旅に出た。〜ハンターギルドその2〜
「んじゃ、とりあえず西と東に注意喚起しとくな。ジークお前行かね?」
「行かないよ。休み取るんだから」
はははっ
「分かったよ。王都でも報告頼むな」
「デンタツしときます」
「まぁそれでも大丈夫だろ、気をつけてなー」
「「はい」」
◇◇◇
「じゃ先にデンタツだけ入れていい?その後メシ行こう」
「うん、どうぞー」
ギルドの待合室?オープンなベンチシートがある所に移動して、しばし待つ。
ジークがラシードさんに報告と休みを伝えるらしい。
「ジークです。とりあえず調査完了、リェスウルフは見つかりませんでした。北ギルマスにも報告済みです。西と東に注意喚起するそうです。え、俺は行きませんよ。ちょっと休み貰うんで、よろしくです」
お?立体出した。
『おう、ゴブリン討伐からずっとだしなー、休みはOKだ』
ちらりと姿を見せたりして。
『あ!?シャルル!!無事に着いたんだな!俺にもデンタツくれよー、マイクからじゃ味気ないっつーの!ゴードンには送ったのにー。つーか、何故ジークのデンタツに映ってるんだ!?』
「夜を共にしたんだよな?」
『なっ!!!なんだと!?』
「違いますっ!!ちょっと知り合いになったんです!!」
もぅ!!ザワザワし出したじゃん!!!
お姉さん般若になってる!!!!
般若?
「シャルルもデンタツ持ってるんだ?」
『シャルル、教えなくていいからな。寧ろ教えちゃならん。それよりいつ頃帰ってくるんだ?』
「俺と海の街でバカンスしてからだよな」
「言い方!!案内してくれるって言うので、お言葉に甘えようと思ってますよ。なのでそれが終わってからですね」
ちょ、ラシードさん顔!顔!世界の終わりみたいだよ!
受付のお姉さんも怖ぇよっ!ギリギリ音がしそう!
『ジーク、お前の休み取り消しな』
「はっはっはー、ハンターは自由人だから聞けませんね」
『くっそぉ……『やだ!シャルルちゃんじゃない!元気そうね!』割り込むなよ!』
「ゴードンさん!こんにちは!今日は本部なんですか?」
『うふふ〜そうなの、ラシードが仕事しないからケツ叩きに来たのよ〜!『そんな訳あるか!』うるさいわよ!』
くすくすっ
「元気そうでよかったです」
『ジークと居るのは何なの?』
「みんな聞きますね……夜を「知り合いになったんです!」」
危ねぇ!被せで対処!ジーク!睨むよもう!
『まぁ変なやつだけど、悪いやつじゃないからね〜、女子には塩対応なのに、アタシには普通なの!シャルルちゃんとアタシ、同類ね!』
にっこりにこにこ
「『いや、それ一緒にしちゃ……』」
『なによ』
じろり
くすくすっ
「まぁ、帰ったら連絡しますね。お土産楽しみにしてて下さい」
『俺も!俺もね!待ってるね!デンタツもするからね!』
「はい、ではまた」
「俺も帰ったらギルド顔出すんで」
『お前ははよ帰れ、仕事しろ』
にっこり、無言。
「ではまた」
フォン!と鳴って切れた。
「んじゃメシ行くか」
「美味しい所って言ってたね、楽しみ!」
ザワザワとした声はあるが、気にしない。
気にしないけど、お姉さんの視線が痛い。
めっちゃ睨んでるし……。
こそこそっと
「ジーク、受付のお姉さん、ほっといていいの?」
「え?あぁ、あいつ、しつこくて困ってるんだ。だから無視でいい。何か言われたら教えて」
「……うん、分かった」
うーん、ジークと関係ありませんとか、単なる知り合いですとか、そういう言い訳が1番よくないのは分かるから無視しちゃうけど。
ジーク、お主も罪な男よのぅ……。
( ´∀`)オマエモナー
※誤字報告ありがとうございます!




