モーリェ。〜その12 すき〜
あぁぁぁ……
やってしまった……
「シャルル?」
ジリジリと後退る……
「どうした?」
ふるふる……
カタリと音を立てて、ジークが立ち上がる。
ジリッ……
「大丈夫?」
あぁ、もう壁……
「シャルル、おいで」
ふるふる
「さっきみたいに抱っこしよ?」
ふるふる
「ほら」
ふるふる
「怖いの?」
こくん
「俺が怖い?」
ふるふる
「じゃあさっきのスキル?」
……。
「俺は怖くない?」
こくん
「おいで」
「大丈夫、おいで」
下を向いたまま、そろりと手を伸ばす。
「捕まえた」
そのまま、ぎゅっと抱きしめられる。
「ほら、首に捕まって、コントリーになってみてよ」
くすくす
腕を首に回され、ひょいっと抱き上げられる。
またソファに逆戻り。
「さて、隠したかったのにバレちゃったから怖くなっちゃったの?」
こくん
「俺が怒るとか騒ぐとか、そう思っちゃったの?」
ふるふる
「俺、シャルルに怒ったことも、何かを問い質したこともなかった気がするけど、俺、知らないうちに何かやっちゃってた?」
ふるふる
「ならよかった。何かやって、信用なくしたかと心配した」
ふるふる
ひっくずびっ
「さっきのはインベントリ?」
……こくん
「持ってる人は極小数だけど、誰も居ない訳じゃないし、怖がらなくても大丈夫だよ?」
……。
「俺も誰にも言わないし、って、バラされると思った?」
ふるふる
「よかった。そこは信用して貰えてる?」
こくん
「シャルルが隠し事してても、それがバレても、俺、シャルルが好きだよ」
……。こくん
「俺も言えないことあったりする。まだ知り合って、少ししか時間経ってないし、きっと知らないことの方が多いと思う。でも、これから少しずつ知って行けたらなーって思ってるんだ。シャルルはどう?」
こくん
「ね、こっち見て?」
「ほら、俺の目を見て?」
クリーン!おずおずと顔を上げる。
「あぁ、クリーンしちゃった。泣き顔きっと可愛いのに」
くすくす
「ほら、俺の目も金混じり。魔力が高いと金混じりになるのは知ってるよね?」
こくん
「俺だってきっと頑張れば、いつかインベントリ覚えてみせるよ!いつか!きっと!」
おでこ合わせて鼻の頭同士でスリスリ。
「俺シャルルが好きだよ。俺の気持ちをシャルルが決めちゃダメだ。バレたら嫌われるって思ったりしなかった?」
……こくん
「あ、もしかして、マーマン倒してた時に、バレたくないでしょって聞いたのが切っ掛け?」
……。
「あぁ!ごめん!そんな切っ掛けになるとは思わなかった。インベントリもバレるのが不安材料だったから俺が帰った時に怖くてコントリーになったの?」
……こくん
「なんてこった。ごめんな、不安にさせた」
ふるふる
「ジーク」
「ん?」
「……すき」
「俺も。やべぇ、嬉しい……。ね、キスしていい?」
それ聞くの!?え、そうなの!?
「許可を取ったらって言ったでしょ?」
…………こくん
スリっと鼻を合わせ、手をわたしの頭の後ろに差し込みながら、最初は触れるだけ。
次は唇を食む。
「やばい、止まれなくなる。この先はお楽しみにしとく」
ぎゅっと抱きしめられる。
「俺今めちゃくちゃ幸せ」
くすくす
抱きしめ返すことで返事をする。
わたしの、初めてのキス。
わたしも嬉しい。
ぐるぐるきゅ〜
「「あっ」」
「途中だったね、俺まだ食い足りない!おかわり!」
あはははは!
わたしもおかわりしちゃおうかな!




