に立てかけながらレンジに放り込む。

 そういやコレ作るの久々だな。

 アイツが気ィ使って昼飯作ってくれたら鍋ごと焦げて、そン時に考えたやつだっけか。

 漬物の皿出すの面倒くせェな、一緒に乗せちまおう。


 つーか、どうせ作るなら夏やりたかった。

 ま、いいか。

材 料

白菜の浅漬け(作りやすい量)

白菜 … 2 ~3枚・麺つゆ … 大さじ 2


①切 る

白菜を縦半分に切ってから好きな幅に切る

早めなら1~3cm幅・待てる時は 5 ~ 7cm幅

②揉 む

ジップ付き袋に❶と麺つゆを入れて、よく揉む

つゆは少なくても白菜の水分で馴染むので大丈夫

③放っとく

冷蔵庫へ入れ、食べる直前までそのまま置いとく

────────────

冷製梅生姜うどん 1人前 ※温うどん可

冷凍うどん … 1 つ

梅干し … 大粒 1 個 ※練り梅で代用可

麺つゆ … 大さじ 3 ~4・生姜漬の汁 … 大さじ 1 ~ 2


①加熱する

冷凍うどんをレンジで解凍する

※解凍方法はメーカーによって違うので必ず確認

②混ぜる

麺つゆと生姜漬の汁を2:1の割合で混ぜて味を見ながら水(またはお湯)で割る

③冷やす

解凍したうどんをザルに開けて冷水で洗い冷やす

※温うどんの場合、この工程は飛ばす

④盛付ける

❷のつゆに❸の麺・梅干しを盛付ける

浅漬けは一緒でも別皿に盛っても OK

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