新たな魔法。
玄関で立ち尽くしていても埒が明かない。
玄関は玄関だけど、どっちの玄関だ?
聖域の家と王都の家の作りはほぼ同じ。
なので、振り返って玄関横のドアを確認する。
あ、ドアないね、王都か。そうか、王都ね。
おおおおおいぃぃぃぃぃぃ!!
そうじゃない!そうじゃないんだ!!!
識庫さぁぁぁん!!!
*場所を思い浮かべて魔力を流したので、転移魔法が発動しました。
は?
*目視できる場所、1度行った場所などに転移出来ます。何も無い上空、空には転移出来ません。
聖域に転移する場合は、聖域の場所をマーキングする必要があります。
聖域から出る場合は、その限りではありません。
はぁ。は!?
はぁぁぁ!?
ちょちょちょ!転移?え、転移ってワープ??
……ますます人外なんじゃね?え、わたし”人”って言っていいの?
これはあれだ。
何が出来るのか確認しなくちゃーなんて言っておいて確認しなかった自分が悪い。
よし、反省はしても後悔はしない!
次、確認を怠るな!気をつければいいって事だ!
って事で、聖域帰ってお風呂入ろう。うん、そうしよう。
◇◇◇
かぽーん……(お風呂のイメージ音です)
しかし転移ね。
これまた便利な魔法があったもんだよ、ホントに。
聖域のこの家のマーキングは、玄関にしておくか。
王都と間違えるかな?
でも外から帰って寝室とか絶対イヤだし。
うん、やっぱり玄関だね。
行った所に行けるって、便利だよねぇ!
聖域の湖にもマーキングさせてもらえるかな?
世界樹さんにお願いしてみよう。
言葉が通じてるか分からんが、葉っぱの時、お返事くれた感じだったもん、きっと大丈夫。
後は、毒消し草探しに行った時に休憩した川、あそこも綺麗な場所だったなぁ。
川面がキラキラしてて、すっと通る風。
なんだか水辺ばかりだな。
ふふっ
行きたい所に行けるのか。
思い浮かべてー、魔力を流す……?
シュンッ!
バシャァン!
ぎぇ!?冷たいっ!!
えっ!!はっ!?
ちょ!!!!
ここ!毒消し草の川!!
てゆーか!裸ぁぁぁ!!
思い浮かべて!魔力!
シュンッ!
あぁっ!王都の玄関!!
水滴を撒き散らしながら、光の速さ(当社比)で聖域のお風呂へドボン!!
……やっちまった。
周り気にしてなかったけど、誰も居なかったよねぇぇ!?
いや、居なかった!うん!居なかったってば!
反省はどうした!!!!
……、ぶくぶくぶく……。
◇◇◇
バシャァン!
なんだ!!魔獣か!?
と見た先に妖精が居た。
美しい銀髪、白い肌。
立ち上がった後ろ姿は、全裸。
えっ!?と確認しようと思ったら、消えた……。
そう、消えたんだ。
え、俺もしかして幻を見たのか?
やっぱりここは何かしら幻惑作用がある所なのか?
キリクが「妖精は居たんだ!」って言ってたけど、そんな事、誰も信じてなかった。
俺だって信じてなかったさ。
でも川の流れに逆らって、波紋が広がるのを俺は見た。
絶対に見たんだ!
俺の後ろに居たやつに
「なぁ、今見たよな?」
って聞いたのに
「え?音がしたから確認に来たけど、何も見てないぞ?何か居たのか!?」
と警戒しだした。
違う、違うんだ。
妖精を怖がらせてはいけない。
まだ今は黙っておこう。
まずはゴブリン討伐だ!!
高ランクハンターさん、ラッキースケベ。
ぶふっ
聖域と王都の玄関、唯一違うのが聖域玄関には王都に行くドアがあるんです。
覚えてました?
にひっ




