魔工銃改良実験任務⑪
耳をふさぎたくなるほどの咆哮。
現れた魔物は予想通りロガーと呼ばれる魔物の幼獣だった。
鋭い爪と牙を持ち長い尾を持つ。
紺色の毛並みは敵に対して全身逆立っていた。
ジャックス達は即座に戦闘態勢をとる。
「お前さんたち、気張れよ?」
ロルフはフッと息を吸うと次の瞬間、ロガーに向かって鋭い斬撃を繰り出した。
ロガーが痛みに右前足を上げる。
即座にジャックスが腹部にスライディングし、連撃を打ち込む。
「シャァァァァァ!!!!」
ロガーは声をあげよろめく。
続けてジャックスは後ろ脚を狙ったが、ロガーの尾に弾かれる。
「チッ!!」
ガードしそのままロルフの横に着地する。
「おうおう、慌てんなさんな~」
ロルフが再び大剣を構える。
「あいつ見た目の割に硬てぇな」
ジャックスも双剣を構え直す。
「さっきみたいに腹を狙え、あそこが一番柔らかい」
ロルフの声にうなづく。
隊の一員が銃弾を浴びせる。
「シャァァァァァァ!!!!」
ロガーが怒った声を上げた。
「やっぱ俺らの武器じゃ削るだけか!」
警備隊にも魔工銃は支給される。
が、一人一人に合わせてフルカスタムされた魔工銃が配られる魔工銃隊とは違い、
大量生産された軍の支給品である。魔工銃の性能は魔工銃隊よりは弱い。
だが魔工銃隊が銃専門の遠距離部隊に対して、
魔工銃にプラスして近接武器や魔法、アイテムなどを用いて戦うのが警備隊である。
そして魔物との近接対応は警備隊の十八番である。
「ジャックス!こっちで簡易罠を用意しておく!!3分頼む!」
「了解!」
1人の隊員が叫ぶと、部屋の逆側へと走り出した。
ロガーが追いかけようとした時、ジャックスが雷撃を尾に当てる。
「てめぇはこっちだろ」
ロガーがジャックス目掛けて何度も飛び掛かる。
ジャックスは攻撃をよけたり、防ぎながら罠を仕掛けている隊員から引き離す。
右前足の振りかぶりをガードしたとき、ロガーが一回転して尾でジャックスを薙ぎ払った。
ガードしたものの、壁に吹き飛ばされる。
「しまっ・・・」
ーよけれねぇ!!
追撃を食らうと思ったが、ロルフがジャックスの前に立ち、ガードしていた。
「おらよっ!!」
そのまま大剣を振り上げると、ロガーは一回転して離れた。
「なるほど、お前さんが切り込み隊長なわけね」
「あざっす、まぁそんなとこっす」
姿勢を整える。
「オーケーオーケー、そしたらお前さんたちに合わせる。
俺をうまく使え」
「あんた一人でもやれそうな気がするけど」
短い間だが、わかる。
この人は自分たちとは戦闘能力に差がありすぎる。
「いや、やれるとしても時間が足りねぇ」
「時間?」
何のことかわからず首をかしげる。
「あぁ、毛先の色見えるか?」
目を凝らすと、かすかにだが紺色の毛の先が若干黒くなっている。
「ギリギリ幼獣ってとこだな、成獣になると黒くなるんだよ。
こんだけ食い荒らしてるってことはそんだけ成長期ってことだろうな」
「なるほど、ちなみに成獣になると?」
「飛べるようになる、追うのはだるいし攻撃力も跳ね上がるし
いいとこはねぇな」
はぁ・・・とロルフがため息をつく。
「そうなる前に討伐するぞ!」
「っ!了解!!」
ジャックスの返事と共にロガーが突っ込んでくる。
ロルフと共に攻撃をかわしながら攻撃を入れていく。
二人の交互の攻撃により、ロガーの傷が増えていく。
ちらっと横目に隊員の様子を見る。まだ罠の準備は終わってなさそうだ。
ーこのまま弱らせつつ、罠で仕留めるか。
そう思った時だった。
「シャァァァァァァ!!!」
ロガーが今までにない声をあげた。
「まずい!!」
ロルフと目配せをし、罠の方向へ誘導を始める。
「二人とも遮蔽物の後ろへ!!」
魔工銃を持った隊員の声で二人は瓦礫後ろへ隠れる。
魔工銃持ちの二人が一斉に銃弾を浴びせる。
「ンシャァァァァァl!!!???」
ロガーがよろめいた。ジャックスとロルフは同時に飛び出し
斬撃をたたきこむ。
ロガーはそのままバランスを崩し、倒れこむ。
その瞬間罠が起動しロガーに拘束具が張り付く。
ロープ状の拘束具が口を閉じ、全身を床に拘束する。
動ける箇所で何とか逃れようと暴れる。
「これで終わりだ!!」
ジャックスは魔力を込めて頭上から剣を突き刺した。
「シャァァァァ!!!!!」
ロガーの断末魔が響いた。




