最終回。
あのお披露目式の後、部屋に下がった貴族達は謁見の間に呼ばれ、国王陛下からのお達しを受けた。
ひとつ、ジークフリードとシャルルへの接触を禁ずる。
ひとつ、もし2人からの接触があった場合も、過度な願い事は禁ずる。
ひとつ、フランシア家への問い合わせを禁ずる。
ひとつ、2人への監視を禁ずる。
ひとつ、本日のお披露目式で起きた事の話は口外法度とする。
ひとつ、噂を流した場合、噂の出処を突き止めて処罰する。
不満がある場合は、儂に直訴しろ!
◇◇◇
招待客として呼ばれた者たち。
別室に呼ばれて、直接国王から話を聞いた。
貴族達と違うのは……。
「これからもジークフリードとシャルルを頼む。あのふたりが伸び伸びと暮らせるよう、今までと変わりなく接してやってくれ」
これには全員がびっくり。
「……接触を禁じられるものと思っていました……」
はははっ
「それを愛し子様は望んでいない。今まで通り、市井での穏やかな暮らしをお望みだ。ならばそれに応えねばなるまい。よいな?」
「「「「御意」」」」
「あ、「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
ふっ
「よい友を持ったようだ。ではな」
◇◇◇
「シャルルー」
「はーい!今行くー!」
あれから数年経った。
未だ他国へ行く為の乗り物は完成していないが、後少しだそうだ。
空を翔ける空船と、海を渡る船だって。
空船とか、ロマンだよねぇ!
隣国の船は、少しずつだが入って来ている。
空船用の空港が出来たからね。
隣の国は、えっと……何だっけ?
確か、ジュエル?ジュリ○ナ?
はっ!何故かふわふわが付いた扇子が頭に浮かんだ!
違う、コレジャナイ感。
うーん……
あぁ!思い出した!ジェラサイト!
1番先に国交を結ぶのが、そのジェラサイトらしい。
とは言え、大昔には海と空で結ばれていたらしいからね。
あちらさんも突然連絡が取れなくなって、我が国は亡国幻の国と呼ばれていたんだって。
災害か何かで滅亡したって……。
そら1000年余りも存在が確認されなければ、国が滅んだと思われても仕方ないよね。
この星のガラパゴスだなー。
うん?うん、まぁいい。
ジェラサイトは民主国家らしく、何と!人以外の人種も居るんだって!
めっちゃくちゃ楽しみじゃない!?
もふ耳の人とか会ってみたい!
今日は、西のガラディアに到着したジェラサイトの空船を見に行くのだ。
……もちろんお忍びで。
「いい?認識阻害は必ず掛けること!それから手は離さずに!買い食いはなし!」
「えっ!?買い食いなし!?」
「普段と違うし、俺らが来てるとバレたら面倒だよ?」
「あぁ、そうだよねぇ。うん、分かった。買い食いは次回にする」
ガラディアの串焼きがー!
空船来てない時に買おう……。
くすん
◇◇◇
『流石に見学の為か人が多いね』
今は屋根の上だ。
『うん、これは下を歩けないな。認識阻害しながらだと難しい』
『ぶつかったらバレるしね。目視転移で行くね』
『頼んだ』
屋根の上を転移で飛ぶ。
いやー、便利だわー!
空港とは言え、まだ完全に整備された訳ではないので、だだっ広い平地に着陸用の印が付いた簡素なモノだ。
建物は半分以上出来てるね。
『あっ!来た!!カッコイイー!』
『おー!凄いな!思ったより大きい!』
流石魔法の星と言ったところか。
流線型のミサイル見たいな形だ。
ミサイル?
うわ、これは思い出したらダメなやつ。
封印封印。
どうやって飛んでるかは分からんけど。
いつかこういうのに乗って、手始めに隣国から行ってみたいな!
『旅が出来るようになったら行こうな』
『うん!絶対行こう!空船見れたから満足ー!』
『よし、帰るか!』
『じゃあ家まで飛ぶよー』
シュンッ!
◇◇◇
こんな風に、アチコチ回って好きな事して過ごしている。
この世界に生まれた後、約1年半は事件やら結婚式やら、意外とバタバタ過ごしていたから、今が一番のんびりだ。
所謂スローライフ?
ふへへへ!
神様にお使いを頼まれて、この世界に来て、初めは戸惑ったけど、良い人達に巡り会えた。
それに、最愛の……
「シャルル、愛してるよ」
「わたしも」愛してる。
「聞こえない」
くすくすっ
「もう!意地悪だ!ジーク、愛してる!」
◇◇◇
神歴 48と2022年
コルサーナ国に、神の愛し子シャルル様がご降臨された。
神の愛し子シャルル様は勇者ジークフリードと共に、自国の悲願、1000年程前に絶たれた他国との国交を復活させる為に、最大SSダンジョン最下層まで進み、お力を使って光の道を取り戻し、孤立した我が国をお救いくださった。
(ダンジョンについては別紙参照)
勇者ジークフリードと婚姻の儀、世界樹が花吹雪を舞い散らせ、幸福の幻獣カーバンクルと共に儀を進める。
お披露目の儀には、神々がご降臨され、シャルル様を祝福された。
尚、詳しくは城の伝道者の口伝のみとする。
全てを記さずは、愛し子シャルル様の望みなり。
終わり。
およそ1年の間、神様にお使いを頼まれました。を、お読み頂きありがとうございました。
これにて一旦、シャルルの物語は終わります。
活動報告に載せている番外編を、最終回の後に載せたら完了になります。
処女作で、拙い物語にお付き合い頂きまして、ありがとうございました!
また、ゆきうさぎの新作が目に留まったら、読んでいただけると幸いです。
では、またね♪




