閑話 とあるハンターの白昼夢?
閑話となっていますが繋がってます。
はぁっはぁっ……
こんな、こんなはずじゃなかったんだ!
「走れ!!止まるな!!」
「がぁっ!!」
ずさぁ!とタルクが倒れる。
「何か!足に!俺はいいから行け!!!」
矢が!?
ああっ!!ポーションもない!!
「タルク置いては行けないよ!!」
ジャン!レーム!もうダメなのか!?
◇◇◇
俺たちは、Eランクのハンターだ。
俺、タンクのキリクと剣使いのタルクは双子。
幼馴染で魔法使いのジャンと弓使いのレームとチームを組んでいる。
もう少しでDランクになるはず。
今回はゴブリン調査の依頼を受けた。
ゴブリン2〜3匹なら、纏まって来ても余裕だし、依頼は調査だけだもんな!
簡単簡単!
そっと辺りを窺い森に入る。
調査を終えたら、さっき倒した角うさぎ焼いて食うんだ。
腹空かせておかないとな!
森に入ってすぐの所には見当たらない。
もう少し奥へ、もう少し奥へと進んでいく。
ここまでは魔獣らしいものには遭遇していない。
至って穏やかな森だ。
ここでちょっと気が緩んだんだ……。
「おい、ゴブリンが居るぞ」
見た所、2匹のゴブリンが何かを食っていた。
「2匹か」
みんなで顔を合わす。
やっちまう?たった2匹だ。
食い物に気を取られて、こっちに気づいてない。
それに、もう少しでDランクになるんだし、少しでも討伐証明が手に入れば、今日でDランクに上がれるかもしれない。
弓使いのレームが先制する。
よし!1匹は倒れた!
グギャギャギャ!!ギャギャギャギャ!!
ばっ!と振り向いたゴブリンがこっちに向かってきた!
前衛の俺とタルクで迎え撃つ!
1匹なら余裕だぜ!!
棍棒で殴りかかってきたのを盾で防ぐ。
その隙にタルクが剣で膝裏を切って動けなくしてからとどめを刺す。
ハイタッチして討伐部位の右耳を切り取っていたら、次のゴブリンが現れた!
最初は倒せてた。
まだ余裕!と思っていたのに!!
後から後から湧いて出てくる!!
俺もタルクも、傷を負った。
ジャンは魔力が底をついた。
レームは矢がなくなった。
もうポーションも使い切った。
「うさぎ肉を投げてヤツらの気を逸らせ!!」
バッグに入っていた角うさぎを投げつける。
でも、気休めにもならなかった。
「逃げるぞ!!」
ゴブリンが投げてくる石や木片が当たって血が出る。
そんな時、タルクの足に矢が刺さったんだ!
あぁ、もう俺たちは死ぬんだな……。
そう思ってたのに。
「大丈夫ですかっ!?」
聞こえた声の方を見ると、銀髪の妖精が居た。
いや、そんなバカな。
ケガをした事を伝えたら、
「分かりました!とりあえずこれ減らしますね!もう少しがんばって!」
と、結界を張って戦いに行ってしまった!
無茶だ!!戻れ!!叫んだのに聞こえないのか!?
そんな!!俺達のせいだ!!
と思っていたら、物凄く強い。
バッサバッサと舞を踊るように切り倒していく。
しかもあの魔法はなんだ!?
ゴブリンが蔦で拘束されて行く!
後ろからのアーチャーの矢を避けた!?
なんだ、なにがおきている?
ぼけっとしてるうちに、妖精さんが戻ってきた。
ポーションを使い果たしたことを言うと、
「サンプルなんで、お金は結構です。ただ、回復したら急いでここを離れて下さい。だいぶ数は減らしたけど、恐らくまだいると思うので、ギルドに報告して調査依頼して下さいね」
そう言って、やけに小さいポーションをくれた。
サンプルって言ってたし、通常の半分でも有難い。
今までのは夢だったのか、と思わないでもないが、手にあるポーションが現実だと教えてくれる。
ないよりマシと思い、変わった形だけど、クビレを折って飲んでみた。
な!?
なんだこれは!!ケガ全部回復した!!
半分位しか量なかったよな!?
慌ててタルク、ジャン、レームにも飲ませた。
みんな目を丸くして驚いていた。
とりあえずここを離れよう。
妖精さんと約束したんだ。
討伐証明なんか、放っておこう。
全部見たまま、全てを報告しなければ。
妖精さんと約束したんだ。約束したんだよ。
ジャンは魔力を使い果たしていたからマナも飲ませた。
残りは、嘘じゃなかった証明に持って帰る。
お守りにするんだ。
……サブマスに取り上げられなきゃいいなぁ。
※誤字報告ありがとうございます!




