旅の計画。
ポーション納品したので、これからひと月はバカンス！
夏だ！海だ！海水浴だ！
なんてのは、この世界では常識ではない。
と、知識庫が言ってる。
いや、言ってない。書いてある。頭に。
ちぇっ
でも海辺の、割と大きな街はあるらしい。
ゴレくんで旅に出るか？
うん、それもいいかもしれない。
いやその前に、世界樹の所の湖にマーキングしに行こうか。
はっ！湖！聖域なら魔獣いないじゃん！
しかも人も居ないじゃん！
うふふふふ
これは行くしかないんじゃない？
よーし！
一応、ヘルベスさんに留守にするって言っておこう。
行くのは聖域だからデンタツ届かないし。
今はメッセージでいいかな？
いいよね？
”デンタツ”
”ちょっと旅に出掛けてきます。次の納品日までには戻ります。シャルル・エイプリル”
っと。
ゴードンさんのレシピは、ガルボさんに型作ってもらってからにしよう。
差し入れあるしね。
チリン
わ、返事速っ。
”いつから出る？マイク・ヘルベス”
んー、今日ガルボさんとこ行って、準備して、明後日にしよう。
”明後日からにしようと思ってます。シャルル・エイプリル”
”こっち寄れるか？マイク・ヘルベス”
何だろ？
”これからガルボさんの所に行くので、その後行きます。シャルル・エイプリル”
”〇 マイク・ヘルベス”
また〇！！
んじゃ行きますか！
◇◇◇
「ガルボさーん！型のお願いに来ましたー」
「よぉ！また沢山か？」
「いえ、少ないですよ」
ふふっ
とりあえず、通常サイズのパウンド型と小さ目のもお願いした。
「今度来る時に、新しい型をお願いしたいので、その時またお願いします」
「おう、待ってるぜ」
「それと、作ってもらった型でお菓子作ったので食べてみて下さい。甘いの苦手なら誰かにあげちゃってもいいですよ〜。食事系のもあるので、印付けてます。このバッグに入ってるので、貸出ししますね」
「お！甘いのも嫌いじゃないぜ！ありがとな！」
ふふっ
「ちょっと旅に出ようと思ってるので、王都には居ませんが、月末までには戻りますね」
「いいねぇ！気をつけてな！」
「はーい！」
◇◇◇
コンコン
「ヘルベスさん、来ましたー」
もう直に執務室だよ。
「おう、入れ。で、どこ行くって？」
「え、ちょっとそこまで？」
聖域の湖とか言えませんて！
「……また大物狩ってくるんじゃないだろうな？」
「この間も、そんなつもりじゃなかったですよ？たまたまです！」
「……まぁいいや。実はな北のウルディアに、大型SSダンジョンがあるんだが、ポーションそっちにも卸していいか聞きたかったんだ。ラシードからの依頼だな」
ダンジョン！！！
「……ハンターじゃなきゃ入れないからな？」
……。
「入りませんよ。卸していいですよ。数は足ります？」
「あぁ、お試しで半分ずつ持って行くので、とりあえず大丈夫だ。また増えそうなら相談するな」
「分かりました、ヒットとマナなら、倍は行けるかなぁ？毒消しと状態異常は難しいかも」
薬草取りに行かないとだしねー。
「倍、って……。ひとりで50でも大変だろうに。そんなに無理しなくていいからな」
あれ？そうなの？
あれ？やろうと思えば1日で出来るよ？あれあれ？
黙っておこう、そうしよう。
「あくまでも足りなければって事で！ハンターさんの命掛かってますからね！」
って事にしておこう。
「そうだな、よしよし」
ぽんぽん
うぇ！慈しみの目で見られてる！
にっこり。
笑って誤魔化せ！！！
罪悪感んんんん！！！！
「あ、そうだ、特に宛のない旅なので届けましょうか？ウルディアですよね？王都の反対側の。急ぎですか？」
「え？いや、そうウルディア、特に急いではいないが、いいのか？」
「大丈夫ですよ。商業ギルドに届けます？」
「ハンターギルドなんだが、足はあるのか？乗合で行くのか？」
「ゴレ車あるので！」
「……あぁそうか。お前さん、何でも持ってるな。なら商業ギルドから依頼って事にするわ。お使い頼むな。ゴーレム車なら、4〜6日ってトコかな？余裕を見ても7日は掛からないと思う。途中、宿に泊まったりすると思うから、経費は請求していいぞ」
野営するに決まってんじゃん！言わないけど！
つーか湖経由だから、山から行くだぁよ！言わないけど！
「はーい！ではコチラで25本×2用意しますか？」
「いいのか？大変じゃないか？」
「少しなら作り置きあるので大丈夫です。では依頼書下さいな」
大義名分出来たし、張り切って用意しなくちゃ！！
くふふ！
