モーリェ。〜その11 不安〜
トリシェさんからの指示で、けが人を治していった。
結構な人がケガしてたけど、わたしは魔力に限界がないので、サクサクと治す。
「よく魔力が続くわね……さすが金混じりねぇ」
「ちょっと多めなんです。でも休憩頂きますね」
危ねぇ危ねぇ!適当に休まないと!
ジーク大丈夫かな。
バレたくない。確かにそうなんだけど、人命と天秤にかけたら、人命の方が大切だよ。
そこは間違えたらいけない。
でも、ジークの優しさも嬉しい。
ジークにも隠してる事がたくさんある。
ジークにもバレたくない。信用はしてるけど、でも
バレたら人だと思われないかもしれない……。
怖い。嫌われたくない……。
流石に他の人と違うのは自覚したし、自分で言うのもアレだけど、何でも出来すぎる。こんなの常識にないもの。
インプットしたのは常識でしょ?じゃあ、わたしは何なんだって話しよね。
「エイプリルさん、けが人の治療、今いる人は終わったから、もう帰っても大丈夫よ。助かったわ、ありがとう。治療報酬は口座に入れるわね」
「あ、いえ。お役に立てたなら良かったです。それではお疲れ様でした」
とぼとぼと宿に帰る。
美味しいごはん作って待ってるって約束したし、何か作ろう。
カウカウのステーキ焼いてインベントリに入れておこう。
付け合せ、何がいいかな?
スープ、何がいいかな?
ぽろっ
あれ?あれ?涙。
バレたら怖い……。不安が心を覆い尽くす……。
何で、わたし、普通じゃないの……。
「ふっ……くっ……ふぇ……」
ダメダメ!!お肉!!カウカウ美味しいんだから!
美味しくたくさん焼いておかないと!
お腹空かせて帰ってくるもん!
お昼も食べてなかったもん!
根性!!気合い!!どっせい!!
焼いた。とにかく焼きまくった。
パンも温めてインベントリ入れてあるし、いつ帰ってきても大丈夫!!
どんと来いやぁ!!
……。
……。
ソファにぽつん。
横になってぱふん。
あっち向いてころん。
ちょっと疲れたな……。
夜もだいぶ更けた頃。
「ただいまー」
がばっ!!!
「おかえりなさい!!」
だーーっ!と走っていって、びょーーん!と飛んで、ぎゅーーっ!と首に巻きついて、足を腰周りに絡めた。
「うわ!!!っと!!どうした!?」
ふるふる、首を振る。
「なんだ?寂しかった?」
ふるふる
「えー、そこは寂しかったって言ってよー」
くすくす
「よっ!と。これじゃまるでコントリー(コアラ)だな」
あはは!
そのままソファに座る。
「今日はありがとうなー。結局魔獣避けの魔力切れで用をなさなかったらしい。今までマーマンが来ても2〜3匹だったから、みんなで対処出来てて魔力切れが分かってても放置してたんだって。明らかに人災だよ。マーマンが来たのは、沖合で暴れてた魔獣が居ただろ?恐らくあれのせいじゃないかって事らしいよ」
背中ぽんぽんしながら今日の事を教えてくれる。
アイツのせいか!!!
「で、どうした?」
ふるふる
「甘えたくなっただけ?」
こくこく
「そっか。じゃ、もう少しこうしてような」
ぽんぽんなでなで。
「可愛いなぁ。いつも甘えていいんだよ?」
ふるふる
ぶはっ!!
「ちょっと寂しい!」
ぐるぐるきゅ〜
「「あっ」」
首に顔を埋めながら
「ごはん食べる?」
「そこで喋るとくすぐったい。食べるよ、腹減った」
ふふっ
ちょっと着替える、と言って寝室に。
わたしはごはんの支度。
「お!うまそう!カウカウ?」
「うん、焼き加減分からなかったから、ミディアムレアなの。大丈夫?」
「うん、それ位が丁度いいよ。いただきます!……これ、カウカウ?めっちゃ美味い、けど、これカウカウでもリェスの方?」
「うん?聖域の側にいたやつだから、そうかな?」
「え!?まじで!?よく倒したなー」
「頑張った!」
「おかわりある?」
「あるよー!はい」
「あれ?今」
あっ!!!!
まずいっ!!インベントリだった!!




