それは大事。
「うん!そうしましょう!」
何かが決まったらしい。
「では……はっ!?」
おや?
「肝心の見目の要望を聞いていないわ!何かリクエストはあるかしら〜?」
見目?見た目?それならば!
是非にお願いしたい事が!
髪を!
「髪?」
はい!ぼやっとしか思い出せないのですが、毎朝髪の毛と戦ったような気がするのです!
「なんと!髪が蛇のようになるのか!?」
違います。
「脳筋か」
「脳筋よねぇ」
「では、どのようにしましょうか〜?」
毛先までサラサラうる艶柔らかでいて、尚且つハリコシのある髪に!
体毛は髪と眉とまつ毛と少量の鼻毛だけでお願いします!
「鼻毛」
はい、鼻毛ないと困りますから。
「まぁ、鼻毛ないとホコリ入りまくりだものねぇ」
ウィルスも入りやすく、病気になったら困りますし。
「あぁ、病気やウィルスは魔法があるから大丈夫よ〜」
え?
詳しく聞くと、病気も怪我も魔法で治る。
元々地球とこの星ヴェルデは同じ時期(神様基準)に同じように作った世界らしい。
兄弟星の様になるはずが、地球の神様が人種を作る時に全員が魔法を使えるようにしなかった為、地球では魔法は廃れ、化学が発展した。
その為、地球で消費されるはずの魔素は使われず、綺麗なまま漂うだけとなっているのをヴェルデの神様に見つかり、それならこっちに頂戴とお願いされたらしい。
ヴェルデの人の身体は魔力が循環しており、地球の人よりも丈夫だし、病気や即死にならない怪我ならば魔法や魔法薬で治るので、寿命も地球の人よりは長い。
なので、よく言えばゆったりのんびりな人ばかり。
悪く言えば、時間を気にせずルーズな所がある。
ふむふむ。
確かに仕事していた時は時間に追われていた気がする。
「だからね、やりたい事をのんびり見つけてもいいし、あなたは魔素を運んでくれた功労者だもの!何もせずぽや〜んと過ごしてもいいの。手に職をと言っていたけれど、ひとつに絞らなくていいのよ〜。飽きたら別の事をやればいいのだから」
うーん…
うん、今悩んでも答えは出ないから、生まれてから悩みます。
「えぇ、そうね。それでね?生まれるにあたって、選択肢が3つあるの。いつ生まれるか分からない輪廻の輪に入るか、すぐに赤ちゃんになって誰かの所で生まれるか、少し前世の記憶を持ちながら、成人したて位の年齢に身体を作るか。あなたの毛の望みは赤ちゃんから育っても、もちろん反映されるわ、それは安心してね」
あ、はい、えと、安心安全快適なお家は?
「それは赤ちゃんなら、親元が1番安心安全快適なはずよ〜」
なるほど。
でも前世の記憶は引き継がれないと。
成人したて位なら少しは残る?
「生きていくのに必要な知恵とか、前世でお料理や服を作っていたわね?なので、それを活かせるスキルとか授けることは出来るわ。だけど、それ以外は望郷の念が強くなっても帰してあげることが出来ないので、ほぼ消えるか朧気に覚えているってことになるの」
ふむ。
「それでもわたし達のオススメは成人したて位の年齢ね〜」
(身体を作る楽しみがあるもの!)
最後に何か言ってた気がするけど、聞こえなかったのでまぁいいか。今でも曖昧な記憶しかないけど、まったくなくなるのも何となく怖い気がするし。でも確か地球の神様に頼まれた時は、記憶なくなるなら別にいいじゃんって考えてた。少し意識が覚醒した今となっては、少しでも記憶が残るなら残したい、朧気でもいい……。
分かりました。
では成人したて位の年齢でお願いします。
ぱぁっ!と、それはそれは鮮やかな笑顔を見せた女神様。
「任せて〜!美の!やるわよ〜!」
「はぁい!楽しみね!」
え!?あのあの!お手柔らかにお願いしますね!
あれ、何となくやっちまった感??
「うふふ〜さぁ次に目覚めたら新しい世界よ。あなたは花の月1日に生まれることになるわ。ヴェルデを楽しんでね〜!おやすみなさい」
はい。
ありがとうございます。
これからどうぞよろしくお願いしまs……
すぴー