ドライブ。〜その2〜
「ちょっと早いんだけど、あそこで野営にしよう。この先、道はあるけど、魔獣の出やすい森を通るから、夜に掛かると危ないんだ」
「うん、分かった。簡単にテントだけでいいよね?」
「あぁ、水場もあるから、必要なら汲んでくるよ」
「うーんと、大丈夫だと思う」
わたしのテント、水周り完備だしね!
「テント、すぐ隣でいいか?結界張るのに近い方がいい」
「うんうん、OK」
テント置いて、椅子と焚き火台出して、テーブルは夜ごはんの時にしよう。すぐ動けるようにね。
「撤収の時も思ったけど、でかいマジックバッグだよな。ポンポンなんでも出てくる」
あっ、マズかった?
「まぁ俺のもそこそこだけど、倒した魔獣入れるから、物をあまり詰められないんだよな」
なるほど!
「わたしはそれを考えなくていいからね。女の子の荷物は多いんだよ!」
って事にしとく!
「そうだな」
ははっ
えーとえーと、知識庫を漁る。
マジックバッグの大きさは、付与した時の魔力の加減で大小が決まる。と。
知っとるわ!売ってるマジックバッグの大きさは!?
特大で倉庫2つ位、大で倉庫1つ位、中でその半分、小でその半分、その下は様々。
特大は、ほぼ売られていない。
……倉庫の大きさが分からない。
なんとかドーム何個分がよく分からないのと同じじゃん!
なんとかドームが何か知らんけど。
「どうした?」
「あ、ううん、何でもない。とりあえず薪も必要ないから座ってて、お茶入れるよ。運転ありがとう、お疲れ様」
ええい!テーブルは見られてるし、お茶するから出しちゃえ!
どん!と出したテーブルに、アップルパイ片手ver.を出して、
「あ、カフェルじゃないけどいい?」
「もちろん、何でも大丈夫だよ」
紅茶を出す。
「ごはん、持ってるので簡単でいいかな?」
「え、用意してくれるの?」
「そりゃ車に乗せてもらってるもの、ごはんは用意するよ」
「ありがとう。またシャルルのメシ食えるの嬉しい」
はにかむジーク。
うんうん、そんな顔も可愛いよ。
「作り置きの簡単なものだよ」
ふふっ
「それでも、だよ。俺のはメシって言っていいのか分からないしな」
ははっ
「う、うん、見ててちょっと切なくなるよ」
「ハンターのメシなんて、みんなあんなもんだよ。このお菓子も美味いな。パリッとサクッとトロッとしてて、中のは何だろう?凄く美味い」
「アプリのパイだよ。車だとパイがポロポロ落ちるから出さなかったの」
「へぇ、これも手作り?」
「うんうん、と言うか、作ったものしか入ってないな。そう言えば、お店のお菓子買ったことない。お店に入って食べる事はあるけど」
そうか、買って食べないと、どんな味か、食感がどうなのか分からなかったわ。
ジークの目がまん丸になった、え、変だった??
◇◇◇
ジーク目線。
え、店のお菓子買ったことない?
子供の頃にお菓子位買い食いしない?
お菓子買えなかった?
いや、デンタツもゴレ車も持ってるから、金に困ってるわけじゃないだろう。
じゃあ家に料理人がいて、料理人が作ってた?
え、貴族なのか?
いや、エイプリルなんて家名聞いたことがない。
あっ!母親が料理上手で、お菓子買わなくても家にいつも置いてあったからだな!きっとそうだ!
いつかご挨拶に……ダメだ、気が早い!落ち着け!俺!




