閑話 尋問時のラッセル・ライランズ。
このお話の前に本編があります。
こちらは読まなくても、続きに問題ありません。
身体が、動かない。
褒美を、貰った、だけだった、はずなのに。
何も、考えたく、ない。
手を、動かす事も、億劫だ。
「おい、これを飲め」
動きたく、ない。
「しょーがねーな、口に流せ」
「はっ!ほら!飲め!」
んぐっ!
これ、は.......?
「始めるか」
”コンフェション”
なっ!コンフェション!?
何を話させるつもりだ!
私は悪い事などしていない!
「おーおー、抗ってるなぁ。無駄だよ?もう全て白日の下に晒してしまえ。あぁ、それとライランズ侯爵家当主からの伝言だ。おまえは後継者から外し、ライランズの名を受け継ぐ事も禁止された。所謂平民になったんだ」
は?
そんな、まさか、高貴な血の私が平民?
「馬鹿な!」
「お!やっと喋ったな!その調子で全ての悪事を話せ」
”コンフェション”
ぐっ!
「さて、Sランク授賞式に放った殺気、あれはおまえだな?」
「そ、うだ」
「その時に焼死したメイドに施されていたテイム調教、あれもそうだな?」
「.......」
「質問を変える。テイム調教されたアルディジャとパッセルでシャルル様を監視してたのは?おまえか?」
「ちがう」
「おまえの雇った組織の奴に指示したな?」
「.......そうだ」
くそっ!話したくないのに!
「ジークフリード様とシャルル様の婚姻式の襲撃も、おまえの指示か?」
「.......」
”コンフェション”
「そうだ」
くそっ!くそっ!!何故抗えない!
魔力総量は団長と変わらない位のはずなのに!!
「何故本当の事が口から出るのか、不本意そうだな?残念ながら種明かしはしないけどねー!さて、あの呪物は何処で手に入れた?」
「.......ジャクリーンの家探しの、時」
「くすねたのか.......それだけでも立派な犯罪だぞ」
「正しい事に使う、為だ」
「正しい?」
「家畜は、家畜らしく、していれば、良かったものを、ジークフリード様に、フランシア家に、入るなど、言語道断!!」
「は?」
ぶわっ!!
「ちょ!!団長!!魔力!魔力漏れてます!!」
「あぁ、すまん。平常心平常心ね!」
ふー.......
「あの平民が!居なくなれば!」
「.......まさか、理由はそれだけか?」
「そうだ」
「.......メイド数人と使用人にテイム調教したのは」
「ジークフリード様の、側に居る、あいつを狙うには、仕方ない、事だ」
「何故そこまで平民を嫌う?」
「我々とは別の、生き物、だからだ」
「同じだよ。同じ”人”だよ。ただ、生まれた場所が違うだけだ。そしておまえは、おまえが忌み嫌う平民として死ぬんだ」
「嫌だ!!私は悪くない!!」
「休憩を挟む」
「放せ、私にこんな仕打ち.......」
力が、入らない.......。
◇◇◇
「なぁ、もう勝手に死んだ事にして殺っちゃっていいよな?」
「ダメです!何言ってぃんすかっ!!」
「あああああっ!!こんなにイラつく尋問は初めてだ!!」
「お身内の事ですもんねぇ……。しかし、私たちでは聞き出せないんで、団長だけが頼りっすよ!!」
「……はぁ。さっさと終わらせてさっさと帰るぞ!」
◇◇◇
【ユージーン目線】
聞き出した内容は胸糞だ。
メイド達に陣を刻んだ自白は、どこぞの変態か!と思った位だ。
薬物や道具など、出るわ出るわ、何故にそこだけ饒舌になるのか。
真性の変態だったんだなぁ……。
っと、閑話休題。
やはり、母親の影響が強かったみたいだ。
しかし、一緒に育ったはずの弟は、奴よりマシだぞ?
内に秘めた本性が出たって事なのか。
あんなのが副団長だったなんて……。
しかし、このメイドの内容をジークはともかく、シャルルに伝えるのは何重にも膜を張って、さらりと流さないと。
ちょっと刺激が強すぎだもんな。
休憩後から、時系列で尋問した。
魔力の痕跡が辿れないのも、高級な魔道具も、今から思えば、奴なら用意できた物だった。
まさか、こんな近くに犯人が居るなんて思わなくて、俺の目も感も鈍ってたと思わざるを得ない。
ちくしょう!
薬草栽培に手を出して、ポシャった貴族が居たのは知っていたが、まさか奴の母親の親族だったとは……。
ライランズ侯爵家のルーツは貴族年間にも載るから、わざわざ調べる事はしなかったツケだな。
でも、もうこれで終わりだ。
奴はやり過ぎた。
貴族籍剥奪の上極刑になるだろう。
平民の罪人と同じ扱いになるから、墓は無い。
そもそも、死体も残らない。
……あ、オリハルコンのバングルはやつの死後、城の宝物庫に隠してもらおっと。
※誤字報告ありがとうございます!
※内容を若干変更しています。




