5話:おうちどうする?
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side 七篠慧
……何なんだあの人。日課の散歩をしていたら、浜辺に転がっててついあの人と重なって連れてきてしまってけど……絶対自殺だよな〜。
そう思いながら私、七篠慧は永遠におかゆを作るため、台所に立つ。
だってあれだよ、全身見たわけじゃないけど少なくとも上半身に切り傷、打撲、偽関節、根性焼きだとか色々付いてるんだよ? いじめとか虐待が嫌になって海に飛び込んだやつじゃん。
笑ってたけどなんか不気味な感じだったし多分、色々されて辛かったんだろうな。
そんな事を考えながらもおかゆを作る手を止めないのは元々いた同居人のせいだろうか。
「はぁ〜」
面倒なことになった。
おじいちゃんが死んで2年間、あの人と一緒に暮らしてきたけどあの人も1ヶ月前から消息不明だし。この家にはもう私しか残ってないし少しずつ切り崩してきた貯金も底をつきそうだ。
まあ、一人じゃなくなって寂しくなくなったからこれからは楽しくなりそうだな。
そうは考えながらも、私は涙が出そうになっている。まだ大切な人を失った傷が治っていないのかもしれない。
このタイミングてきた永遠は、家族をすべて失った私への神様からのささやかな救済なのかもしれない。何となくそう思えてきた。
そうだあの人に報告しよう。
私は独り言のように写真の中のあの人に語りかける。
「お姉ちゃんまた同居人が増えました。お姉ちゃんと同じ感じで浜辺に転がってました。今度は悲鳴あげなかったんですよ。えらいですよね? その人の名前は新堂永久と言うそうです。今どき珍しくもないですがお姉ちゃんと名字が一緒なんです。運命感じますよね。」
写真の中の人物、新堂 有栖に
side 新堂永久
面倒なことになった。
あれ多分自殺したと思われたよな、どう誤解を解けばいいのやら。しかも能力があるような説明の仕方しちゃったからいずれ何なのか聞かれるよな。どうしよ。
いや、そのこともあるが問題は住む場所だ。ここらへんの地理は全く持って知らないし、誰かに聞く宛もない。なら、不動産に行ければいいんだろうけど、いったところであいにくの一文無しじゃな。アリスそこら辺どうにかしてくれよ。ん〜とりあえず近くに住めそうな無人の場所がないか慧に聞くか。
そんな事を考えいると、慧がおかゆを持って戻ってきた。
「すみません、遅くなってしまいました」
戻ってきた慧の目尻が少し赤くなっているようだが先程のような気まずさはない
「いや大丈夫、そもそも俺はお世話になっていいる側だから文句なんて言えないさ」
「まあ、そうですね」
そう言いながら慧はお粥をすくったスプーンを自分の口元に近づけ息を吹きかける。何をしているのだろう?
「ふう、ふう、はいあーん」
「……あの、上半身は動くので普通におかゆぐらいなら食べられますが?」
「あーん」
「…………」
「あーん」
「…………あーん」
……無言の圧力に耐えかねた俺はついにそのお粥を口にしてしまう。顔が熱くなるのを感じる。数秒の咀嚼の後嚥下しようとするが、俺の喉は動かない。
「ッ……」
美味い、美味すぎる。いや違う、味を感じる。味を感じたのなんて10年ぶりだ。今まで食べてきた飯がゴミみたいだ。実際残飯が多かったけど
「あの、口に合わなかったですか?」
いつまで経っても嚥下しない俺を不審に思ったのか慧が聞いてくる。……違うんだよちゃんと味がするんだよ。もう泣きそう。あ、涙出てきた。
「え? 大丈夫ですか? な、泣くほど不味かったですか?」
「……いいえ、ち、違うんです。ただ、ちゃんと味がするんです」
「それはどう言う……」
……はて、話しても良いものだろうかこんなときにアリスがいたら相談できて楽なんだけどそんなうまい話があるわけが……
『あるんだなこれが』
なんこったろうとおもったよ。なに? 神って暇なの。
