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◆1 こんな家族、見捨ててやる!

 お父様ーーレイブ伯爵は、私、ミレーユ・レイブにいつも厳しく当たります。

 私がレイブ伯爵家の長女であるがゆえに、期待しているのだといいます。


 我が家、レイブ伯爵家は毒見役の家です。

 王宮に勤め、王様や王妃様の食事の味を確かめ、食べ物に異物が混入していたり、腐ったりしていないかどうか、さらには毒が入っていないかを確認する、そういう仕事を担ってきました。

 繊細な舌が要求され、私は目隠しをした状態で様々な食材を口にさせられてきました。

 匂いや舌触りだけで、その食材の種類や、毒の有無を言い当てることなどの訓練をし続けたのです。

 かなり辛い修行でした。

 毒を舐めては吐き出し、一日中起き上がれなくなった日すらありました。

 ですが、これはお父様も経た道だといいます。


「弟の味覚は弱い。でも、おまえには才能があるからだ」


 と言われました。

 ですから、私は、少なくともお父様からは、愛されているのだと思っていました。


 一方、お母様は、弟のポールばかりを可愛がります。

 私には訓練ばかりを押し付けて、抱いてもらった記憶すらありません。

 物心ついてから、ずっと冷たくされてきました。


 毒草採取の訓練のため、私はいつも毒草の根を掘り出したり、木登りをして実を取ったり、そういうことばかりさせられていました。その結果、始終、泥にまみれていました。

 ですから、お母様から、「汚いわ。そのまま家に上がらないで!」と叱られるので、屋敷に上がる前には、冷たい水を身体にかけて、洗い場で汚れを落とす必要がありました。


 反対に、弟のポールはいつも綺麗な身なりをしていました。

 病弱で、肌も白いし、女の子のように線の細い子でしたから、大切にされるのも仕方ない、と思っていました。いえ、そう、私は思わされてきたのです。

 お母様は「おお、ポール。可哀想に」と言っては弟を抱き上げ、頬擦りします。

 なのに、私がお母様に抱きつこうとすると、押し返され、言われたものでした。


「あなたは身体が丈夫なんだから、甘えないで。

 お姉ちゃんでしょ!」と。


 ちなみに、私にとっては、二つ年下の弟ポールは、ちっとも可愛くありません。

 子供の頃から病弱だからと、甘やかされ放題でした。

 勝手にぬいぐるみを私から奪い取っては、ズタズタにしてしまいます。

 そのくせ、私が奪い返すと、まるで自分がいじめられたとばかりに泣き喚きました。

 結果、私がお母様から叱られてばかり。

 とにかくお母様は、ポールばかりを可愛がります。

 どうしてだか、わかりません。


 ですから、私にはお父様しか頼れる人はいませんでした。

 お父様に褒められる日を夢見て、私は頑張り続けました。

 薬草の勉強をして、目隠しして、毒見の訓練をしました。

 毒キノコを手触りだけで見分けたり、匂いで薬草の種類を当てたりもしました。

 夏の日は陽に晒されて汗だくになり、冬の日は雪に降られて身を震わせました。

 雨の日には、ずぶ濡れになりながらも、素手で土を掘って薬草を採りあげました。

 それでも、「まだまだ毒見役を任せられる力量じゃない」とお父様から叱咤され、「汚いわね。近寄らないで!」とお母様からも言い捨てられます。

 弟は身体が弱いということで、両親から大切に守られる一方で、私は(ないがし)ろにされ続けたのです。

 

