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Heaven'sWrath  作者: ナベ
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魔工銃改良実験任務⑤

 「子供が来れるとしたらこの辺までだよな」

 

 途中で見かけたほかの部隊にも確認しながら探索していたが、

 人の気配は無い。


 「ん~・・・西には来てないのか?居住地側で遊んでんのか?」


 案外子供はもう帰ってるのかもしれない、杞憂だったかと踵を返そうとした時だった。

 

 ガガガガガ、ガガガシャン


 激しい音共に何かが崩れる音がした。


 「あ!?なんだ?」


 音の方角へ向かう。

 

 工場跡地だろうか、廃屋の中で何かが崩れたのか砂埃が舞っている。


 「誰かいるのか!?」


 中に向かって問いかける。


 「誰!?」


 子供の声がする。

 

 「警備隊(ガード)のジャックスだ!!そっちに誰かいるのか!?」


  声をかけながら崩れた瓦礫に近づく。


 「よかった警備隊(ガード)の人が来てくれた」

 「バカなくなって」

 「怖かったんだもん」


 何人かが中にいるようだ。隙間から顔を除くと3人の子供たちが泣きそうな顔でこっちを見ている。


 「ったく、ほら出してやるから少し離れてな」


 そう言いながら手前の瓦礫を持ち上げて子供たちを出してあげる。

 3人の子供たちは擦り傷などはあるものの大きいけがはないようだ。


 「ありがと!警備隊(ガード)のお兄ちゃん」

 「お~・・・全員けがはねえな!でも、こんなとこまで来ちゃダメだろ!何してたんだ!」


 つい妹を連想し強い口調になる。


 「見たことない魔物がいたんだよ!」

 「そーそー!黄色くてこのくらいの!」


 子供たちは興奮気味に説明する。


 「なんだ?黄色?ベルガーじゃなくて?」

 

 ベルガーとは四足歩行の猫型の下級魔物だ。

 

 「違うよ!もっと丸かったんだよ!」

 「絶対新種だよ!」

 「ボールみたいに跳ねてたんだよ」


 子供たちの興奮は収まらない。


 「わかったわかった!そいつはここに入っていったんだな

  そんでお前らは夢中になってたら崩れてここに閉じ込められてたと」


 しゃがんで子供たちに目線を合わせる。

 3人はバツが悪そうに眼をそらす。


 「あのなぁ・・・姉ちゃんや町の人が心配してたぞ?」

 「「「・・・ごめんなさい」」」

 「よし、んじゃ帰るぞ」


 そういって立ち上がった時だった、


 「あ!!」


 子供の1人が後ろを指さした。


 振り向くと黄色の丸い生き物が跳ねていた。

 ボールのような見た目に小さい耳のようなものが生えている。


 ー魔物?なんだこいつ見たことない奴だな

  強い魔力は感じないが・・・。


 子供たちの前に立ち鞘に手を伸ばす。


 「あいつだよ!!あんなやつ見たことないよね!」

 「跳ねてるだけなのに全然追いつけないの!」

 

 興奮し近づこうとした子供を制する。

 正体がわからない以上近づけることはできない。


 「大丈夫だよ!たぶんあいつ追いかけっこしてるだけだよ!

  攻撃してこないもん!」

 「それにあの子が近くにいるときはほかの魔物が近づいてこないんだよ!」

 「魔物じゃなくて精霊なんじゃないかな」

 「きっとそうだよ!!」「お兄さん捕まえてみてよ」


 子供たちの熱とは逆にジャックスは冷静に黄色のそれを見つめる。


 ー精霊?魔物か近づいてこない?子供に興味を持つ魔物?


 「あ!奥危ないよ!こっちだよ」


 瓦礫の奥に跳ねて向かうそれに子供が声をかける。


 ぽーんぽーんと跳ねていたそれが急に止まった。


 「あ、ほらこっちの話すことわかるみたいだよ!」

 「こっちだよ!おいで」


 子供たちが声をかけ始めた時だった。


 突然それは口が裂けにぃと笑うと巨大化し爆ぜた。


 ジャックスはとっさに子供たちをかばう。


 激しい風が吹き荒れる。


 衝撃こそあったが、そこまでの威力はなかったようだ。

 

 「ケガねえか!?」

 