『暇じゃないけど並列で考えれるから以外と楽だよ。まあ、管理しなきゃいけない思考は5000個以上あるけどね』
まあいいや、で、話聞いてたと思うけどアリスの話ってしてもいいの? 駄目なら駄目でいいんだけどそこの線引はっきりしておきたくてね。
『ん〜 アリスっていう名前出さなかったらいいよ。まあ、神様から連れてこられたなんて言っても信じてもらえなだろうけど』
ん、分かった。ありがとさん
『今度こそじゃあね〜』
じゃあアリスの話をしないんだったら虐待といじめを苦にして自殺したって事にしよう。誤解を利用しているようで悪いけどまあ嘘は言ってないしいいよね。
「えぇと、後で言うので先にお粥食べません? せっかく作ってくれたものをわざわざ冷ますこと無いし」
「それもそうよね、じゃあはいあーん」
「…………」
お粥がすべてなくなるまで俺は初めてされる行為に顔を真赤にして耐えた。
そうして俺は5分ほど身の上話のようなことをした。
「……ひどい、なんでそんなことを……」
慧は良いやつだ。俺の過去の話をしても引いたりせずにちゃんと向き合うどころか共感すらしてくれる。
……自分が無能力だからだと言って良いものだろうか? 助けてくれた恩義もあるし、どうせすぐに出ていくだろうし、それが早まるだけだし良いか。それに、なんだか大丈夫な気がする。
そうやって自問自答しているとしびれを切らしたのか慧が聞いてくる。
「……もしかして、さっき能力のことを言わなかったのはそれが原因だからですか?」
「ッ!!」
「……その反応、やっっぱりそうなんですね。失礼ですが忌み子と言うやつでしょうか?」
……忌み子、両親や兄弟、親族などに似た能力を持った者がいないときに生まれてきた子が言われる名だ。忌子は代償が大きい代わりに強大な力を持つことが多いとされている。俺が忌み子ならばまだ良かった。扱いづらいだけで能力を持ってはいるのだから。忌み子ではないからちゃんと言わないとな。
「ええ、ご明察の通り能力が原因だよ。だけど、忌み子というわけじゃない。実は……俺には能力がないんだよ」
「え? でもそれっておかしいんじゃ……」
「そう、おかしいだろ? 最後の無能力者が確認されたのはもう30年以上前なんだから。しかも、おれの両親も二人共能力者だったらしい」
「うん? だった?」
「あれ? さっき言わなかったっけ? 俺五歳のときに事故にあったらしくてそれより前の記憶がないんだ。それに、その事故でおれの両親と姉は亡くなったらしい」
「それはまた……お姉さんいたんですね」
先程の意趣返しのつもりでわざと黙っていたがやっぱり驚いているよな。まあ、それにしては変な反応な気がするが。
さて、話も終わったしそろそろお暇しようかな。
「あの、服ありがとう。俺はそろそろ出ていくから近くにある無人の場所教えてくれない?」
「あ、それなら……ってなんでナチュラルに出ていこうといているんですか!?」
「え?」
無能って忌み子以上に忌むべき存在じゃないの? 凛とかクラスメイトの反応が普通なきがするんですけど?
そう思うとまた思考を読み取ったかのように慧はいう。
「ここはあなたが元いた場所では無いのですからいじめられたり虐待されたされる謂れは存在しないのですよ。それを望むために自殺したのではなですか?」
「そ、そうだけど……」
「なら、よいではないですか。一度死んだことにして新しい人生を謳歌しましょうよ」
アリスみたいなことを言うやつだな。慧ならそのうち俺の発言からアリスの存在に気がつきそうだな。まあ置いといて新しい人生を謳歌するにしても住む場所は必要だろう。
「わ、分かったけど、何にせよ住む場所が必要だから無人の場所教えて?」
「そんなの、私と一緒に住めばいいじゃなですか!! ここ広い割に一人しかいないから実質無人ですし」
なんか違うような……まあここま言ってもらえたのならば言葉に甘えないと失礼だよな……
「わかりました。ここに住まわせてください」
「はい!!」
こうして俺は家と同居人を手に入れた
ありゃっした〜