 それでも、私は我慢し続けました。

 お母様がいつも弟と一緒に食事をし、私が修行する間に遊びに出かけるのも、


「弟には、今のうちしか構ってあげられないからーー」


 と、お父様が言っておられたので、それを信じていたのです。


 ちなみに、子供が幼少の頃に病弱なのは、貴族家庭ではよくあることだそうです。

 現に、王家の一粒種の王女様も、身体が弱く、しょっちゅう咳き込んでいました。

 王妃様はひどく心を痛めて、私のお父様に「幻の薬」を献上するよう、お命じになるほどでした。


「幻の薬」とは、体力を劇的に向上させる滋養強壮薬のことです。

 その薬の主成分である薬草は稀少なうえに、採取しようにも、その形状が毒草に似ていて、通常の薬師には見分けられないと言います。

 ですから、毒見役のお父様が、採取を命じられたのでした。


 王家から特別に、薬草採取の費用までいただきました。

 これでお父様は、レイブ伯爵家の名誉に賭けて、後に退けなくなったのです。

 薬師の資格をもつ弟子や使用人を総動員して、三か月かけて探しました。

 その結果、ようやく北方のトルライ山で、その伝説の薬草が発見されたのでした。


 じつは、その稀少な薬草を見つけたのは、私、ミレーユ・レイブです。

 このときは、さすがにお父様から「でかした!」と褒められ、頭を撫でてもらえました。

 でも、それだけでは終わりませんでした。

 稀少な薬草が、一本だけ、高い崖の、岩の間に挟まるように生えていたのです。

 お父様は、私に命じました。


「ミレーユ。おまえが見つけたんだ。責任を持って採ってこい」


 青白い花をつけた薬草は、見上げた遥か上の崖上にあります。

 さすがに、私は(ひる)みました。


「あんなに高いんです。お弟子さんも使用人も大勢いますから、大人の方に……」


 それなのに、お父様は首を横に振ります。


「おまえはいずれ毒見役を引き継ぐ身なのだ。

 彼らよりも出来ることを示さねばならん。

 しかも、子供のおまえは身体が小さくて身軽だ。

 だから採れるんだ。採ってこい」


 稀少な薬草が、崖上の、危険なところに咲いています。

 その薬草を採るために、私は命綱もない状態で、岩場の膨らんだところをなんとか掴みながら、よじ登ったのでした。

 まさに生命賭けで、薬草を採ってきたのです。


 そして、その薬草を煎じて、他の薬草と混ぜ合わせて薬に調合するのも、お父様の監視の下でしたが、全部、私がやりました。


 お父様は腕を組んで、言いました。


「王女殿下に、我が娘が、手ずから薬草を採取して調合した薬を献上したとなれば、王家からの覚えもめでたくなるであろう」


 王女様のために、私が頑張るしかありませんでした。


 稀少な薬草は、美しい青白い花が咲き、細い茎をしています。

 ですが、それらの部分は薬には使われません。

 木の根だけを絞るのです。

 水分を抜き、乾燥させてから、粉状に摺りおろします。

 そのあとに、人体への刺激を抑えるための薬を混ぜ合わせ、さらに、根っこを絞った際に出来た搾り汁に溶かし込みます。

 そうして瓶に詰めるのです。


 かくして、伝説的な効果を持つ、滋養強壮薬が完成しました。

 あとは王家に献上するだけでした。


 それなのに、なんとしたことでしょう。

 その薬は、弟ポールの口に入ってしまったのです!


