報告。
「えーっと、まずは、お帰りなさい。ジーク報告よろしく」
ラシードさんを、べシッ!と引っぱたいたと思ったら、徐に首根っこを掴んでソファに座らせた。
ゴードンさん強い。
モーリェでも報告済みですが、と前置き、ジークが話し出した。
騒ぎがあったので行ったら助けを求めていた事、かなりの個体が上陸していた事、その為、シャルルが参加した事、魔獣避けが機能していなかった事、試しにドライを使ったら思いのほか効果が高かった事、憶測だが沖でクラーケンがマーマンの住処を脅かしていたかもしれない等。
「うん、モーリェから聞いていたのと相違はなさそうだな。他に気になる事はなかったか?シャルルは?」
仕事モードになったラシードさんが聞く。
「うーん……、途中でハンターさんの応援が来た時に、わたしは引いて治療に当たったので討伐については分かりません」
「ジークは?」
「クラーケン対策でギルドにB、Aランクのハンターが集まって居たので応援が早かった事くらいかな。マーマン数体ならCランク数名でも余裕だけど、多数だったからB、Aランクが多くて良かったですよ。普段ならもっと苦戦してたでしょうね」
「ふむ。不幸中の幸いか。分かった。討伐の報告は以上かな?では、ドライ魔法による弱体化については?」
「体表が粘液で覆われていたので、試しにドライを使った。以上ですね」
「ふむ……それは盲点だったなぁ。よく気がついたな」
「たまたまですけどね」
わたしはドキドキしてた。
心配そうな顔してたんだと思う。
ジークが手を繋いでくれた。
「そこ!イチャコラしない!」
「ほっといて下さいよ」
むぅ
「今回のマーマンは、人災だったとモーリェから聞いている。領主にも報告したので、何らかの処罰が与えられるだろう。幸い死亡者は居なかったからな、軽いとは思うが」
まだそこまでは聞いていなかったから、死亡者が居なかったと聞いて、ほっとした。
治療していても亡くなったとは聞かなかったから、どうだったのか知らなかった。
「シャルルや薬師達が、頑張って治療してくれたからだね、よかったね」
そうジークが言う。
「わたしはサランさんの指示に従ってただけだから。でもよかった」
「シャルルちゃんも頑張ったからよ〜。ありがとうね。でも!討伐に参加なんて危険なのよ?ジーク、あなた止めなかったの!?」
「すみませ「止められたのにわたしが無理やり着いて行ったんです!ほら、けが人が居たら治療出来るし、治療したら歩けるから逃げられるし!」」
「まぁ分かってるわ、止めないわけないものね〜。でも言いたかったの!!他のハンターも、シャルルちゃんが戦ってるの見てなかったみたいだし、救護してたって報告あったからね」
危ねぇ!!良かったよ引いて!
「ジーク、SSに少し近づいたな」
「まだまだですよ。先輩Sランカーが2人も居ますからね」
「ザイードは今、西の魔石ダンジョンか。ロイはどこだっけ」
「ロイは夏は引きこもりよ」
「またかよ!アイツ引っ張り出すの、大変なんだよなぁ」
「あ、俺今年は祭りの時休むんで」
「え、お前休暇取ったばかりじゃねぇか」
「Sランクになって初めて纏めて休暇取ったんですよ?初めて!何年働かされたと!?なので、大事な事だから2度言うけど、今年はSランクになって初めての祭りだから依頼受けませんから。これは譲れません。しかも討伐して仕事したし、そのせいで早く戻ったし」
ぷぃっ
「じゃあロ「俺は無理ですからね」イを」
「じゃあゴー「アタシも無理」」
「じゃあシャ「何言ってんですか」」
「大体ギルマスしか引っ張り出せないじゃない。無理〜!」
ぐはーー!と頭を抱えてしまったラシードさん。
そんなに大変なのか……。
「はぁぁ……まぁ、アレだ、とりあえず報告は受けた。多分ドライ魔法の有効性の報奨出ると思うからな、心しとけ」
「あー、はい、了解です」
ちらりとジークを見ると、にこっと笑ってくれた。




