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Heaven'sWrath  作者: ナベ
15/20

穏やかな日常③

 「こらこらここは禁煙ですよ」

 

 夕日を眺め、煙草をふかす。


 「まったく悪い遊びばっかり覚えて」

 「ガキどもには見せてないからセーフってことで」


 シスターは少し困った顔をして横に並び夕日を眺める。


 「・・・研究所から?」


 シスターの手の中にある紙に目を向ける。

 

 「えぇ・・・その・・・」

 「ん。見せて。」


 気まずそうなシスターから紙を受け取り目を通す。


 研究所での魔力提供の連絡であった。

 魔力供給ができるようになったとはいえ、まだまだ不安定なこの国ではジャックスの魔力は質もよく重宝されている。研究自体は落ち着いたものの、何かにつけて呼び出しを食らうことがあるのが現状だ。


 ふぅーっと煙を吐き終えシスターに目を向けると心配そうな顔と目があった。


 「体は大丈夫なんですか?」


 おそらくシスターは研究所での体の負担を心配しているのだろう。

 幼いころから見ているこの人には、当時の痛みで泣いていた子供のままに見えるのだろう。


 おもわずフッと笑ってしまう。

 それをみてシスターは怪訝そうな顔をする。


 「あぁ、なんなら任務の方が怪我多いくらいだよ」

 「そうですか・・・

  それは喜んでいいものなのかどうなのか」

 

 シスターは困った顔のまま後ろで手を組みぶらぶらと歩き始めた。

 自分より年上だが、たまに子供っぽいしぐさをする人だ。


 「ん?これは・・・?」


 昼間にモネアが書いていた地面の絵を見つけしゃがむ。


 「モネアがまたなんか思いついたみたいでな。魔素が付いたものが欲しいんだとさ」


 煙草を吸いきってシスターのもとへ近づく。


 「本当に賢い子ですね・・・」


 困った顔のままシスターは地面の絵を足で消した。


 「賢すぎるのもな・・・あぶねぇことしなければいいけどな」


 ー危ないことはもちろんだが、危ないことにも巻き込まれてほしくない。

  できれば変な研究なんかに精を出さないで他の子たちのように走り回ったりと

  子供らしく過ごしてほしいものだ。 


 「お兄ちゃんは心配ですよね~・・・私も見るようにしますから」


 いつものようにフフっと笑うとシスターは砂を払い立ち上がった。


 「だからなるべく帰ってきてあげてくださいね」


 「・・・任務次第だな」


 今度はジャックスが少し困り顔をしたのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 研究所の廊下を進む。

 歩きなれた順路では迷うこともない。


 扉を開け中に入り、モニターにかじりついている人物へ近づく。

 研究ばかりしているせいで髪は伸び切って隈もひどいこの男が叔父であるダルシムだ。


 ダルシムはこちらに目を向けないまま、資料を差し出してくる。

 ジャックスも無言で受け取る。

 部屋にはダルシムのタイピングの音だけが響く。


 「最近呼びつける頻度が多くねぇか」


 先に静寂を破ったのはジャックスだった。

 

 「魔物が増えたからな・・・読めばわかるだろう。」

 ダルシムは手を止めず答える。


 魔物討伐に使う魔弾だけでなく、対魔物用の防御エネルギーにも魔力を使っている。

 おそらく魔物が増えることで貯蔵エネルギーの減りが早いのだろう。

 資料にはエネルギー変換の使用目的などが書かれていた。


 「そうじゃなくて・・・」

 「そこから理由も考察できると思ったが、そこまで理解力高くないか」

 「あんたマジでもう少し他人と会話した方がいいと思うぞ」


 叔父との会話はいつもこうだ。

 天才といわれるダルシムだが、コミュニケーション能力は低いことが難点だ。

 本人に悪気があるわけではないが、甥の自分ですら何を言いたいのかすぐにわからないことがある。


 「ホント!もっと言ってくださいな!!」

 ジャックスがため息をついていると、コツコツとヒールの音を鳴らしながら女性が近づいてきた。


 「先ほども魔工銃隊の方を怒らせて!!もう少し歩み寄ったらいろいろ楽できると思いません事!?」

 プリプリ怒っているのはアメリア・レングナー博士だ。

 魔工学に精通しており、ダルシム同様に名が知れた博士である。


 「まともなデータも取れないで帰ってきたのは向こうだろ」

 「だからって言い方ってものがあるでしょう!?」

 淡々と話すダルシムにキャンキャン怒るアメリアはここでの名物コンビともいえるだろう。

 周りにいるスタッフとやれやれと肩をすぼめ、部屋を後にする。


 別室に入り、慣れた手つきで椅子に座り機械を体につける。

 スタッフが2人補助にまわり、点滴を用意する。


 「始めるぞ」


 ダルシムの声が聞こえ、顔をあげると正面のガラスの向こうにダルシムが見える。

 アメリアも自席に戻りこちらに手を振っている。


 ジャックスが頷くと同時に機械が作動し魔力の抽出が始まった。

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