 お母様が、私から薬瓶を取り上げたのでした。


「あなたの弟が、毎日、とても苦しんでいるのよ。

 お願いだから、その薬は弟のために使ってちょうだい」


 私は薬瓶を抱えながら、首を横に振りました。


「駄目です。これは王女様に献上するものです。

 そのようにお父様も……」


 肝心なときに、お父様はいません。

 いつも、お母様は、お父様が不在の機会を掴んで、私に頼み事を強要するのです。


「聞き分けなさい、ミレーユ。

 いきなり王女様に使っても、もしかしたらお薬が強く効きすぎて、お命が危険になるかもしれないわ。

 だから、自分の弟で試すのが最善でしょ!?」


「ーーですが、この薬の主成分である薬草は、なかなか生えていないうえに、何十年に一回きり、青白い花が咲いたときだけにしか、薬効が確かめられないんですよ!?」


 この薬草で作る滋養強壮薬が「伝説の薬」と称されるゆえんです。

 今を逃すと、王女様は大人になるまで、この薬を服用できない可能性が高いでしょう。

 もっとも、そうした事情は、弟も同様です。

 ですから、弟を溺愛するお母様も必死だったのです。

 お母様は鼻息荒く、


「王女より、ウチの息子だ!」


 と言って、薬を取り上げてしまいました。


 こうして、弟は王女様の代わりに、稀少な滋養強壮薬を服用したのです。

 結果、その日を境に、弟はみるみる体力が増進していきました。

 さすがは「伝説の薬」です。

 一週間後には、弟は、すっかり健康な身体を手に入れていたのでした。



 ところが、せっかく体力がついて人並みになったのに、弟が甘やかされる状況に、何の変化もありません。

 お父様いわく、「ポールには毒見の才覚がない。これは体力がついても変わらない」とのことでした。


 事実、弟のポールは修行を嫌がり、母もそれを特に叱ることもありません。

 ですから、弟は別の家に養子に出されるか、さもなければ婿に入るものだと、私は信じていました。

 私は、お母様に可愛がられたいと思っても断念し、耐えてきました。

 お父様も、そんな私を、よく褒めてくださいました。


 そして、十五歳の成人になったとき、私はお父様の役職ーー毒見役を引き継ぎました。

 国王陛下と王妃殿下の御膳を毒見し、毒がないのを確認して、勤めを果たしたのです。

 その後、陛下が(たわむ)れに問いかけた食材の生産地までを、私がことごとく言い当てたので、王家にお仕えする侍従長から賞賛されました。


「その若さで凄い」


 と褒めてくださいました。

 ようやく一人前になれた気がして、私、ミレーユは満足でした。



 それなのに、おかしな感じになったのは、それから一年半ほど経ったときでした。


 度々家に訪れていた公爵家のお嬢様ナミア・デビスと、弟ポールが仲良くなった結果、婚約したのです。


 薬のおかげで体力がついた弟は、どんどん図に乗っていき、姉である私に対しても、偉そうな態度をするようになっていました。

 もっとも、公爵家のお嬢様と仲良くなれたのですから、その弟の尊大な態度が、自信にあふれた男性の姿に、お嬢様からは見えたのかもしれません。


 二人の仲が良いという噂を耳にしたことはありましたが、私はいつも通り毒見の仕事に明け暮れておりましたので、具体的には何があったのかは分かりません。

 ただ母に連れられて、弟とその公爵家のお嬢様が、よく会食したり、お茶会をしたりして、親密になり、そのまま婚約することになったようです。


 それは別に構わないんです。

 ですが、両親から驚くべきことを、私は言い渡されました。

 半年後、弟ポールが成人すると同時に、ナミア公爵令嬢と結婚し、この家の家督を継ぐことに決定した、というのです!


