お披露目式。〜その18 パレード〜
「おはようございます。本日は快晴、風も穏やかな良日でございます」
「ん……おはよう、ございます」
「んぁー……おはよう」
「朝餐が整っております。カーちゃん様、トーちゃん様は既に起床されております」
はっ!!そうだった!!
寝衣から着替えてダイニングに行くと、カーちゃんトーちゃんが優雅にお茶してる……。
おや?
「カーちゃん、トーちゃん素敵ね!その蝶タイどうしたの?」
ふふふっ
カーちゃんは紫、トーちゃんは赤い蝶タイを着けていた。
「その、ジークフリード様やシャルル様が正装されるので、カーバンクル様達が同行されるのであれば、と思いまして……」
「作ったの!?」
「はい」
ちょっと頬を赤らめて答えるカサンドラ。
カーバンクル好きにも程がある。
だけど、めっちゃ可愛い!
「カーちゃんトーちゃん良かったね!とっても似合ってる!カサンドラにお礼言った?」
キィ?キキィ!
キキィ!
しゅるるるるん!とカサンドラの肩に乗ってスリスリ。
ピタッ!と動きの止まるカサンドラ。
ぷるぷるしてる!
「はぁ……♡お礼なんて良いんですのよ。喜んでいただけたなら本望です!実は、お色も幾つか作ったのですが、カーちゃん様とトーちゃん様がお選びになったのがこの色なんです」
あ、ジークとわたしの瞳の色。
キーキ!
キキィ!
「そうなの?嬉しいよ、ありがとね」
くすくすっ
少し遅れてジークもダイニングにやって来て、カーちゃんトーちゃんを見て、
「おお!カーちゃんトーちゃん似合うな!うん、カッコイイ!」
キキィ!
キキィ!
むんっ!
あはははははは!
◇◇◇
朝ごはんを食べたら支度だ。
まずは肌を整えて、軽くお化粧。
「シャルル様は何も塗らなくても充分にお美しいのですが、本日はパレードと言う事もあり、遠くからでもお顔がハッキリ見えるように、少しお色を乗せますね」
うん?
おぉ!これはアイブロウとマスカラ!
あー、確かにねー、銀髪だと眉もまつ毛も銀髪だから、白っぽく見えるもんね。
どんな顔になったのかなー?
まだ鏡見てないから楽しみだ。
次は髪を結う。
今日はアップスタイル。
「引き攣れて痛くはありませんか?」
「大丈夫です」
そしてドレス。
フロリアさんや、お針子さん達が頑張ってくれた。
「シャルル様……本当にお綺麗です……」
ほぅ……
鏡に映る自分。
いやぁ、何度見ても”こっ、これがわたし?”状態だ。
しかも今日は顔がハッキリくっきり。
多少ケバく見えるのは致し方なし。
決して濃くはないけど、見慣れないなぁ。たははー
「ありがとう。自分じゃないみたい」
ふふふっ
「さぁ、参りましょう」
◇◇◇
「シャルル!綺麗だよ。何だかいつもと違うね!」
「ね、わたしも自分じゃないみたいなの。お化粧少し変えたんですって。ジークはいつも通り素敵よ」
「よし、それじゃあ行こうか、奥様?」
スっと手を出し、エスコート。
「はい、旦那様」
くすくすっ
しゅるるるるん!とジークの肩にカーちゃん、わたしの肩にトーちゃんが乗る。
「あっ!カーちゃん様、トーちゃん様!」
「あぁいいよ。一緒に行こうな」
キキィ!
キーキ!
「ふたりとも良かったね!」
キキィキィ!
キキィ!
ふふふっ!さぁ、出発だ!
◇◇◇
って、そうか、そうだよね。
ゴレ車に乗るまで、護衛されるんだけど、クリスティアンお兄様が、
「は?」
と、言葉を発したもんだから、礼をとっていた人達が顔上げて見たら、肩にカーバンクルが居るんだもんね。
「「「「「は?」」」」」
と、なる訳だよねぇ。
「気にするな」
キキィ!
キキィ!
「いやあの、何故にカーちゃんトーちゃんが?しかも蝶タイ!」
「俺が同行を許した。だから気にするな」
「あの、お言葉ですが大騒ぎになりますよ?」
キキィキィ!
キキィキーキ!
「……なんて?」
「え?あっと、ジークと行くって。だよね?」
キキィ!
キキィキキィキィ!
「あ、もちろんわたしもね?」
キキィ!
キキィ!
むんっ!
「あー……、はい!了解しました!」
ビシッ!
キィ!
キィ!
ビシッ!
”え、カーバンクル、だよな?””ちょ!マジ!?言葉分かるの!?””敬礼可愛い!!”
”俺、初めて見た!””俺も肩に乗せたいぃ!”
「気を引き締めろ!」
「「「「「はっ!」」」」」
うん、まぁ、そうなるよね。
へらり……
ゴレ車に向かう廊下でも、まぁ同じような事がありまして。
みんなぽかーん、よ。
んで、わたし達が通り過ぎると、途端に、
”ちょ!見た!?カーバンクルよ!””本物!?うっそだろ!?”
不敬罪だ!とはならない所が平和な証拠。
おほほのほ!
カーちゃんはジークの肩でポーズをキメまくっている。
トーちゃんはわたしの肩でおすまし顔だ。
性格出るわねぇ。
あ、肩の広さか!?
わたしの肩は狭いからか!?
「トーちゃんもポーズとらないの?」
キィ?キィ
ふっ
ちょっと呆れたように、ニヒルに笑う。
この子達、人に感化され過ぎでは?
ふふふっ
ゴレ車には、メイド三人衆とタージェスが乗る。
もちろん気配を消して。
それと護衛のクリスティアンお兄様と近衛兵さん5人。
この人たちは認識阻害しないで、護ってます!とアピールしている。
強襲への威嚇ですね。
「ジークフリード様、シャルル様、出発致します!」
キキィ!
キキィ!
はははっ
「いい返事!では頼む」
そして大正門から、ゆっくりと走り出す。
今回は、暑くも寒くもないので結界はせずにオープンカーだ。
大正門を出ると、ひゃーーーー!!道路の左右に人人人人!
こりゃ凄い!思わず顔が引き攣るぅ!
「シャルル笑って!」
キキィ!
キキィ!
「うん!」
笑顔で手を振る。
建物の2階3階からも手を振る人達。
おめでとうの嵐だ!
ありがとう!祝福をありがとう!




