ドライブ。〜その5〜
ギルドに報告。
「討伐完了しました。辺りには今の所魔獣は居ません。最寄りのギルドでいいですか?分かりました、では」
フォン!
「よし、このままギルドのある街まで行くな。魔獣の引渡しと報告だけさせてくれ。んで、その街で宿に泊まろう」
「うん、了解。ちょっと遅くなるけど森を抜けたら、お昼で大丈夫かな?」
「そうだな、乗合も通らないし、森を抜けるまでちょっと飛ばすか」
そう言ってゴレ車に乗り込む。
「ぎゃーーー!!!」
はははっ
「大丈夫だよー」
何が大丈夫!!
景色が流れすぎて横線になってるじゃないの!!
これ時速何kmなのっ!?
舗装されてない森の街道を、このスピードで走ったらタイヤがバーストしないの!?大丈夫なのっ!?
爆音はないけど砂煙が後ろにたなびいてるよぉぉぉ!
結局、6時間位かかる所を、オークも討伐したのに3時間で通過した。
はぁ……
「ジークがスピード狂だってのは確認したわ……」
「こんなもんでしょ?」
何きょとんとしてんのよ!!
可愛い顔すんじゃないわよ!!
野営するように開けた場所で、お昼休憩。
わたしがお昼担当。
「宿、予約しとくな」
と、デンタツでお宿に連絡するジーク。
さて、お昼は丸ごとオニオンスープとパニーニ、ディア煮込みのパイ片手ver.
足りるかな?何かないかなー?
インベントリを確認。
あ、から揚げ忘れてたわ。これも出してっと。
野菜足りないからコールスローと。
昨夜の夜ごはんより豪華になったわ。
パニーニやめて、普通の丸パンにしとこ。
濃い味ばかりだもんね。
「シャルル、宿だけど、足止めされてた乗合の人が多くて埋まってるんだって。テント張る場所はあるから、またテントになるけど、大丈夫?」
「うん、大丈夫よー」
何せベッドはふっかふか!
「OK 次こそ初の宿にしような」
あぁそうか。宿に泊まったことがないって言ったから気を使ってくれたのね。
ふふっ
「うん。海の街でも宿に泊まるでしょ?大丈夫よ、ありがとう」
「そうだね。ならモーリェでは、ちょっといい所にしよう」
海の街はモーリェって言うのか。
「楽しみにしてる!ごはんどうぞー」
「おぉ!ありがとう!」
まぁ相変わらずキレイに食べてくれる。
絶賛が止まらない。
いや、嬉しいけど。
宿には泊まれなかったけど、ほぼ寝るだけだもんね。
街ではギルドに報告と、魔獣を引き渡した。
お風呂入りたいけど、多分ないと思うし。
旅は楽しいけど、お風呂が!!お風呂が恋しい!!
クリーンで身綺麗だけど!そうじゃない!そうじゃないんだ!
あぁ、モーリェでお風呂入れるかな……。
「ねぇねぇジーク、お風呂、って、入る事ある?」
「風呂?そーだなー、滅多に入らないけど、極々たまになら入るかな」
そーかー……
「風呂に入りたいの?風呂って言っていいのか分からないけど、モーリェにお湯が湧く泉があるよ?もちろん、人が入れる所」
な、な、なんですとぉぉぉぉぉぉ!?
おおおお温泉!!温泉があるのか!!!
「そこも案内する予定だったよ」
にっこり
「嬉しい!!やったぁ!!」
「ただ、服は着て入れないから専用のを買うか借りるかしないとなんだけど」
「大丈夫!見てから買うか借りるか決める!」
水着!?だよね?だよね?
「あ、でも、そうか、うーーーーーーん……」
「なに??」
「いや、その……」
「なになに!?」
「身体にぴったりしてる、その、下着みたいなヤツだから、シャルルが着るのがなぁ、と……」
「え、水着だよね?みんな着てるでしょ?」
「そりゃみんな着てるけど、男女別じゃないんだよ?男も見るよ?」
「そんな凝視しないでしょ!大丈夫だよー!」
ふふふふっ
「はぁ……失敗したかも……」
小声でこしょこしょ呟くジークはほっといて、わたしのココロは既に温泉!!
ひゃっはーーー!!!
水着着て入る温泉ってあったもんね!
 




