魔工銃改良実験任務⑩
「魔物がいねぇ・・・」
探索を始めて数分経った。
違和感がジャックスの口からこぼれる。
「そうだ、食われたか、逃げたかだな
元々は結構な数いたんだろうけどな」
ロルフは壁や瓦礫を確認しながら進む。
何かを探しているようだ。
「何かあるんすか?」
「魔力痕がねぇかなってね」
「魔力痕・・・?」
初めて聞く言葉だ。
「魔物ごと魔力の質が違うんだ。で、必ず魔力の痕跡が残るんだよ。
お前さん結構魔力能力高そうだし、やってみるか?」
ロルフに手招きされ瓦礫の前に立つ。
見たところただの汚れた瓦礫の山だ。
「最初は感覚的につかんだ方がいいな。」
ロルフがジャックスの手をつかんで瓦礫の上にかざす。
すると、魔力の波がロルフを中心に広がった。
「う、ぉ」
魔力の渦を感じ、声がこぼれる。
「これ、わかるか?」
ロルフに促され目線の先を追うと、青白い魔力痕が瓦礫についていた。
「これが魔力痕?」
「お、初めてで酔わないのか。いいね」
ロルフが手を離すと魔力の波が収まった。
だが、瓦礫についた魔力痕はジャックスは視認できたままだった。
「しばらくは今見た魔力痕に似たものは視認できるはずだ。」
ロルフが顎で後ろを指す。
振り返ると、壁や天井に同じような青白い魔力痕を見つけることができた。
「探索に役立つやり方だから身に着けとくといいぞ。
今度はそっちの奥の部屋見に行くからお前さんやってみな?」
「やってみなって・・・」
急な無茶ぶりに驚く。
「魔力を使うんじゃなくて広げる感じだ。できると思うぞ」
何を根拠にと思いながら奥の部屋へ向かう。
目をつむり壁に手をつく。
ーさっきの感覚、使うじゃなくて広げる。
ふぅッと息を吐き集中する。
魔力がふわっと広がる。
目を開けると先ほどのように魔力痕が浮かんでいた。
「おぉ~一発か!!いいじゃねぇか!」
ロルフがバンっと背中をたたいてくる。
「・・・ッシ!」
ジャックスはグッとこぶしを握り締める。
「いいねぇ若者の成長はうれしいもんだね~
頑張ってくれたおかげでいい報告ができるぞ?」
「なんすか?」
「奴さん、この上にいるぞ」
ロルフは笑顔で真上を指さした。
その瞬間、天井が崩れてきた。
砂煙が晴れると紺色の毛をまとった魔物が雄たけびをあげた。




