逃げ場がない!その2
「で、どういう事だ?あぁ、ガルボ時間あるならギルドまで来ないか?シャルルは強制連行な」
「ええぇぇ!?なんで!?」
「何でもかんでも、ポーションの事とか……、ゴブリンの事とか?」
にっこり
ぎっくぅ!!!
バレてる!?早過ぎじゃん!?
「儂は4の鐘までなら大丈夫だ。行かせて貰うぜ」
「なら先にガルボの話からな、さて、行こうか」
両側からがっしりと腕を取られて、まるで連行される宇宙人のようだ……。
2人とも背が高いし……。
間に挟まって、このまま足を上げたら、ぶらーんぶらーんとブランコになるんじゃなかろうか。
やらんけど。
などと現実逃避してたら執務室。
サラナさん、ニコニコお茶出してくれるけど、ごめんよ。今日はクリームチーズ持ってきてないんだ。
いや、そんな世界の終わりみたいな顔しないで?頂き物って言ってあったでしょ?嘘だけど。
「ハンターギルドも呼んだから、先にガルボ話ししちまえよ」
「あぁ、そうだな。まずは足を治してくれてありがとう。感謝のしようもねぇ」
ぺこり
「いえ、あの時言ったように、拙いヒールだったので、ガルボさんの足が治りかけだったんですよ、きっと!」
「……時間が経ちすぎてて、教会も医者もサジ投げたって話したよな?」
「そ、そうでしたっけ?まぁ治ったんだから良かったじゃないですか!」
ダラダラと冷たい汗が!
「……まぁ、それでな?お礼と言っては何だが、お嬢が持ってくる作成依頼は全部やる。金も取らねぇ。だからいつでも、いくつでも持ってこいや」
「え、それはダメですよ。仕事は仕事ですって。もちろんまだ作ってもらいたいのはあるので持っていきますけど、お金は取ってください。じゃないと依頼しませんよ」
ぷぃっ
「それじゃお礼にならないだろが!」
「ありがとうって言って貰えただけで充分なんです!だからいいんです!」
「頑固だな!」
「ガルボさんこそ!」
がるるるるるるる……と唸り声が聞こえそうな程睨み合う。
「あー、なら、割引でいいんじゃねぇの?」
「「それだ!」」
「通常値段より、少しだけ割引でお願いします!」
「まぁ値段は儂が付けるからな」
ニヤリ
「あんまり少ないと押し付けますからね」
じろり
「はいはいっと!儂の話は終わったから戻るわ。ギルマス、場所提供ありがとな。お嬢またな!」
「あぁ、気にすんな。足、治ってよかったな!」
「はい、ではまた!」
ガルボさんが出ていった後、沈黙……。
気まずい……。
「さて、今日はラシードとサブマスも来るから」
びっくん!
「サブマスさんですか……」
「で、とりあえず、ガルボの足、何した?」
「え?ヒールしただけです」
嘘じゃないもん。あ、キュアもしたか。
「キュアもした気がします」
「……」
じとーっと見られるけど、それだけだもん。
「ガルボの足な、ほぼ千切れるくらいになってたんだ。皮1枚繋がってる感じだな。
その時ポーション使い切ってしまってて他のやつが持ってたのは消費期限が切れていたんだ。
それで、治療するのが遅れてな、完全には治らなかった。
教会で治療もしたし、医者にも見せた。だが治らなかったんだ。
ハンターの仕事が好きでSSランク間近だったのに、引退する事になってな。みんなに惜しまれてたよ。
俺も気にしてたから、治ったのを見て嬉しかった。俺からも礼を言う。ありがとう」
治療するには一刻を争う。
治療するまでに時間が掛かれば掛かるほど治すのが難しくなる。
だからポーションを携帯するんだけど、持つにも限界がある。
今までの蓋付きのポーションは、その蓋のせいで消費期限にバラつきがあったらしい。
もちろん売る時に気をつけてはいるが、買った本人が持ってる場合、本人の管理次第になるので、消費期限が過ぎたものを持ってる場合がある。
消費期限が過ぎたものは効果が得られない。
その点、アンプルは密閉されているから、消費期限も長い。下手すると期限がないかもしれない。
こればかりは時間を置いて見るしかないんだけどね。
「治ってよかったです」
ヒールの効果なんぞ、自分で分からんしな!
 




