魔工銃改良実験任務②
第4基地は中心基地から魔工列車で10分ほどの一番近い基地である。
10年前の魔王軍侵攻により、正門が壊されたため基地の西側は魔物が入りこんでくる区画がある。
東側には居住区画もあり、魔物を討伐しながら暮らしている。
ある程度の魔物しか出ないため、軍の訓練や実験にも使われている。
「今回の魔工銃は民間に流通しているものであるため大型魔物に関しては討伐に不向きである。警備隊には魔工銃で対応できない魔物の討伐を。詳細に関しては各自この後確認するように。」
拠点テントを出ながらマドグスに渡された書類に目を通す。
「討伐対象は・・・ミングル?なんだってこんな雑魚のデータをいまさら?」
「この銃だとうさぎちゃんくらいしか倒せねぇのよ。」
独り言のつもりだったが、返答が来たことに驚き顔をあげる。
黒髪が目に入る。前髪には赤のメッシュが入っている小柄な男が立っていた。
「あんたが今回のチームメンバーか?」
自分に声をかけたくらいだからそうであろうが念のため聞いてみる。
「そ!アッシュ・ネルツだ。よろしくな~」
おちゃらけた様子で魔工銃をくるくる回す。
「こいつは魔力が少なくて済む分、威力が全然でなくてね~・・・
ついに一般人用の武器が俺らにも回ってくるようになっちまったわけよ」
回すだけでなく今度は空に投げてキャッチを繰り返し始めた。
「んでもって、リーダーはあんた頼むわジャックス君」
「はぁ?ふつうこういうのはそっちがやるもんだろ?」
魔工銃隊にはいないタイプで思わず驚いてしまった。
「え~だって君あのヴォイス様のご子息でしょ?エリート中のエリートじゃんか。」
パシっと音をたてキャッチした銃口をこちらに向ける。
「しかも軍学校での成績も優秀ときた。そんなんリーダー任せるしかないっしょ」
「よく知ってんだな。それなら俺が魔工銃に関してはポンコツなことも知ってるんじゃないのか?」
つい皮肉っぽい声のトーンが出てしまう。
「あ~・・・魔工銃ぶっ壊しちゃうんだっけ?でも戦闘能力問題ないんでしょ?
代わりに結構な魔力持ちって聞いてるけど・・・それに仲間からの信頼も厚いみたいじゃん?」
意外な回答に面食らった。魔工銃隊の奴らにこんな風に言われるのは初めてかもしれない。
「そんじゃ頼むわ!さて・・・と、俺的には早めにデータ集めてのんびりしたいわけですし、さっさと任務に取り掛かろうぜ~」
そう言ってマップを広げだす、ジャックスもマップをのぞき込む。
「だいぶ変な奴だな。・・・ミングルはこことここによく出ることが多い。
ほかのチームも来るだろうから、こっちから行くのがいいと思うぞ」
「お~いいね~やっぱリーダーやってもらってよかったわ」
へらへらした顔でマップをそのまま押し付けてくる。
そのまま任務地へを歩き出した。
「やるからには仕事だからな。すぐにでも行けるがどうする?」
マップをしまいながら追いかける。
「オーケー、初日だし戦闘の確認もしときたいしね。早速行きましょっか~」
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「いいね、今日はこの辺で切り上げますか」
ミングルを10体ほど倒したところで、アッシュが銃をおろした。
「どうだ使い勝手は」
両手の剣を鞘に納めながら近づく。
きれいに磨かれた2本の剣は、魔工銃が使えないジャックスにとっての相棒である。
「ん~・・・弱すぎる、ストレスたまってしょうがねえや」
ベーッとうんざりした顔で銃をにらむ。
魔工銃隊に所属している以上、一般的な軍人よりも銃の扱いにたけているはずだが
そんな人間が嫌がるということは予想通り性能はよくないのだろう。
「魔弾がよくねぇのか?」
「あ~そうかも・・・ってよくわかったね?」
今度はアッシュが面食らった顔をした。
「いや、軍用のは魔弾がもう少し青白いだろ。魔力も純度が高いしな。」
荷物をまとめながら感想を伝える。
「壊すくせに詳しいの意外か?結構魔力弾の製造に貢献してんだよ」
いいながら空の魔弾を握りしめる。
集中して魔力を弾丸に込める。青白い光が中に集まっていく。
魔工銃に用いる魔弾は、魔力を弾薬に詰めることで完成する。
性能が良い魔弾の作成は軍の設備を使って精製されている。が、魔力をためるのには時間がかかることからも、実戦以外での使用は純度の低いものを使うことが多い。
最近では違法に魔力を金で買う人も多くなっているが、専用の道具を使わないと純度が保ちにくいとされている。
出来上がった魔弾をアッシュに投げる。
「マジかよ!直で作れるのか!?
おいおいおい・・・今月俺弾薬制限かかりそうなんだよ。頼む内職してくんね?」
アッシュは興奮気味に魔弾を眺めている。
そういやこいつの専門銃はセミオートの銃だった。弾薬数はいくらあっても足りないだろう。
「ここの酒場の名物がうまいんだけどよ・・・」
「オッケーオッケー上官に頭下げるよりよっぽどいいって」
ほかのメンバーも片づけが終わったようだ。
今日の任務は問題なく終われそうだ。ついでに夕飯も腹一杯食べれることが決まり、上機嫌で酒場に向かった。