 弟の体力が増大するにつれ、両親はますます長男教を発症していったようでした。

 お父様ですら、手のひらを返したように、「跡取りはポールだ」と言い始めたのです。

 そして私は「弟の補助をするように」と言われて、びっくりしてしまいました。


 それでも、我が家、レイブ伯爵家は、毒見役の家です。

 毒見の修行をしていないのに、弟がレイブ家の当主になるのはおかしい。

 私がそう訴えましたら、


「貴女が、そのまま毒見役を勤め続ければ良いでしょ?」


 とお母様は言うのです。


「では、この私、ミレーユ・レイブはどうなるのです?」


「一生この家にいて、弟に仕えなさい。

 良いじゃない。食べるのにも困らないわよ」


「本気で言ってるのですか?」


 お父様の方を見ると、


「才能があるのだから、おまえが毒見役に適任だ。

 それに、デビス公爵家にはお兄様がおられるから、その方が後を継ぐので、ナミアお嬢様をお迎えするためには、ポールが家督を継いでいなければ格好がつかんのだ」


 と言います。


「納得いかない!」


 と私が叫んでも、両親はヘラヘラ笑うばかり。

 お母様に至っては、まるで(あざけ)るような口振りで、私に言いました。


「仕方ないじゃない。

 公爵家のお嬢さんが可哀想でしょ。

 貴女はお姉さんなんだから、弟を立ててあげなさい。

 レイブ家を盛り立てるためよ。嬉しいでしょ?」と。


 私は呆れて、口をあんぐりと開けてしまいました。


(嬉しいわけないでしょ!?

 私は姉で、おまけに才能があるから、奴隷働きをせよと?)


 あまりにも、皮肉な物言いではありませんか。

 努力の果てに成長したのに、見返りは何もなし!?

 冗談じゃない!


 内面から、ふつふつと怒りが込み上げてきました。


 私だって、公爵家のお嬢様のような、女の子らしい、素敵なドレスを着たかった。

 ティーカップを片手にスイーツを口にして、優雅なお茶会に参加したかった。


 私は、すべての、女の子らしい幸せを放棄してきた。

 いや、放棄させられてきた。

 弟や両親の犠牲になって、生きてきた。

 それなのに、毒見役を担い続けながらも、家督も継がせないという。

 義務ばかり押し付けられて、当然の権利は与えられない、というのです。


 許せるものか!


 私、毒見役ミレーユ・レイブ伯爵令嬢は、ついに覚悟を決めました。


「こんな家族、見捨ててやる!」と。



◇◇◇



 王宮の侍従長ダームの執務室に、珍しい客が現われた。

 毒見役に就任したばかりの女性、ミレーユ・レイブ伯爵令嬢であった。


「火急の用件と伺っておるが、いったい何があったのだ?」


 来訪理由に思い当たらず、ダームは首をかしげる。


 彼女、ミレーユは、代々、王家の毒見役を勤めるレイブ伯爵家の長女として生まれた。

 彼女の父親、先代の毒見役レイブ伯爵は年老いており、後継者を待ち望んでいた。

 長年の毒見によって、舌の感覚が麻痺してきたというから、なおさらだ。

 しかし、才能が要る特殊な職業だから、血統があればそれで良いというものでもなく、かといって、レイブ伯爵家は養子を取ったりもしないので、王家の台所を預かる侍従長としては、かなりやきもきしていた。

 ところが、晩年になってレイブ伯爵に子供ができ、その長女ミレーユが、父親の能力を受け継いで敏感な舌を持っていると知り、安堵したものだった。


 実際、ミレーユ伯爵令嬢は、すでに毒見役を一年半ほど勤めているが、父親以上の物凄い能力を持っており、臭いを嗅ぐだけで料理の食材の産地を当てたり、調理法のオススメまでを指示できるほどの才覚を持っていた。

 かといって、毒見役の仕事を始めたばかりなので、勝手がわからず、何か仕事をする上で問題があるのかと思い、何を切り出してくるのかと、侍従長は警戒していた。


 すると、ミレーユ嬢は、覚悟を決めたような顔をして、侍従長ダームが想定した以上の爆弾発言をした。


「ダーム様。心してお聞きください。

 私の家、レイブ伯爵家が、王家に対し謀叛を(たくら)んでおります。

 急ぎ、私の両親を処罰してください!」


「なんですと! 謀叛!? レイブ伯爵が?」


 思いもしない発言に、ダームは当惑する。


「失礼ながら、何かの間違いでは?

 貴女のご両親が謀叛を企むとは、とても思えません。

 一介の伯爵家の財力や兵力では、王家に対して弓を引く手段もありますまい」


「手段はあります。

 お忘れですか?