 腕の中の子供たちは頷く。

 全員けがはないようだ。


 安否を確認し、すぐに敵に目を向ける。


 そこに黄色の敵はすでにいなかった。


 すぐに周りを警戒する。


 ポーンポーンと音がする。


 振り向くと今度は後ろの方向に黄色のボールが跳ねていた。


 視界に入ると同時に切りかかる。


 切れた瞬間に再び爆ぜる。


 舌打ちをして体制を整える。


 「お前らこの中にいろ!」


 機械を子供たちの足元に投げる。

 簡易防御壁が展開される。

 民間人が戦闘に巻き込まれたときに一時的にバリアを展開する警備隊(ガード)御用達の道具だ。


 「わ、わかった」

 

 子供たちはお互いに肩を寄せて身を守っている。

 横目で防御壁の展開を確認し、再び敵に剣を向ける。


 ポーンポーンと一定のリズムで跳ねている。

 子供たちを巻き込む前に排除したいが、仕掛けがわからない以上下手に動くことは危険である。

 膠着状態を崩したは1発の銃声だった。


 「おっし、当たった」


 アッシュが放った弾丸がボールのようなものに当たると、黄色から赤黒くなり倒れた。


 「待たせた!」

 「ナイス!つーか今何やった?さっき切ったときはそいつ爆ぜたぞ」


 横に並んだアッシュに問いかける。


 「タイミングだね。着地した瞬間なら爆ぜない。俺も実際に見るのは初めてだけど

  ブライボムって魔物だよ。子供をさらって食っちまうビルダ地方の魔物。」


 アッシュは任務用の魔工銃ではなく、自身の魔工銃をリロードする。


 「なんでそんなやつが・・・とりあえず後で調べるにして

  こいつら家に帰さないとな」


 ジャックスも再び剣を構える。


 先ほどとは別の個体が集まってくる。


 ポーンポーンと音をたて5体のブライボムが姿を見せた。


 「俺が子供たちみてるよ」


 アッシュは子供たちのそばで警戒に当たる。


 「了解」


 ジャックスは返答と共に高くジャンプをした。

 

 「おらぁ!」


 着地と同時に剣を地面に突き立てる。


 電撃が剣から広がる。


 ブライボムが2体着地と共に電撃を浴び消滅する。


 ーさすがに一発じゃ無理か。


 跳ねてるだけだったブライボムが今度はジャックス目掛けて飛んできた。


 とっさに剣で受け止めると爆発した。


 舌打ちをし砂埃を払いのける。


 3体がタイミングをずらし跳ねている。

 徐々に跳ねるスピードが上がると、タイミングをずらしながら

 攻撃をしてくる。


 当たっても切っても爆ぜるため、避けながら打開策を考える。


 「ちょっと我慢してよ~」


 アッシュが激しく撃つ。


 2体が爆ぜた。

 爆風が起こる中、爆ぜていない1体をジャックスが切りつける。


 「いてぇなおい」

 「いやいや俺の弾は当たってないでしょ~」


 アッシュに不満な目を向ける。


 爆ぜた2体が再び跳ね始める。


 「させねえよ!」


 囲まれる前に1体を切ると、そのままもう1体の前に飛び切りつける。


 「これで全部だよな?」


 剣を納めながらアッシュの元へ向かう。


 「そうだね、魔力反応もないし討伐完了かな。

  君たちもよく頑張ったね」


 子供たちの簡易防御壁を解除する。


 「すっげぇぇぇ!!兄ちゃんつよい!!」

 「さっきのジャンプみた!?すげぇよ!」

 「あいつやっぱ悪い奴だったんだな」

 「だから俺言ったじゃん!」

 「違うよ!お前がついていこうって言ったんじゃん!」


 「おい」


 興奮する二人をジャックスが制する。


 「初めて見かけたやつがいたら大人呼ばないとダメだろ」


 歩きながら一人黙っている子供に近づく。

 興奮していた二人はちいさく息をのんだ。

 静かにしていた女の子は泣いていたのだ。


 「お前ら、女の子泣かしちゃだめだろうが」


 しゃがんで目線を合わせると女の子はジャックスに抱きつくと声を出して泣き出した。


 「次からはちゃ~んとお兄ちゃんたちを呼ぶこと!約束な!」


 バツの悪そうな男の子二人の頭をアッシュがワシワシとなでる。

 「「ゔん」」


 半泣きの返事が二つ夕暮れの空に響いた。



 

 


 

 


 

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