旅の終わり。〜その1〜
宿に戻って、ジークはわたしを膝に乗せて抱きしめた。
「ジーク?どうしたの?何かあった?」
「王都に戻らなくちゃならなくなった」
「え?」
「今回のマーマンの報告をしなくちゃならない。最初に到着したって事と、俺がSランクだったので報告と、それと……ドライ魔法が弱点になるのを発見した事」
「……」
「火魔法だけが弱点だと思われていたんだ。だけど、周りに被害を与えないドライは、今後のマーマン討伐に有利になる。所謂大発見になるんだ。誰も知らなかったし、実際に使って、かなり有効だったからね。他のハンターも絶賛だった」
「……」
「考えてみたら、有効なのも当然だったんだ。水生生物だから、乾燥するのは身の危険になるし、無理やり身体を覆ってる水分を飛ばされたら、そりゃ弱るよね。見つけたシャルルは凄いんだよ?誇っていい。けど、シャルルの功績にしたら目立つのは避けられない。勲章ものなんだ」
「そんなのいらない」
「うん。だから相談」
「どうしよう。どうしたらいい?」
ちゅ
「そんなに不安そうな顔しなくていいよ。相談するって言ったでしょ?」
「うん……」
「うんとね、この功績を俺に押し付けていい。シャルルの凄い発見を他の奴にはやれないし、やりたくないからね」
「ジークと一緒に戦って見つけたんだもの、ジークの功績でもあるから、それは全然構わない。でもジークの不利益にはならない?大丈夫?」
「SSランクに近くなる、かな。まぁまだ先だと思うけど」
「え!?凄い!!」
「Sランクもこの国に3人しか居ないからね、SSは今は誰も居ない。だから凄いには凄いんだけど、足枷も増えるんだ」
「足枷って……ジークの負担になるのはイヤだよ……」
「まだならないから大丈夫だよ。先の話ね」
「うん……」
「俺より先に他のSランクがSSになるかもしれないし、基本SSは国にひとりだからね。その人たちの方がSになったのが早いし、その人たちの方がSSには近いと思う。だから、そんなに心配しなくてもいいよ」
「うん、分かった」
「でね、ハンターギルド本部に報告に行くって言ったでしょ?シャルルも先行討伐に行ってるから、話を聞きたいって。もちろん、ここのギルドにはシャルルが戦ったこと言ってないけど、ギルマスには報告した。他言無用としてね。で、一緒にって言われてるんだけど、断っていい。ハンターじゃないからね。どうする?」
「ラシードさん?」
「そう。断ってもいいんだよ?」
チリン
「うわ、タイミング!ギルマスからデンタツ、出たくねぇなぁ」
「出ていいよー」
「すまん、出るね」
「ジークです。あーーーーー、はい。シャルル立体にするな」
「うん」
『シャルルちゃん久しぶり!!』
「お久しぶりです!」
『ジークから聞いた?』
「報告の件なら聞きました。わたしも行くんですか?」
『そうだね。ハンターじゃないから報告義務はないよ。でも話は聞かせて欲しいな』
「俺だけでいいじゃないですか。シャルルに聞いても同じ話しかしませんよ?一緒に居たんだし」
『本来ならハンターじゃなくても話は聞くもんだ。モーリェ支部で聞かなかったんだから、報告と言うよりは状況説明をして欲しいだけだよ。ハンターギルドに駆け込んだ領民には、話を聞くだろ?』
「分かりました。行きます」
『助かるよ。ジークに他言無用って言われてるけど、サブマスのゴードンには話すからね』
「はい」
『って言うか!何そこ!家!?家なの!?どこに座ってるの!?』
「え?家と言うか、コテージですね」
『は?コテージって、コテージ?え、一緒に泊まってるの!?』
「え!あの「そうですよ。座ってるの俺の膝だし」ジーク!」
「一緒に寝たじゃん」
『えええええええええ「言い方!!」ええ!!!!』
『ホントに?え?ホントなの!?』
「添い寝だけです!」
『…………』
「俺とシャルルは、バカップル目指しますから」
「ジーク!!」
『かっぷる…………』
フォン!
「あ、切れた」