 我がレイブ伯爵家は、代々、王家の毒見役を承ってきた家柄ですよ。 

 国王陛下のお食事に毒を仕込めば、簡単にーー」


「まさか、お父上のレイブ卿が、貴女に毒を仕込むように指示したのですか!?」


「いいえ。そのような指示はちっとも。

 でも、実際、不思議ではありませんか。

 私が王家の毒見役をするというのに、レイブ家の家督を継げないのですよ。

 ご存知ですか?」


「あぁ……」


 侍従長ダームには、思い当たるところがあった。

 彼女の弟ポールに、公爵令嬢の許婚者ができたと聞いている。

 その二人が結婚した暁にはーーということなら、それはあり得る話だ。


「でも、そうなると毒見役の家としては……」


「そうです。

 レイブ伯爵家は代々、毒見役を勤めるお家です。

 それゆえ、現在、毒見役を担う私、ミレーユこそが家督を継げないとおかしいのです。

 弟ポールに家を継がせるということは、毒見役をポールに任命する、ということです。

 なのに、弟には毒を見分ける能力がありません。

 毒見の訓練すら受けておりません。

 そんな弟を当主にして、毒見役をさせるということは、王家がーー国王陛下や王妃殿下のお食事の安全が、一切保障されない、ということを意味します。

 そのような危険なことを平気で行うというのは、大恩ある王家に対して、謀叛を企むも同然だと思われませんか?

 私も不思議に思っていたのです。

 今までずっと厳しく育てられてきたのですが、いきなり私を見捨てるのですよ?

 これはやはり、お父様とお母様が、国王陛下がいつ毒殺されても構わないと判断した結果としかーー」


「待て待て。

 家を継げないとしても、貴女が毒見役を続けるというのはーー」


「そんなこと、私は嫌です!

 何のために、私は努力してきたのですか?

 毒見役として育てられてきたのですが、家を継げないのならば、毒見役をやる理由もありません。

 そうした意見を私が持たないなんて、常識的に考えて、誰が思うでしょう。

 つまり、私の両親は、実の娘である私を、家から追い出そうとしているのです。

 そうに違いありません。

 そして、王家の毒見役を実質的に空席にして、国王陛下を毒殺の危険に(さら)すつもりなんです。

 これはもはや謀叛を企むも同じこと。

 どうか国王陛下に進言なさって、あの家ーーレイブ伯爵家をお取り潰しください。

 お願いします」


 ダームは鼻下のちょび髭をいじりながら、嘆息する。


「悪いが、そうした進言は、王家の内向きの業務を(つかさど)る侍従長が扱える職権を超えている」


「そうですか。わかりました。

 それでは、失礼いたします」


 侍従長ダームが目を白黒させている間に、ミレーユは即座に(きびす)を返す。

 ダームに話が通じない、と見て、次のターゲットに向かうらしい。

 ダームは慌てて、立ち去ろうとする女の背中に問いかけた。


「これから、どちらへ向かわれるのか?」


 ちょっと振り返って、ミレーユは答える。


「官邸へと向かいます。

 できれば宰相閣下にお会いして、我がレイブ伯爵家による王家への謀叛をお伝えしようかと思います」


「待て待て。

 それでは、無闇に事が大きくなる。

 貴女に官邸に出向かれては困る。

 とりあえず、宰相閣下をこちら、王宮へと向かわせるから、ここで待っていてくれ。

 侍従長である私と、宰相閣下、そして貴女とで、内々に討議しようではないか」


 侍従長と宰相は縁戚関係にあり、顔馴染みだ。

 思いも寄らぬ事態になった場合、互いに連絡を取り合う間柄でもある。


 ミレーユは仕方ない、とばかりに、大きく息を吸った。


「わかりました。

 とはいえ、あまり討議などに時間をかける必要はありません。

 私は密告者として身柄を拘束される覚悟で来ているのです」


「わかった。わかったから……」


 侍従長ダームは、怒れる女性を(なだ)めるので精一杯だった。


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