旅に出た。〜湖編その5〜
「ぎ……ぎゃああああああああ!!」
”ピンポイント・ウェーブ”!!
どばしゃーーーーーー!!!
「ぐわあああああ!」
どかん!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ……
やだーーーー!!誰かいたああああああ!!
光の速さ(当社比)でテントに戻り、シャツを着た所で、
「はっ!?まさか殺しちゃった!?え、うそ!!」
ガバッと外に出て、人がいた所を見る、が、居ない。
えぇ!どこいった!?
死んでないよね!?
”シャルル・エイプリル殺人容疑で逮捕”
そんな見出しが頭を巡る。
やばいやばい!
転がったであろう先に倒れる人影。
そろっと近づいてみる。
動かない。
もう少し近づいてみる。
動いてない。
棒を持つ。突く。つんつん。動かない。
こ、殺してしまった……。
どうしようどうしよう……。
「ん……」
はっ!生きてる!?
「大丈夫ですか!?」
そろそろと目を開けると紅と金の瞳。
じーーーーっと見つめる双眼。
「夢……?」
は?
「夢じゃないです。いきなり攻撃してごめんなさい。その、驚いちゃって……」
ガバッと起きて、わたしの腕を掴む。
「ちょっと!!!」
「君!君だ!見つけた!!本当に居たんだ!!」
はぁ!?
「わたしはあなたを知りません!離して!!」
「ああああ!ごめん!!」
パッと離れたけど、胡散臭いことこの上ない!
大体なんで聖域に居るのよ!!
「あ、あの、その、君、服……」
え?
ぎゃああああああ!!!シャツだけだったああああ!!
光の速さ(しつこい)でテントに戻り、今度こそしっかりと服を着た。
◇◇◇
服を着たわたしと、服を乾かした人が対峙する。
この人は、ジークフリード・フランシアと言うらしい。
「ジークでいいよ、改めて、驚かせてごめん。森でリェスウルフの目撃情報があって、調査に来てたんだ。ヤツら群れで行動するし、下に降りてくると厄介だから、調査で見つかったら、討伐隊を出す。それで今日はもう野営の準備しようとここに来たんだ」
なるほど?
わたしが倒しちゃったのと別のが居るのかな?
「シャルルでいいです。えと、こちらこそごめんなさい。まさか人が来るとは思ってなくて……」
えぇ、思ってなかった、でも高ランクは来れるものねぇ。
そして野営なら聖域が安全だものねぇ。
くぅ!不覚!!
「俺もここに人が居るとは思ってなかったよ。ここよく使うんだ。景色が綺麗だから」
あ、だから不自然にぽっかり空いてたの!?
「ごめんなさい!すぐ退きますから!」
「え!?いいよ!俺の専用じゃないし!ちょっとテント張らせて貰えたらそれでいいから!」
「でも……」
「そこの端にテント置くし、ここ、ここに線引いて、そっちに行かないから!」
「それなら、わたしもこっちの端に寄せるから、もう少しこっちに置いて大丈夫です」
「ありがとう」
「いえ」
テントの場所を変えて、何となく真ん中辺りに線を引くジーク。
ふふっ
「線は引かなくて大丈夫です。夜は結界張らせて貰いますから」
「あぁ、すまない。一応ケジメ?だから」
ははっ
くるくると動き野営場所の設営してる。
よく見ると整った綺麗な顔してるな。
淡い金髪に、紅と金の瞳。
服装はハンター仕様だけど、どことなく気品がある。
雰囲気はヘルベスさんに近いかな?
も少し若い感じだけど。
やっぱ顔面偏差値高いわよねー。
うむうむ。
そろそろ晩ごはんの支度しよーっと。
出すだけ、焼くだけだけどね!
やっと出会ったヒーロー。
ここからはキーワードがやっと仕事する!はず!




