ドライブ。〜その1〜
美味しいごはんを食べて、トイレから帰ったら会計終わってた。
「聖域でメシ食わせて貰ったから」
「ジークは高ランクで結構稼いでるから!ご馳走になっときよ!」
「え、ありがとう、ご馳走様でした」
ぺこり。
ママさんとも仲良しなのね!いいね、馴染みの店。
「じゃ、また来るわ」
「美味しかったです!ご馳走様でした!」
「はいよー!お仕事気をつけてねー!」
◇◇◇
「さて、今から出ると野営になるけど、どうする?」
「食材はたくさんあるので、野営でも大丈夫よー」
「まぁ設備も整ってるし、野営でいいか。じゃあ乗って乗って」
「はーい、お邪魔します」
「安全運転で行くからね」
「ぜひ!」
ふふっ
「到着は2〜3日後かな、途中宿に泊まる時は、俺のオススメでいい?」
「うん、宿、泊まったことないの」
「えっ!来る時どうしたの!?」
「わたしもゴレ車あるから、車中泊?」
「ゴレ車も持ってるのかー!凄いね!」
ふふっ
はいはい!必殺!笑って誤魔化せ!
「なので、疲れたらわたしのゴレくん出しますよ」
「まぁ自動運転あるし、大丈夫だよ」
「じゃ、出発!」
南の王都から反対側の北のウルディアまで、ゴレ車で飛ばすと3〜4日、安全運転なら5〜6日、北のウルディアから東のホルディアまでは、飛ばせば1〜2日で着くけど、安全運転なら2〜3日。
飛ばすって意味、まるまるまんまよね。日数が約半分になるんだもの。
制限速度がないって怖いわー。
爆走してグラスディア轢いたわたしが言うのも何ですけどね。
あれは不可抗力っ!
しかも、自動運転にしておいたら、魔石の魔力が尽きるまで!自分に接続しておいたら己の魔力が尽きるまで!ずーっと走る。
下手したら、もっと時短出来るよ。
自分の魔力尽きたら倒れるけど。
わたしにその心配はないが。
まぁ、走る距離も時間も設定で決められる。
ゴレくんは賢いのだ。
◇◇◇
街道を走ると、時々動物に遭遇する。
実際に車でウルディアに行ったわけじゃないから、ちょっとわくわくしてる。
「顔が楽しいって言ってる」
くすくすっ
「え、顔に出てた?ドライブ楽しいよ!」
「なら誘ってよかったな。実は俺も楽しんでる」
「知ってた」
ふふふっ
途中、トイレ休憩はテント出して済ませた。
ぽん!と置くだけだし、便利便利。
ジークにも貸してあげたら、ぽかーんだった。
これ普通じゃないのか……。
ドライブと言ったら、車でおやつだよね?
クッキーを、あーん!したら顔が赤くなってた。
「シャルルさんや、他の人にあーんしたらダメですよ。何故かと言うと、きっとみんな赤面すると思うのですよ。俺にはしてもいいですよ?今更ですし」
「ジークの話し方がおかしくなってる」
「これはですね、照れ隠しです」
あはははははは!
「ごめん!気付かずにあーんしてたわ!」
めっちゃ笑った!!
「もういいよ!もう1枚ちょーだい!あーん!」
「はいはい、あーん!やばい!餌付けしてるみたい!」
「餌付けかよ!しかしこのクッキー美味いな、どこの店の?」
「自作です」
「これも!?お菓子も作れるの??」
「うん、色々作るの好きなの。今度差し入れしてあげるね!」
「やった!スィーツ大好き!」
「もしかして、お子ちゃま味覚?キャス苦手だし」
「失礼な!酒も飲むよ!」
「ハンバーグとか好きそうだなー」
「ハンバーグって何?」
「え?えーと、肉団子を焼いてソースかけた奴、知らない?」
「肉団子はスープに入ってるのは知ってるけど、焼いたのは食べたことないな。スープのは、特別好きでも嫌いでもないよ」
まじかー!もしかしてなかったりする?知らないだけ?
「なら今度ご馳走するよ」
「分かった、楽しみにしてる」
そう言うと、にっこにこになった。
そんなに楽しみなのね?
なら早く作ってみようっと!
「俺の知らない料理がたくさんだな」
「逆にわたしの知らない料理もたくさんあるよ?今日のロック鳥とか、美味しかったなー」
「料理と言うか、知らないのは肉だったろ?シャルルの料理でロック鳥使ったら、もっと美味いんじゃないか?」
「いやー、木もれ陽亭の料理は美味しかった!また行きたいなー」
「また行こうよ」
ふふっ
「そうだね!また行こうね」
小さな約束、ちょっと嬉しい。




