マフィンとお披露目前の……。
「見れば見るほど素敵ねぇ……♡」
ほぅ……
「ママありがとう。皆さんのお陰ですね」
ドレスの完成もマントの、違った、騎士服の完成も、ママを初め、みんなが頑張ってくれたからだもんね!
感謝しかない!
「相変わらず謙虚で可愛いわ!流石わたくしの娘ね!」
ママもシャルル贔屓だった。
たははー
「えぇ、本当に美しい……。ジークフリード様もとても精悍で……。わたくし共の縫った式服がこんなに美しく映えるとは……」
ほろり
ぎょ!?
「あらあら」
うふふふふ
「時間もなく、大変だったろう。ありがとう」
「ジークフリード様!そんな勿体ないお言葉!こちらこそ、式服に携われた事感謝致します!」
ふふふっ
「さぁさぁ!しんみりしてる場合じゃないわよ!もう一度確認して、細かな所にミスがないかちゃんと見て!」
はっ!
「そうですわね!失礼致しました!」
そう言って式服の着心地やら、ビーズや刺繍の見え具合やらを見て、試着は終わった。
肩こりないけど、肩こった気分。
◇◇◇
さて、普段着に着替えて、お針子さん達と別れた。
もう少し手を加えたいんだって。
完璧と思ったのにあれ以上何するんだろ?
とりあえずお任せして、わたしは調理場へ突撃だ!
「こんにちはー!」
「お嬢様!お待ちしておりました!この度は新たなお菓子のレシピをありがとうございます!」
おぉっと!ママにお礼のつもりで持って来たのに巡り巡って料理長さんにもお礼を言われるとは!
ふふっ
「小さな焼き菓子なので、ママのお茶会に出せるかなと思ったので」
「えぇえぇ!この型を見た時に思いました!キャロル様もお喜びと思います!」
型は大小5枚、1枚で作れるマフィンは10個だから、大の型全部使ったら50個出来るからね!
ミニサイズも持って来たから、ミニなら100個!
「一応レシピではマフィンと言うお菓子なんですけど、この型をパンに使う事も出来るんですよ」
「なんと!発想の転換というものですね!お嬢様は慧眼でいらっしゃる!」
ぶっ!そんな凄いもんじゃないんですって!
「と、とりあえず!マフィンは簡単なのでレシピを見たら作れるはずです。パイを敷いて具材を入れて焼けば小さなキッシュも出来ますし、使い方次第でお菓子にもお食事にも使えますから」
「はい!ありがとうございます!頭を捻って色々と試してみたいと思います!」
そう、この料理長さんは人任せにしないで自分で探求するんだよねー!
お城の総料理長さんと違うのはソコなのよ。
うん、好感度あがるぅ!
「新しい使い方を発見したら、わたしにも教えて下さいね!」
「いやぁ……お嬢様が知らない様な事は難しいですが、報告させて頂きます」
はははっ
「はい、お願いします!」
◇◇◇
最近は「泊まらないの?」がなくなった。
転移ですぐ来られるのが確認出来たからだと思う。
「じゃあまたすぐ来てね?」
その代わり、こう言われる。
ふふふっ
「はい!パパにもお兄様達にも会えませんでしたし、またすぐ来ます」
「お披露目にはフランシア家から行くので、その時は泊まりますよ」
「まだひと月も先じゃない!」
「まぁそれまでに来られたら、ですね」
予定はないけど、あまりにも頻繁だとご迷惑……にはならないか。
「発言をお許しください」
「カサンドラ、何かあって?」
「はい。出来ればお披露目式前、7日〜10日の間隔でコンディションチェックをして頂きたいのですが」
え?
「まぁ!そうよね?お式の時は1度だけだったのでしょう?本来は半年程かけて整えるものだもの!ね?そうしましょう?」
え、マジか。
チラリとジークを見ると複雑そうな顔。
その心境は如何に!?
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
【ジーク】
そんなに通うの!?
いやでもコンディションチェックの後のシャルルは輝かんばかりに美しい……。
その姿を見たいし触りt げふんげふん
でもでも……んーーーー!!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「分かった、なら10日に1回来るよ。て事はお披露目までに2回と、当城前日。それでいいか?」
「はい。ではそのようにお願い致します」
マジか。
いやまぁエステは気持ちいいけど。
「では、よろしくお願いします」
◇◇◇
自宅に戻って、
「はー!何か近づいてきたーって感じするね!」
はははっ
「あとひと月ちょいだもんなー。でもその後はのんびりしような!」
「何だかんだとお式からバタバタしてたもんね。うん、のんびりしよう!」
トントントントン
カリカリカリカリ
「あれ?」
む、この音は……
「やっぱり!カーちゃんトーちゃん!またサンルーム!」
学習能力どうした!?
って、そう言えば、べたん!って落ちた音じゃなかったね。
キィ!
キィ!
「久しぶり!今日はどうしたの?」
そっとリュックを差し出してくる……。
「何だ?」
「んんん?あっ!!寒くなって来たからおねだりでしょ」
キィ!
キキィ!
「冬ごもりのおねだりだよね?」
キキィ!
キーキ!
ふふふっ
「去年、そのリュック作ったんだよね。いいよ、また詰めてあげる」
「カーちゃんトーちゃんもシャルルの味を覚えちゃったんだな」
はははっ
今年もまた時停棚から、食べられそうな物を詰め込む。
「唐揚げ?分かった。マッシュホクリと、え?卵焼き?時停棚にないから作らないとだよ?待ってられる?」
キキィ!
キキィ!
ふふふっ
「じゃあ作ってあげるね」
トーちゃんは少し甘めの卵焼きが好きなので、せっせと巻き巻き。
後は、野菜も食べなさい!って事で野菜スティック。
パリパリに揚げたラビオリ擬きも食べるかな?
茹でた輪切りのコンと、枝豆と、あ、肉団子があった。
甘酢はかけない方が良さそうね。
ナッツぎっしりクッキーや、少し残しておいたマフィンも切って入れてみよう。
後はフルーツね!
今年もお弁当のおかずチックだ。
「さて、こんなもんでどぉ?」
キーキキィ!
キキィ!キィ!
「またみんなと仲良く分けてね?暖かくなったらまた遊ぼうね」
キィキ!
キキィキキィ!
「ん?いつでも来ていいよ?」
キキィ!
キキィ!
ふふふっ
「待ってるね」




