3話:女神?「異世界行って来い」
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「あ、やっぱり呼べたのね〜」
目を開くとそこは幾何学模様の空間で、中には可愛らしい少女がいた。
……どゆこと?
何がなんだかさっぱりだが、発言的にこの少女が割れた空間を作ったのだろう。
「……すみませんあなたは誰ですか? そしてここはどこですか?」
「……ん? ああ、私はアリス、気軽にアームスト◯ング上院議員と呼んでくれ。で、ここは私の権能で創った世界だよ〜」
……端的な回答どうもありがとう。だが少し疑問が残る。流石にアー◯ストロング上院議員の下りはネタだろうが権能ってなんだ? 能力とは違うのか?
「権能についてねぇ、んまぁ貴方達人間が使ってるやつより色々できるしそもそも大元が違うから別物ちゃ別物ね。でもここではあんまり関係ないから詳しい説明は省くわね」
……こいつ普通に心を読みやがった。やっぱり権能は能力とは違うみたいだな。まあ空間を創る能力と心を読む能力のハイブリッドの可能性もあるが確率は低いだろう。そしてこいつ貴方達人間って言ったよな? てことはこいつは人間じゃないってことか。
「うん、正解。私は俗に言う神様みたいなやつだよ。まあ、この世界の神ってわけじゃないけどね〜」
……もしかして崇め奉った方がいいやつ?
「いやぁ、私としては崇め奉ってほしいけど、さっきも言った通りこの世界の神じゃないからいいよ。あ、ちなみにどんな世界かって言うとこの世界の異世界系ライトノベルみたい……というかそのものだよ〜」
お決まりのパターン過ぎてなんで呼び出したか大体予想がついたけど一応聞いておこう。なんで呼び出したんだ?
「そりゃぁお決まりのパターンだよ。私が管理している世界には今ちょっとした問題があってね。異世界の人たちだけじゃ無理そうだから、それを解決できる人間を異世界から連れてくることにしたの」
お決まりすぎて笑えてくるな。まあ、それはわかった。で、なんで俺なんだ?
「それは神様と言っても一枚岩じゃなくてね。この世界の神いわく、死ぬ直前とか死んだ後とかいなくなっても誰も気にしない人とかしか連れていけなんだよ〜。それで私が見たときに丁度良ゴホッゴホッたまたま死のうとしてて、なおかついなくなっても誰も気にしなさそうだったからだよ〜」
……いなくなっても誰も気にしなさそうってのは少し心に来るな。それは置いといて。その異世界の問題ってなんなんだ?
「……それは、異世界に行くことを決めて貰わないと教えられないな〜」
でもわかっていると思うが俺には能力がなくてな、あいにくその異世界の問題は解決できそうにない。
「え? 嘘? そんなわけ無いじゃん。この世界の能力保有率は100%のはずだよ?」
そう言ってその少女……アリスは目を見開いた。その目の中には逆五芒星が映る。数秒間俺のことを見つめたかと思えば急に目を瞑り少し考えるような仕草をしてから、目を開けた。
「……うん。やっぱり嘘じゃん。君はちゃんとの異能の力を持っていね〜。なんで嘘をついたのかな?」
そう言うと巨大生物でも現れたような威圧感がアリスから湧き出てくる。そんなに威圧されたら答えられるものも答えられないような……
「あ、そうだね。ごめんね」
まあ、俺が能力を持っていないのは変わらないけどな。
「ん? 能力を持っているのになんで頑なに認めないの? ほんとに使えなかったりする?」
ホントホント使えない。どう頑張っても使えない。
「……わかった君能力の使い方を知らないんだよ! そうか5歳で記憶喪失になってるもんね。じゃあ使い方わかったら異世界に言ってくれるかい?」
え? 使えるようになるの? なら行く! 寧ろ行かせて下さい!
「でもな〜頭いじるのはな〜廃人になるかもしれないしな〜自分で気づけばいいんだけど……」
アリスは一人でボソボソなにかつぶやいているが声が小さくてよく聞こえない。
「あ、あの……」
「そうか!こっちで問題解決させれば自然と身につくよね! よし!」
何を言っているのか聞こうとしたがどうやら独り言は終わったようだ。これで説明が聞ける。
「じゃあ行ってらしゃーい!」
「…………え?」
そうして俺は理由もわからず幾何学模様の空間から追い出され海面に叩きつけられた。